<Ⅷ>
アヤメさんとタンポポさんの仕事が今修羅場らしく、その日の夜はその二人を抜いて、ご飯を食べた。
ご飯を食べ終わった後も、蕨の授業は続いた。どうやらだいぶ難しいことをやっているらしく、授業が終わったのは大体九時ぐらいだった。
その後、蕨に綾香ちゃんを送らせ、寝てしまった桜ちゃんをベッドに運んでから、私とカエデさん、スギさんの三人は、ちょうど私とスギさん、カエデさんが向かい合わせになるような感じで食卓に座った。
「それで、一応確かめておくけど、聞きたい話っていうのは、蛍さんのことでいいのよね?」
カエデさんは、いつになく落ち着いた感じで、そして静かにそう言った。
「はい、そうです」
「あ〜あ、ついにこの時が来たかっていう感じだねぇ……。あ、一つ忠告しておくけど、これからする話、蕨君やほかの人にしちゃだめだからね?」
私が答えると、スギさんはそう言った。その言葉に、私は無言で頷く。
カエデさんは、そっと息を吸って、話し始めた。
「まず、確認ね。蛍さんのこと、どこまで知ってるか、教えて頂戴?」
「お父さんについては、今日お母さんから聞きました。昔、アネモネさんというお父さんが作ったロボットがいて、その子を助けるために、そのためだけに家を出ていったこと。そして、救えたら必ず帰ってくることを、お母さんやスギさんたちに約束したこと。お父さんは本当に純粋な人で、私たちから逃げようとか、あの日の警察の人をどうこうしようとかするような人ではないこと。私が知っているのは、それぐらいです」
私が話すのを、カエデさんは静かに聞いていた。代わりに、スギさんが頭の後ろで手を組みながら、私に質問してきた。
「う〜ん、具体的には、なんて言ってたか、聞いた?」
スギさんの質問に、私はいいえ、何も、と答えた。
その答えに、スギさんはよし、というと、手を机の上で組みなおし、私にこう言った。
「それじゃあ、蛍さんがどんな人だったか、もっと具体的に話してあげようか」
いつもの笑顔を崩さないスギさんの話を、私は真剣に聞いた。
「あ、一つだけ、明香さんが言ってたことで間違いがあるから、言っておくね?」
スギさんはにこにこしながらそう言うと、急に真面目な顔になって、私にこう言った。
「アネモネちゃんは、実は蛍さんのPCの中にちゃんといたんだ」




