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AR  作者: 青柳藜
capter Fourteen Everyday that started to break.
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<ⅩⅠ>

 ふと、寒気を感じて私ははっとした。雨でぬれた制服が鬱陶しく肌に張り付いてきた。

 どこをどう歩いて来たのかは覚えていない。気が付くと、そこはお母さんの病院の近くの公園だった。そこに生えている大きな木の下にあるベンチで、私はずっとぼんやりとしていたらしい。

 さっきの土田さんの声が、頭の中にまだ響いていた。私は生贄。本当にふざけた話だと思った。

 土田さんの説明はこうだ。MIDORIを再び止めるには、お父さんがおかあっさんの言っていたアネモネちゃんと一緒に無理やり止めるか、人の精神を電気信号に変えてMIDORIの中に送り込むしかないらしい。

 でも、今アネモネちゃんはMIDORIにすでに取り込まれてしまったらしく、それを知ったお父さんも何もできないような感じになっているのだという。だから、後は人の精神をMIDORいに送り込む方法しか暴走を止めることはできない。ただ、それをすると人は確実に脳を焼き切られて死んでしまう。

 だから、法律的に人権を規定されていない人を選んでやらなければいけないらしく、それにはしょくぶつえんの人が最適だというのだ。


「それとも、あなたの弟の蕨君、だっけ? その子に変える? それともあのスギとかいう奴の娘の桜ちゃん、かな? その子の方が……」

「いい加減にしてください!」

 レストランで、私は土田さんの声を遮り、机をたたきつけてそう怒鳴った。雨が窓をたたきつける音が店の中に響いた。

「……ふざけたことなど何一つとして言わなかったぞ? それともなんだい? 君は私の何かが間違っているとでも言いたいのかい?」

 土田さんは何もわからない風でそう言う。

「あ……当り前じゃないですか! 何ですか、生贄って!? ふざけないでくださいよ! それに私の家族もさんざん馬鹿にしておいて! 謝ってください!」

 私の言葉に、土田さんはため息を履いて、頭を掻きながら睨んできた。

「我々警察は昔、君たちに喧嘩を売られたのだ。だから、その喧嘩を買ってあげたのだよ」

 いつの間にか人がいなくなっていた店内に、その声だけが響いた。


 ……知りたくなかった。そう思ったら、不意に笑みがこぼれた。なぜかは分からない。こんなに悲しくて、つらくて、いろんなものを壊して回りたいほどなのに。笑った自分に、涙が出た。


 あ、このことは誰にも言わないでくださいね? 最重要機密ですから。破った時には、どうなるかは分かりますよね? あと、返事は一週間後にお願いします。納期とかいろいろあるので。


 土田さんが最後に発した声が、まだ耳に張り付いていた。このことは秘密。破ったらどうなるかはわからない。誰にも相談なんかできやしない。

 結局、今日はお見舞いに行けなかった。クマのぬいぐるみも知らないうちにどこかへやっていた。それに、寒気もする。早く温まりたい。

 こんなもの、早くどこかへぶちまけたかった。そうやって、さっさと楽になりたかった。これ以上秘密を抱えるのは、もういやだった。

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