69 その日はやってくる
文化祭開催日前日になった。
今日は先生に申請を出せば、準備が遅れていたりするようなら泊まり込みが大丈夫な日となっている。
だが、俺のクラスは手際が良かったのも合って泊まり込みが必要ということはなく家に帰ってこれていた。
俺は文化祭前日ということもあってそわそわしてしまっている。風呂などをすませたが、どうにも眠れそうにない。自分でも遠足とか修学旅行前はねれないタイプだと自覚している。
俺はまだ時計の針も深夜にはなっていないのを確認して、少しだけと自分に念を推してOAOにログインすることにした。
いつものように賑わっているOAOの最初の拠点、センターシティ。露店を少し眺めた後に、街近くの草原へと足を向けた。
ここにいるモンスターならこちらを自分から襲ってくることはあまりないレベルになっていたし、ゆったりするにはちょうどいい場所だ。
「あれ、アキちゃん?」
そんな中、草原で横になって夜の空をみあげていた時だった。どこからか声が聞こえてきて、体を起こしてそちらを向く。
そこにはこのゲーム世界での有名人であり、同級生の姿があった。
「リーフ。文化祭の準備は終わったんだな」
「なんとかね」
そうして自然に隣りに座ってくる。
「リーフのクラスって最終的に何やることになったんだ?」
「喫茶店みたい……まあ、あたしの担当はミスコンの衣裳のほうだったけどね」
「あぁ……やっぱりリアルでもそうなのか」
「でもゲームだと色とか細かい部分のシステムアシストとかが入るからやっぱり違うね。ちなみに、アキちゃんのクラスの代表は誰なの?」
「……俺」
「……これは勝てないわ」
「なんでそんな反応なんだよ!?」
「いや、だって話聞いたけど去年の優勝者なんでしょ。衣裳さえ間違えなければ、きついよ」
「複雑だわ……」
その後もしばらく学校のことなどを話しているうちにいい時間になった。
「俺はそろそろ寝るかな……頑張って」
「あたしも寝ないと。じゃあ、お互い頑張ろうね」
「おう。おやすみ」
「おやすみなさーい」
そういってお互いにログアウトする。
俺は頭からアリアンを外してそのままベッドに倒れ込む。
――なんていうか不安と複雑な気持ちと楽しみな気持ちとかが混ざり合って、昂ぶっててやっぱり眠れそうにないな。羊でも数えるか。
何匹まで数えたかは覚えていないが、いつのまにか俺は眠りにつくことができた。そして時間は文化祭当日となる。