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AR  作者: 青柳藜
capter Fourteen Everyday that started to break.
128/147

<Ⅶ>

 今日は、普通に電車で帰ることにした。

 また、あの建物の前を通りたくはなかったし、それに、また、昨日の女の子のように、ロボットに食べられている人がいるかもしれない。

 私が逃げるように駅まで歩いていると、突然夕立が降ってきた。

 このまま走ってもよかったのだが、制服が濡れて下着が透けても嫌なので、私は近くの古い木造の古本屋へ駆け込んだ。

 だいぶ年季が入った書店で、古い本のにおいがしみわたっていた。カウンターでは、おばあさんが眠たそうにしていた。

 私は近くの棚から一冊の本を引っ張り出してみた。だいぶ古いらしく、紙が黄色になっていた。

 紙の本を手に持ったのは、とても久しぶりなように感じた。

 最近では、本なんかはすべて電子書籍だから、もう紙の本は教科書やノート、新聞以外ではほとんど見ない。たまに、幼児向けの本で紙の本があるのと、おじいさんが電車の中とかで持ってるのぐらいしか、見たことがない。

 お母さんがまだ元気だったころ、私はたくさんの紙の本に触れてきた。お母さんが、電子書籍より、紙の本のほうが作者の愛情が伝わると、そう言っていたからだ。

 この本をもって、お母さんのその考えが、なんとなくわかった気がした。この本には、今まで読まれた人の、いろいろな思い出が入ってるように、そう感じた。

 私は持っていた本の表紙を見た。

 表紙は、ところどころ色あせていたけれど、それでもまだ読むことができた。

「AIと人間 〜2045年、人類は滅びるのか〜」。そんな題名だった。

 今は2063年、2045年なんてもうとっくに過ぎてしまっていたけれど、それでも、過去の人がどんな考えを持っていたのかが知りたくて、私はそれをカウンターへ持って行った。

 おばあさんが気持ちよさそうに寝ていて、それを起こすのがなんだかかわいそうだったので、私はこの本を買いました、というメモとお金を置いた。

 近くにあった脚立のほこりを払い、その上に何となく腰かけて、おもむろにその本を開いてみた。

 昔の人は、どうやらAIを危険視していたらしい。

 ただ、その予測もあながち間違いではなかったのかもしれない。なぜなら、あの二週間戦争は、実際に起きていたのだから。

 ふと、雨宿りをしていたことを思い出し、私は古本屋の外を見た。

 雨は相変わらず降っていたが、もう、だいぶ小降りになっていた。

 私は本をカバンの中にしまうと、古本屋を出て、駅へと駆けていった。

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