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AR  作者: 青柳藜
capter Fourteen Everyday that started to break.
123/147

<Ⅱ>

「……それで全部なんだね?」

 スギさんの質問に、私ははい、と小さく答えた。

 私が大声て泣いていたところに飛んできたスギさんに、あのへんなロボットについて話したら、スギさんは今まで見たことがないぐらい真剣な顔になって、後でじっくりその話を聞かせてくれとそう言われた。

 その後、私が落ち着いたころに、スギさんはアヤメさんを連れて食卓へ座ると、私も座らせて、会議を始めたのだった。それ以外には誰もいず、カエデさんと桜ちゃんですら、カエデさんの部屋へ行ってしまっている。

 私がすべて話すと、スギさんはしばらく考え込んでから、アヤメさんにこう言った。

「……アヤメ、今すぐにMIDORI関連の情報網と軍事関係の情報網を探れ。面倒なことが起こっている可能性がある。このことは、蕨には伏せておいてくれ。面倒ごとになったら厄介だからな」

 アヤメさんはおっけ、分かった、と短く答えると、奥の部屋へと行ってしまった。

 後には、私とスギさんだけが残されていた。応接間を兼ねているここは意外と広く、そのに残された私たちは何か、とても小さく感じた。

「紫苑ちゃん、自体が明らかになるまでは、このまま家でじっとしていた方がいいかもしれない。君に万が一のことがあったら、僕たちは明香さんと蛍さんに申し訳が付かない」

 スギさんは、アヤメさんに命令するときのようなきつい口調ではなく、説得するように私へと言った。

「とりあえずは、そうします」

 私は静かに答えると、もう眠いので、部屋に戻ってていいですかと尋ねた。

 スギさんが構わないと言ったので、私は晩御飯も食べずに、ベッドの中へ入り込むと、その中で思いっきりうずくまった。

 目を閉じると、あの女の子の絶望したような表情が鮮明に浮かんできた。

 もしかしたら、まだ助けられたのかもしれないという考えが、私の中に浮かんできた。それはどんどんと膨らんでいき、なぜあの時自分は逃げたのか、それを、ずっと、攻めるみたいに私の心を支配した。

 一方で、あそこまで大量の血が出ていたらもう死んでいたのだろうという考えも私の中に浮かんできて、そう冷たく考えてしまう私を、私はまた攻めた。

 そうこうしているうちに、私は眠りに落ちてしまったらしく、ふと気が付いたらもう夜中だった。

 晩御飯を食べていなかったせいか、さすがにおなかが減ってきた私は、キッチンへ食べ物をあさりに行った。

「……蛍さんが関係していたみたい」

 私が応接間のドアを開けようとドアノブに手をかけたとき、ドアの向こうからそんなアヤメさんの声が聞こえてきた。

 今、入ってはいけないような気がして、私はドアノブに手をかけたまま、しばらく聞こえてくる会話を聞いていた。

「そうか、詳細情報は?」

 そう喋るスギさんの声が聞こえてくる。

「政府はこのことを『テロ組織の起こした行動』として、適当に今後ぶっ立てるはずのテロ組織を破壊するように、表向きにはするみたい。でもって、その裏では何とかMIDORIの強制終了と全ロボットの解体を進めるんだと」

 アヤメさんがそう言い終えると、ドアの向こうからは何も聞こえてこなくなった。

 訳が分からなかった。

 いきなりお父さんの名前が出たかと思うと、昔にお母さんたちに壊されたはずの機械の名前とかがどんどん出てきたのだ。さらに、お父さんがそれにかかわっていることはおそらく間違いないだろう。

「……このことは、蕨君と紫苑ちゃんには秘密にしておこう」

 私がどういうことかを尋ねるために扉を開こうとすると、スギさんのそんな声が聞こえてきた。

 たまらず、ドアを開けそうになるが、私はそれを何とかこらえた。

「分かった」

 アヤメさんの声が聞こえたかと思うと、こちらへ足音が近づいてきた。

 慌てて逃げようとするも、扉を開けたアヤメさんに見つかってしまった。

「……紫苑?」

 アヤメさんはバツの悪そうな顔でこちらを見てくる。

「……紫苑ちゃん、聞いてた?」

 スギさんが聞いてきて、それに私は小さくうなずいた。

 スギさんは頭を掻きながら、私に近寄ってきた。

「……ごめん、今の会話、聞かなことにしてくれないか?」

 スギさんの言葉に、私はうつむいたまま、小さく頷いた。

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