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私の前世強すぎない?  作者: かみなし
5/5

5・人間も頑張ればとべるんです


 クリスタルドラゴンが突っ込んでくるなか私は万器を槍の形状で構え、もう一度ブーツに魔力を流し、速度を加速させる。


 この状態であれば逃げること自体は造作もない、何せ速度だけは圧倒的にこちらが勝っているのだから。

 しかし、今回は逃げるために発動したのではない。


 「シッ!!」


 停止した世界を(正確にはドラゴンはゆっくりとだが動いているので「減速している」というのが正しい)ドラゴンに向かって走り出す。


 停止世界では動きにくいので、今度も半ば体当たりのような形で槍の形になっている万器をぶつけ駆け抜ける。

 十分な距離をとるとブーツの効果を解く、すると重機同士のぶつかり合うような衝撃音が鳴り響く。おおよそ一本の槍と生物のぶつかって鳴るような音ではないが、今は気にする必要はない。


 「GUGYAAAAA!!!!!!」


 そこまでのダメージはないと思っていたのだが、予想外にダメージがあったのか叫び声を上げ動きを止める。


 (あれぇ?なんか予想外にダメージ大きくない?全然効かないと思ってたんだけどなんでだろ?)


 予想外にダメージを受けているのを不思議に思い観察してみると槍をぶつけた場所のクリスタルの鱗にヒビが入っているのが見えた。


 (そういえばクリスタルって硬いけど割れやすくて意外と脆いんだっけ?あれ?あれはクォーツだっけ?)


 以前そんなこと聞いたことあるなぁと戦闘中にも関わらず思い出しているといきなり地面が砂に変わりドラゴンの開けた竪穴に向かい流れだす。

 むろん自然現象ではなく魔族の青年のしたことだ。



 「言われたとおりに地面を崩して流したぞ」

 「ありがとね」


 私の立てた作戦はこうだ、まず私が何とかしてドラゴンの注意を引くか、動きを止める。その後青年が地面を崩すなり、強引に吹き飛ばすなりしてドラゴンのあけた竪穴に落とす。これだけだ。

 通常時であれば地面を崩されただけではまぁ落ちはしないだろう。しかし、不意を突けば、砂に変えればどうだ、砂に変わっているいるため踏ん張りがきかずなすすべもなく流されていくだろう。


………そう思っていた時期が私にもありました。最初こそ流されていたのだが、あと少しというところで慣れたのか、完全な砂地にもかかわらず踏ん張って見せた。


 「あちゃ~、無理か」

 「仮にも地に属する竜だ、吹き飛ばせないから砂に変えて流したが慣れてしまえば動くことに支障はないだろう」


 のんきに話しているようだが内心めちゃくちゃ焦っている。あともう少しで私が犠牲にならずに何とかなりそうだったのに、こうなってしまうと取れる方法は一つしかなくなってしまう。


 「……ねぇ、道って造れる?」

 「……ああ、できる。風よ、道を造れ『ウィンドロード』」

 「ありがとう、もし足りなかったらよろしく」

 「ああ、わかった」


 青年の作り出した風の道を万器を構え一直線に駆け抜ける。

 加速しているためかドラゴンの怒ってる様子はよくわかる。それだけじゃない魔族の少年苦渋に満ちた気配、後ろのほうにいるみんなの驚愕している気配、本当によくわかる。

 走っている間結構いろいろ考えていたり、二つの魔法を使っていたりしたが死にに行っているに等しいこの状況で以外にも自分の頭の中は冷静だった。


 (以外に死にたがりだったのかな私、普通こんな状況だったら怖くなると思うんだけどね)


 一歩ごとにドラゴンとの距離は縮まっていく中そんなことを考えていた。

 

 ドラゴンの巨体に私が普通にぶつかるのでは、ほとんど影響を与えることはできないだろう。しかし、周囲の時が止まりかけるほど加速してぶつかればどうだ、吹き飛ばすというレベルには至らないだろうがそれなりの威力にはなるだろう。

 

 「うおぉぉりゃぁぁ!」


 叫びながらドラゴンの頭にぶつかり、あともう一押しというところまで押し込むことができたがブーツの効果は切れてしまった。これでは推進力が足りない。

 通常の速度に戻ったのを見るとドラゴンはグルゥとのどを鳴らしている。嗜虐に満ちた瞳をしてるのでおそらく笑っているのだろう。

 そして止まってしまった私に向けわざとゆっくり攻撃してくるのが私でも見えた。遅いといってもよけるなんてことはできない程度には速い。

 ドラゴンは勝ち誇って笑っている。

 それに対し、私も笑う。

 

 「GURUu?」

 「あなたの負けだよドラゴンさん」


 そう言ってもう一度槍をたたきつける。

 逃げることはできない、しかし一動作をするくらいの猶予はある。そして、ぶつかるだけじゃ落とせないと思っていたから一つ魔族の青年からもらった魔力を使って一つの魔法を使って待機状態で維持していた。それをたたきつけると同時に発動させる。


 「食らえ!!発動『ブラスト』!!」

 「GUGYA!?」


 使った魔法は『ブラスト』私でも覚えることができるくらい簡単な魔法で瞬間的に物体に力をかける魔法で、魔力を込めるほど威力が増すという特徴を持っている。本来であれば悲しいくらいに威力のない魔法だが、魔族の青年からもらった魔力を全部突っ込めばドラゴンを押すことができる。

 当然、自分にも相当な負荷がかかるため『頑強(タフネス)』という、身体強化を自前で使っている。


 …これでドラゴンだけ押せれば助かったのだが、ドラゴンは魔法抵抗が高すぎて私ではドラゴンに『ブラスト』をかけることができないので、自分にかけてもろとも吹き飛ぶしかない。


 自身の魔法によって意識を半ば飛ばしつつドラゴンもろとも自身も飛ぶ。

 眼下に広がるそこのない奈落、飛んできた穴の向こうに青年とみんなが見える。


 (……あれ?魔族の青年の顔どこかで見たことあるんだけど)


 その思考を最後に私の意識は暗闇に落ちていった。

最弱なのにドラゴンと戦えるのか…

ま、あくまで戦闘系の勇者の中で最弱なのでことねより弱いやつは普通にいます。あともらったアイテムが強いのでそれがないと成長しやすい普通の人でしかないです。

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