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AR  作者: 青柳藜
capter Thirteen A small accident.
108/147

<Ⅱ>

「それでね、そのあとスギさんとタンポポさん、カエデさんにものすごく怒られてたんだよ?」

 遊園地に行った翌日、その日から始まった夏期講習を終えてから、私はいつも通りにお母さんの病室を訪ね、そして何気ない話をしていた。

 私がお母さんにしてあげられるのは、こういう何気ない日常を、お母さんに知ってもらって、元気を出してもらうこと。それだけだ。

「……お母さん?」

「えっ? あ、ああ、そうね。カエデさんらしいわね……」

 ただ、今日のお母さんは、いつものお母さんと違って、なんだかぼーっとしている。それに、何かを悩んでいるようにも見える。

「……お母さん、何かあった?」

 私が聞くと、お母さんは、ちょっとね、といって、それからなんだか真剣な顔になって、こう言った。

「今から、とっても大事なことを話そうと思うの。ちゃんと、聞いてちょうだい?」

 お母さんのいつになく真剣な目に、私の脳裏を嫌な想像がよぎった。

 もしかして、もうお母さんは、助からないのか? それを、私に言おうとしているのか? 私は、そう思った。

「今から話すのは、昔のこと。まだあなたたちが生まれる、ずっと前のこと」

 ただ、予想に反して、お母さんからは意外な言葉が出た。

「え? 過去? お母さんの?」

「ええ。でも、ちゃんと、しっかりとしたお話なの。だから、ちゃんと聞いてくれないかな?」

 でも、どのみち大切な話であることに変わりはないらしい。

 私はパイプ椅子に座りなおすと、まっすぐにお母さんを見た。

「今から話すのは、あなたのお父さんと、私が出会った時の、そのころのお話ね」

 お母さんはそう言うと、遠い昔の嘘にまみれた教科書の内容の、本当のことを語り始めた。

「昔、アネモネっていう名前の女の子がいたの」

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