4・竜との戦闘です
すいません、ようやく投稿です。
遅れて大変申し訳ありません…。
『竜種』
創神が生み出した世界のバランスを保つ調停者とされている世界最強の種族『龍種』の中でも最下級に位置する種類の総称であるが、その危険度は現在確認されている最も弱い個体でCランクであり、知能が低く本能でしか行動せず意思の疎通ができないことを除けば攻撃力・防御力・飛行速度は龍種と遜色はない。むしろ本能でしか行動しないため龍種より脅威だといわれている。
以上が竜の説明であり、今私たちの目の前にいる『クリスタルドラゴン』は竜種のなかでも上位に位置する『属性竜』と呼ばれ、その中の地竜に属している。
特徴は、全身の鱗が高品質の水晶であり、防御力が自慢の地竜の中でもとりわけ硬いというところだ。翼がないため飛ぶことはできないが、トカゲのようにすばしっこく、壁や天井を走ることができる。
遭遇すれば命がないといわれるほどの化け物だ、しかし私たちの前にはそんな化け物と互角に一人の青年が戦うという光景が広がっていた。
「あれって魔族!?」
「馬鹿な!なぜ魔族が!?」
ドラゴン以上にその青年をみてここねちゃんとアレックスさんが驚く。しかしほかの人たちも似たようなものだ。
なぜなら青年の髪は白く、遠目でもわかるほど紅い瞳をしていた。それは私たち勇者の敵『魔族』の証だ。
「……チッ、人間どもさっさと失せろ邪魔だ」
魔族の青年はチラッとこちらを見て、しかしすぐに興味を失ったのかそう言って『クリスタルドラゴン』との戦闘に集中をする。
壁を魔族の青年とクリスタルドラゴンが走り、時折交わったかと思えば両者ともに細かな傷をいくつも負っており、時折、クリスタルドラゴンは水晶の弾丸を、魔族の青年は青い炎の球を打ち合っている。
そんな光景を見て私たちは唖然としていた。
――桁が違う。
それが私たちの思ったことだ。魔族との交戦経験のあるはずのアレックスさんですら何もできずに立ち尽くすだけなのだ。おそらくは上位の魔族、それこそ魔王に近しいものだろう、そうでなければあんな化け物と互角に戦えるはずがない。
「無理だろこんなの」
だれのつぶやきだったかはもはやわからなかったが、それは皆の心境を代弁していた。
私たちは竜と魔族の青年の流れ弾をくらう前に逃げ出した。
いや逃げ出そうとした。
――グオォォォォォォ!!!!!!
逃げ出そうとした瞬間クリスタルドラゴンの咆哮が放たれ、入り口の天井が崩落し道をふさいでしまったのだ。
「な!?」
「これじゃ逃げられねぇ!」
崩落した通路の前で困惑する私たち。
ふと振り返って見ると魔族の青年が少しずつ押されていた。
無理もない、魔族の青年はクリスタルドラゴンがこちらに来ないように誘導していたのだから。かなりうまく誘導しているがやはり無理だったのかドラゴンのしっぽの一撃を避け体制を崩しているところに至近距離で何らかの大技が放たれようとしていた。
「危ない!!」
それを見た瞬間体が勝手に動いていた。
『疾風のブーツ』に魔力を流し移動速度を限界まで上げて魔族の青年に向かって走り出す。
周りの色が消え、自分以外のものが停止する。
私が『疾風のブーツ』を使うとかならずこういった状態になる(本来はただものすごく加速して周囲の認識などできないらしい)。
この中を動くのだが、今回はいつもと違う部分があった。クリスタルドラゴンと魔族の青年だ、時間が止まっていると錯覚するくらいの加速した世界でなお、彼らはゆっくりとではあるが動いているのがわかる。
ゆっくりはしてられない。
魔族の青年向け停止世界(個人的にそう呼んでいる)の中を駆け抜ける。
停止世界の中では早く動くことができるがそれ以外の行動は少し鈍くなる。そのためほとんど体当たりのような形で魔族の青年をはじき飛ばす。
その瞬間にクリスタルドラゴンの口から極光が放たれる。放たれた極光は停止世界にも関わらず一瞬にして地面や壁を一直線に消滅させる。
危なかった……いや、ちょっとかすった、怖かったし熱かった、泣きそう。
クリスタルドラゴンとの距離を十分に開けたところで減速をする。
一気に視界に色が戻り時間が進み始める。
クリスタルドラゴンのブレスが少し前まで魔族の青年のいた場所消し飛ばし『奈落』と呼ばれる迷宮の裏側を露出させている。
――なにあの威力おかしいでしょ!なんでこんなとこにあんなのがいるんですか!?
「竜のブレスに走ってくるなど馬鹿か人間、間に合ったからよかったもののあと少し遅れていたら消し飛んでいたぞ」
「間に合ったからいいの、……ってか見えてたの!?」
「あの程度なら見える。動けはしないがな」
衝撃の事実、まさかの停止世界を認識されていた。動くことはできないが認識はできるって十分すぎる。
だが今はそんなことを言っている場合ではない。唯一の通路をふさがれていて、魔族の青年を助けてしまっている以上とるべき行動は一つ。
「ドラゴンを倒すのを手伝って」
「……いいだろう。だが策はあるのか人間」
「もちろん、無謀だけどね」
「面白い、聞かせてみろ」
共同戦線を提案すると魔族の青年は以外にもすんなりと同意してくれた。少しは逡巡したりすると思ったのだが、意外だ。まあ、こちらとしては好都合だ。
――私がとる行動それは、魔族の青年との共同戦線だ。『クリスタルドラゴン』と『魔族』、『勇者』の三つ巴のこの状況は私たちにも魔族の青年にも得にはならない。『魔物』という存在は自分たち『魔物』以外の生物しか襲わない、そのため手を組むことはできない。魔族としては魔物とは拮抗しているが、勇者という二つ目の勢力とクリスタルドラゴンとの挟み撃ちは嫌だろう。現にこちらも嫌だし。それなら、いっそ魔族と人間で一時的な共同戦線を張ったほうがいい。もちろんこれは私の独断だ、みんなを巻き込むことはしない。
一瞬で移動した私たちのことを見失ったのか辺りをドラゴンがキョロキョロしている間に作戦をつたえる。
いや別に作戦ってほどのものじゃないんですけどね。
「は、人間にもそんな頭のおかしい作戦を思いつくやつがいるんだな」
「でも一応勝機はあるでしょ?」
「あるにはあるがうまくいってもお前死ぬぞ?」
「みんなが無事に地上に戻れる。それだけでも十分だよ?」
「自己犠牲かよ……。仕方ねえ、俺の魔力をもってけ」
作戦を伝えると青年は何か苦虫をかみつぶしたような表情をして私に魔力を渡してきた。
なんでそんな顔をするんだろう、出来損ないを対価に勇者たちが助かる。これほどまでに割のいい等価交換はないだろうに。しかし魔力をくれたおかげで成功率も上がった。これならいける。
そうして作戦の打ち合わせがを割ると同時にドラゴンもこちらを見つけたのか咆哮を上げながら突進してくる。
「いくぞ、死ぬなよ?」
「大丈夫、たぶん死なないよ」
「確約しろ人間!!」
意外に優しい青年はそう叫びながら作戦道理地中に姿を隠し、わたしも作戦道理に行動を開始する。
――さあ、来なよ。殺してあげる!!
ことねんはあれです。某正義の味方をベースに考えているの自己犠牲精神が高いという設定です。
あと、とある理由から自分の命に対する価値観がくっそ低いです。
琴音「低くないですよ~?みんなのほうが大切なだけですよ?」
こんなのです