<Ⅱ>
人物の視点が変わります(新キャラです)。
「どう……なってるんだ……?」
僕は制御室で放心していた。
信じられない。ありえない。MIDORI自身でさえ破れなかったMIDORIのセキュルティーが、――破られた?
放心する僕の横で、副所長が大きな声で指示を出している。
「所長! 警視庁の鈴木警視長からお電話です!」
部下に電話を差し出され、僕は静かに電話を取った。
「おい、河内。何が起こってるんだ?」
受話器から低い、唸るような声が聞こえてきた。
受話器の向こうでもそこらじゅうで怒号が鳴り響いてるので、彼の声はいつもよりも聞こえづらかった。
「どうもこうも無い。MIDORIが、ハッキングされた。それだけだ」
「完全にか?」
驚いたような声が聞こえてくる。彼もまさかこれだけは予想していなかったのだろう。
「いや、完全にじゃない。管理者権限だけは未だ保ててる」
「……完全は防げるか?」
「分からない。でも、たぶん、無理だ」
ちっと舌打ちをする音が受話器から響いてくる。
「……最悪で被害はどのくらいになる」
苛立った彼の声は、少し震えていた。
「予測不能だが……ハッカーのたちが悪けりゃ、…………世界滅亡ってとこかな。人類はおろか地球ごと――」
言い終わる前に、受話器からの音が消えた。通信回線自体が使えなくなったらしい。
僕はため息をつきながら、
「少なくとも、地獄が始まったのは確かだ」
こう言い放ち、ただ虚ろに笑い続けることしかできなかった。
※段落に関する部分を修正しました。




