2・訓練です
遅くなりましたすいませんいろいろ立て込んでいまして、これからは早くなると思います。
装備名を一部変更しました
異世界に召喚された次の日からは訓練が始まった。
訓練といっても召喚された人が多いためクラス単位で訓練は分かれている。最もたまに合同で訓練はするらしいが。
「俺は君たちの訓練を任されたアーケオス神聖国騎士団長のアレックスだ、これからよろしくな」
私たちの訓練を見るのが騎士団長ということでみんな驚いていた。それはそうだろう、なんで私たちだけ騎士団長なんて位の高い人が担当するかわからない。そう思っていると騎士団長から説明が入った。
なんでもいまここには各国の騎士団長が勇者の訓練をするためにこの国に集まっているので、ほかのところも各国の騎士団長が訓練を見ているとのことだ。
私たちの訓練を騎士団長が見ている理由はわかったが、魔族と戦争中とのことなのに騎士団長達が最前線にいなくていいのだろうか。
まあ、大方今は休戦か膠着状態になっているというところだろう。そうじゃなかったらこんなところに騎士団長がいるはずないし。
どうでもいいか、生き残るためにも置いて行かれないためにも頑張らないといけないし。
そうして訓練がはじまった。
「成長系だし最初は弱いけど、強くはなるでしょ」なんて楽観的なことを思い。
訓練から一か月が経った。
この一か月大変だった。何がって、みんなに置いて行かれないようにすることだ。
どうにも《祝福》には身体能力を上げる効果もあるらしく最初の訓練から置いて行かれたがそれはいい、私も成長なんて最初は弱くだんだん強くなる能力だと思っていたからそれは許せる範囲だ。しかし、いくら訓練しても一向にみんなに追いつけなかった。
それがどうにも不思議だった。私は何も訓練をサボったことはないし、手も抜いてない。なのに一向にみんなに追いつけている気配がないのだ。たとえるなら私が一歩進むたびにみんなは二歩進んでいるようにみんなに追いつけない。
だが、調べてみるとその疑問も解決した。なんでも《祝福》には身体強化のほかにも成長促進の効果もあるようで、みんなの成長率を見ると私同じかそれ以上のようだった。
あの時は二 三日部屋から出なかった。それくらいには落ち込んだ。それはそうだろう、なんせ自分の能力はみんなと同じ共通の能力で強化されているわけでもないのだ。くわえてみんなには個性的な能力があるのに自分にはないのだ、引きこもって何が悪い。
まあ、そのあとここねちゃんやまちちゃんとかの人たちに慰められて一部の人たちとは仲良くなり訓練にも再び参加するようになった。
その後の必死の特訓によって何とかほかのひとと並んで戦うことができるようにはなった。弱いけど。
「皆に伝えておくことがある。皆の成長具合を見て大丈夫だろうと判断して、訓練の一環として迷宮に行くことになった」
一か月経ったある日アレックス騎士団長に集められてそんなことを言われた。
これまで聞いたことのない単語に大半が疑問の表情を浮かべていると騎士団長から説明が入った。
なんでも迷宮というものは太古の昔に神が降り立ちその権能を使い作ったものであり、この世界には72の迷宮が存在するらしい。
基本的に迷宮のなかは魔物の住みかとなっていて、ところどころに魔力を帯びた道具、いわゆる『魔法道具』と呼ばれるものが落ちているとのことだ。この『魔法道具』を目当てに多くの人間が迷宮に入っているがその多くは迷宮から帰ってこないくらいには危ない場所とのことだ。
私たちが今回入る迷宮は、今まで発見されている迷宮の中でも最も魔物の多い第25『殺戮迷宮・カーシモラル』という場所だ。特徴は魔物が多くそして強いとのこと。
どのくらい強いかというと、冒険者(この世界の宗教や常識についてはある程度調べていた)たちは魔物の強さをランクというもので表しており弱い順にF、E、D、C、B、A、S、SS、SSS、という風に区別しており『殺戮迷宮・カーシモラル』の魔物は一番弱い魔物でDランクであり深くなるほどに強くなっていき、また数も多くなっていく(Dランク以上の魔物は秘境と呼ばれる地にしかほとんどいない)。誰も確認できてないが最下層には天災そのものとまで言われるSSSランクの魔物がいるとうわさされている(SSランクで物語に出てくる英雄でも命と引き換えでなければ倒せないといわれている)。
そんな迷宮だからこそ今回の目的である実践訓練にはもってこいだという。
尚、ほかのグループはほかの迷宮に向かうとのことだ。
「危険な場所だが、魔物の数も多いから多く戦えるし、比較的浅い階層なら対策をしっかりとっていれば命の危機はないから実践訓練にはもってこいの場所だ、準備をしっかりな」
「アレックスさん準備に関してはどうしたらいいですか?」
アレックスさんからの説明が終わると今やみんなのリーダーとなっている日野君が準備するものについて質問していた。
そりゃそうだ、一か月の間私たちは戦闘訓練はしてきたが、野営の方法など習ってない。迷宮というほどなのだから一日で攻略できるようなものではないだろう。一体何日の滞在を考えているのか知らないが、何を準備すればいいか教えてほしい。
「いや、食料に関しては私たちが準備するから特に準備はいらない」
「じゃあ何を準備するんですか?装備については支給されたので問題ないですよね?」
「ああ、装備は支給されたのでいい」
「では何を?」
私たちは先日国から武器や防具を支給されている。あの時の衝撃はよく覚えている。
この世界では武器や防具にレアリティというものが存在し、それぞれ通常級、希少級、特別級、特異級、伝説級、幻想級、神格級、という風に分かれている。基本的には国宝なんかは伝説級が多く通常の兵士であればよくて武器が希少級であり、全身を希少級でつつむか、武器が特別級であれば騎士団長クラスとのことで伝説級の武具などはほとんど使われないとのことだった。
しかし、私たちに支給された武具は伝説級であった。(伝説級以下を渡されたものもいるがかならず武器か防具の片方は伝説級をもらっている)
もちろん私だけもらえないなんてことなく、伝説級の疾風のブーツ(移動速度を大幅に上げ数歩だけ空中を歩ける効果のある防具で見た目完全にただの靴)と人数の関係でレアリティは下がるが特異級の万器(見た目はただの槍のようだが、魔力を流すことで剣、弓、盾、斧、棍などの複数の武器に変形する機能を持っている。が攻撃力は伝説級には及ばない)をもらった。
――閑話休題――
「迷宮に出現する魔物についての本があるからそれをつかってでいい魔物の対策を考えるんだ」
「対策ですか、わかりました」
「よく調べておけよ」
「はい」
魔物に対する対策か、確かに私たちは基本的な戦闘訓練は受けているが魔物の対策なんかは知らなかったちょうどいいだろう。みんな祝福の効果で普通の騎士とか兵士とかより強いけど知識の面では劣っている。それが運命を左右するかもしれないからね。
私は弱いけどな!!