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AR  作者: 青柳藜
chapter Twelve Peaceful days.
105/147

<ⅩⅠ>

 午後七時。

 桜ちゃんがカエデさんの背中の上で眠ってしまい、時間も時間なので私たちは家へ帰ることになった。

「やっぱり、ぬいぐるみは手作りに限る」

 後ろを歩くアヤメさんが、綾香ちゃんに言う。

「ですよね! なんか表情とか、ちょっとだけ違うんですよね!」

 対する綾香ちゃんも、とても楽しそうだ。

 綾香ちゃんは、例のゴマアザラシのぬいぐるみを買っていた時にした話の、アヤメさんがたくさんの種類のぬいぐるみを持っているということに興味を持ったらしく、さっきからずっと、アヤメさんとぬいぐるみについて話していた。

「そういえば、この後ってパレードがあるんですよね?」

 私は、ゆっくりと歩くカエデさんにそう言った。

「そうねぇ……ほんとは、ゆっくり見たかったんだけどね。桜もこんなだし、今日はもう帰った方がいいんじゃないかなぁ~って」

 大人びたカエデさんが、普段とは違う少し残念そうな顔をしているのを見て、私はふと、疑問を抱いた。

「カエデさんって、こういうところに来たの何回目なんですか?」

「……そういえば、なんだかんだでこれが初めてね」

 答えるカエデさんに、私はちょっと驚く。

「初めてって、スギさんとデートとかでこういうところ、来なかったんですか?」

「あ、いたいた。おーい、こっちだ!」

 私がそう言って、それにカエデさんが何か言いかけたとき、遠くからスギさんの声がかかった。

 見ると、大きな樹の下に、手を振るスギさんと……

「え、ちょ、どうしたの!?」

 死にそうになっている蕨に肩を貸すタンポポさんがいた。

 綾香ちゃんが、驚いて声を上げる。

「いやぁ~、ちょっとやりすぎちゃったねぇ~」

 横で、木の幹にもたれたまま、スギさんが苦笑いしながら言う。

「えっと……、これ、どういうことですか?」

 私が恐る恐るタンポポさんに尋ねると、タンポポさんも苦笑いしながら、こう言った。

「いや、えっとね……? 蕨君が絶叫系アウトだってわかったから、調子乗ってあれはどうだ、これはどうだって、いろんな絶叫系めぐってるうちにこうなっちゃって……」

「最後、コーヒーカップで思いっきり回しまくって、ついにトイレの中でリバースしちゃった、ていうわけさ」

 続いて、スギさんもそういう。

「別に、悪気があったわけじゃないんだよ? ただ、調子乗ってたらこうなっちゃっただけで……」

「僕はやめといたらって言ったんですけど……」

 白状してから、急に弁解を始める二人。いつもはすごい人で、立派な大人だと思っているけど、これを見ると、どう見ても……。

「ただの馬鹿な悪ガキにしか見えないな……」

「ひどいよ!?」

 私はついうっかり口に出していたらしく、二人が抗議してきたが、傍目に見たら誰でもそう言うだろう。

「まぁ、ここで話しててもあれだし、この話は帰ってから、じっくりとしましょう♡」

 ……覚悟はできているんでしょうね? とでもいうかのようなカエデさんの口調から、今日家に帰った後は悲惨な状況なんだろうということは、容易に想像がついた。

 よし。今日は家に帰ったらお風呂に入って、それで部屋に引きこもろう。下手に面倒ごとに巻き込まれる前に。

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