<ⅩⅡ>
場面変わります。
とある地下工事現場です。
様々な声が飛び交う中、俺たちは非常に困惑していた。
「斎藤さん、この状況じゃぁ解体作業、期日までに終わりませんよ? どんだけ電源引っ張ってくるのに時間かかってんですか?」
「そんなん知らんわ。俺に聞くな」
俺がそう愚痴をこぼすと、斎藤さんはため息をついて、こういうだけだった。
この地下七階とか言うすごい地下深くにある動力炉の解体作業は、電力がないということだけで、ここしばらくずっと停滞していた。なんか、機材運び込もうにも、普通の発電機だったら一酸化炭素中毒で危ないから、使えないらしい。
これも、俺たちが今解体しているこいつのせいだ。
「もうさ、ここ、動力炉だったんだろ?」
隣でコーヒーを飲みながら、菅原がそうつぶやく。
「いっそのこと、ここ再起動してその電力使うってのじゃ、駄目なの? 別に装甲の一枚二枚ひっぺがしたところで、壊れはしないだろ?」
菅原の提案に、全員が沈黙する。
「た、確かに……」
「言われてみれば……」
ほかのやつらはその意見に納得し、次第に場の空気はそれをやろうという方向へ向いた。
「でも、それは禁止されてるんだよなぁ……」
ただ、斎藤さんはそう言って頭を掻いていた。
その言葉に、ほかのやつらは舌打ちする。
「……ま、いいか、ちょっとぐらい」
ぽつりと言った斎藤さんの言葉に、そこにいた全員が喚起する。
まったく、気分の浮き沈みが激しい奴らだ。
「よし、じゃぁ作業を進めてくれ」
斎藤さんの声で、全員が動きだす。
俺は操作ボックスの上にかぶさっていた覆いを取り除くと、赤い粉が大量に付着したキーボードを引っ張り出した。
「なんだこの粉。誰かがこの上でさびた鉄でも削ったのか?」
キーボードを菅原に渡すと、菅原はそう言って粉を払いのけ、そして作業を再開した。
奴には不正アクセス禁止法違反で捕まった過去がある。要するに、元ハッカーだ。これぐらいの操作はできるだろう。
一時間後。
「よっしゃ、あと一分で稼働を開始するぞ!」
その声で、全員が動力炉の付近にあった大型プラグへ機械を運び始めた。
「……これで、やっと作業が進められる」
俺はそう言うと、動力炉の外部接続プラグを引っ張り出した。
稼働再開まで残り十秒を切った時。
「何をしているんだ!」
唐突に警察の野郎が飛び込んできた。
「あ? 何って作業の準備っすけど……」
「早く、動力炉を止めるんだ! 急いで!」
ただ、その野郎の声が部屋に響いた時にはもう、大昔の悪魔は息を吹き返していた。




