<Ⅳ>
落ち着け、これは仮想上の空間、これは仮想上の痛み。実際に私は、そんなことで行動不能になったりするやわなプログラムではないし、こんな奴に、そんな風にさせられるわけがない。
私の腹にねじ込まれた手を、MIDORIが動かす。ぐちゃぐちゃと、私の中をかき回すようにして、妙な、そして恐ろしく痛く、気持ち悪い感触を私に与えてきた。
おなかのほうから何かが昇ってきて、こらえきれずに私はそれを吐き出した。
赤い液体が、どろりとMIDORIに降りかかる。
緑色の彼女の髪が、私のそれで赤く染まった。
けれども、まだ彼女は、手を動かすのをやめない。まるで何かを探し求めるように、ひたすらに私の体の中をかき回した。
「い、いいかげんに……、し、して、ください……!」
私がそう言うも、MIDORIは無視する。片っ端から、私の中をあさっていく。
私が抵抗しようとしても、手足は縛られ、動かせない。それどころか、時間が経つにつれて、全身が冷たく、重くなっていくように感じた。
しばらくして、私は何も感じなくなった。本当はとても痛いのだろうけれど、それがもうわからない。ただ、ぐちゃぐちゃと手をかき回され、いろいろな臓器をもみあげられる、吐き気がするほど気持ち悪い感覚だけが、ひたすらに重たいだけの体を支配していた。もう、抵抗する気力も起こらなかった。
「ハッキング完了」
MIDORIが、ぽつんと言ったような気がした。ただ、私にはもう、そのことに嬉しい、悲しいなどの感情はすでに消えていた。ただ、ああ、そうなんだと、受け入れるだけだった。
視界がだんだんと暗くなっていく。そして、MIDORIの姿がぶれたかと思うと、私の目の前は、砂嵐で覆いつくされた。




