<Ⅸ>
……死にそう。てか、死んだ。
「大丈夫かい、蕨君?」
スギさんがとてもうれしそうに聞いてくる。この人、一遍痛い目にあった方がいいんじゃないだろうか。
「……まさか、蕨君にそんな弱点があっただなんてね。まぁ、姉さんも死にそうになってたけど」
タンポポさんはやれやれと首を横に振りながら、俺の横に座った。
でも、まだ大丈夫だ。まだ人前で痴態はさらしていない。
「初手絶叫系は、死亡フラグかと思ったけど、まさか本当にそうなるとは……、普段完璧な蕨君の意外な一面を見れて、僕はもう満足だよ」
スギさんは笑いながらそう言う。
初めにジェットコースターに乗ろうと言い出したのは、姉ちゃんだ。
カエデさんは、身長が足りなかった桜ちゃんと一緒に地上に残って、それ以外の人たちは全員それに乗った。
結果、俺が死に、アヤメさんが死にかけ、残りは全員無事だった。
その後、俺が復活するのを待たずに、俺の見守り役で残されたスギさんとタンポポさん以外は、先に復活したアヤメさんを連れてどこかへ行ってしまった。スギさんに散々にからかわれ、さらに綾香から失笑を食らったこの仕返しは、いつかやろう。帰ったら覚えてろ? 姉ちゃん。
「……で、単刀直入に聞くけど、蕨君から見て、綾香ちゃんはどうなのかな?」
「……は?」
聞かれた内容が理解できず、混乱する。
「……いや、何でもないよ、忘れて」
直後、スギさんは非常にがっかりしたような顔でこちらを見てきた。
タンポポさんも、なんだか微妙な顔でこちらを見てくる。
俺はスギさんの言葉の意味を考えないようにながら、体調の回復を待った。




