75 新防具骨組み
「じゃじゃーん!」
「なにこれ……?」
ゲームにログインしてティアと合流するとまず、謎の装備を渡された。
「防具兼アバターの金属防具部分です」
「えっと、どういうことだ?」
「ほら、この前イベント一緒にいったリーフってプリンセスブランドの子なんでしょう」
「そうだな」
「そういうことよ」
「…………」
状況を理解してしまった故に、どうすればいいかわからない。
いや、でもたしかに今の防具とかと比べたら、かなり性能は上がるんだよ。未完成のこの状態でも。
ただ、どう考えてもアニメとかゲームよろしくの姫騎士風のバトルドレスになるし。スカート前開いてたり、ちょっとシュッとして槍とか使いやすい金属部にはしてくれたみたいだけどさ。
「まあ……あいつも忙しいしな。頼めるかわからんが、そういうことなら頼んでみる。いくらだ?」
「うん? あ、いいよいいよ。それイベントの時の素材で作ったやつだし、正直実験で作ってたら、性能そこそこよくなっちゃったやつだから。でも、私だとそれ以上の作業ができなくてね」
「枠組みで売れば売れるだろうに、いいのか?」
「いいのよ。だから、もし完成したら見せて!」
「お、おう……使うかは別だがな」
スカートか。ゲーム内でだけなら――って、ダメだろこの考え方は。完全にあとで身を滅ぼすやり方だ。
俺は渡されたそれをアイテムインベントリにしまいつつ、ついでにステータスを確認する。
SP9 【長槍Lv15】【軽鎧Lv39】【生産の知恵ⅠLv19】【跳躍Lv37】【HP強化Lv40】【アイテム重量軽減Lv43】【鷹の目Lv32】【調合Lv19】【料理Lv20】
控え【槍Lv32】
結構レベル上がってきたし、SP本気で余ってるな。そういえばバトルドレスは使うとしたら【軽鎧】で平気なのか?
あとでネットの方で調べてみるか。姫騎士プレイとかしてる奴らいるだろうしな。
「あ、そういえば、ティアさ」
「なに?」
ふと思い出したことがあったので結果を聞いてみる。
「前になんか、抽選あったじゃん。あれどうなったんだ?」
「あぁ、残念ながらはずれよ。その後にも2回くらいあったけどどっちもダメでした。倍率は下がってたんだけどね」
「そりゃ、またなんでだ」
「同じレベルの腕とは言わないけど、すぐに欲しいとか強い武器が欲しいっていうだけなら、別の職人でも有名だったり専属プレイヤーが増えてきたからじゃない? かくゆう私だってその1人なわけだしね」
「それでも、人気は高いんだろ?」
「そりゃ、やっぱり腕がいいからね。ただそれだけじゃなくて、カスタムのしやすさとかデザイン力とか総合的に見たっていう意味での腕がピカイチ」
「そういうもんなんだなー」
俺はどちらかといえば、使えたり使いやすければで武器はデザインにこだわる方じゃない。
さすがにアバターみたいに防具ではなく見栄えのためのアイテムだと気にするけどな。
「しっかし、専属か。夢のまた夢だな」
「なんでよ」
「まだセンターシティだし。第2拠点いったことほぼほぼないからな」
「あぁ、キングダム。私もあんまり言ってないな。つくってる武器が初心者向けだからとかもあってこっちのが売れるのよね」
「リーフにこれ頼んでみて、ダメって言われるか完成したらそろそろ進んでみるか」
「防具と一緒に武器も新調してみる? なんてね」
「お前のこれまだ使いやすいし平気……といいたいが、耐久力とか、あっちのレベル考えるとそうか。あっちでなんかいいアイテムとか取れたら頼んでいいか?」
「それなら、あっちで武器職人見つけなさいよ。あっちで商売してるし、フィールドに合ったものつくってくれると思うわよ」
「そんなこというなよ。それに別に効率とか重視したいんじゃなくて、やっぱり友達とかと遊んだほうが楽しいだろ?」
「そ、そうね……」
「なんで歯切れ悪いんだよ」
「いや、だってそんな真正面から、そういうこと言われると気恥ずかしいわよ」
そんなこと言われると俺まで恥ずかしくなってくる。
「ひ、ひとまず、じゃあこれからどうする? リーフまだログインしてないっぽいし!」
「そ、そうね。それじゃあ……文化祭もあって、最近プレイ少なかったしどこかで狩りして感を取り戻しましょう!」
「そうだな!」
その後、2時間くらい狩場で狩りをした。
しかし、ティアはイベント後に、戦闘用装備を一新したっぽいが、ハンマー振るたびにはためくスカートが危ういな。
本人曰く中にスパッツに近いあれがあるし、ゲーム的にやばいところまではいかないから問題ないとか言ってたけど。
そこまで開き直れるものなのだろうか。
それとも男が女の服を着るという、おかしな自体を経験している故に俺が気にしすぎているだけなのか。