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VR世界に少女が現れた、仲間になれますか?  作者: ゆっき
第1章 ゲームスタートと幼馴染
7/80

07 初パーティとスパイダー!?

 林の中は木の感覚がおもったよりあって、それなりに動きやすくはあるが、視界は良いとはいえない。


「βのときはこの辺にいたんだけどなー」


 ファルコはそう言ってその辺を見回している。何がいるかも知らないので俺は見回してもしょうがないが、ひとまず警戒という意味も込めて、周りを見てみる。

 地面になにか他の大量に生えてる草とは違うものを発見した。


「ん……?」


 無造作に根っこから抜いてみると、どうやらアイテムだったようだ。ていうか、アイテムだっていう表示も手に取るまではでなかったぞ。


「薬草か、わかり易い名前で何よりだ」


 あっ、【アイテム重量軽減】に経験値入ってる。アイテムゲットしてインベントリに入るとレベルが上がるのか。アイテム採取とかもやっていったほうが良さそうだな。


「ていうか、所持重量が決まってるんだよな……バックとかなのか筋力的なステータスのあれなのかも確認しないと」

「アイテム重量や装備重量は【STR(ストレンクス)】によって左右されるであるよ」

「あ、聞こえてた? そうなのか。ありがとう」

「いえいえ、攻略サイトや誰でも知り得よう簡単な情報は教え合うのもゲームの醍醐味であるからな」


 フェンスは見た目の大きさは包容力な気がしてきた。すごい良い人だ。

 俺がそんな人のつながりに感動している時、後ろでファルコが声を上げた。


「いた!」


 ファルコの方を向くと遠くを指差している。そちらをゆっくりむくとたしかに何かいるが、遠くてそれが何かまではわからない。


「あ、そだ」


 すっかり自分でも忘れていた【鷹の目】を使ってみる。まだレベルが上がってないため効果は殆どないようなものだが、遠くにいるその小さな何かの名前が表示される。


「えっと【ラージ・スパイダー】…………」


 俺は声に出して読み、その場で固まった。


「ん? どしたの、アキちゃん」

「どうしたであるか?」


 2人が心配した声をかけてくれて意識が戻り、ひとまずファルコの胸ぐら掴んで前後に振りまくっておく。


「おまえ……おまえ……」

「い、いや、この辺だと弱いやつよりちょっと強めにあいつ倒しちまったほうがレベルあがるんだって」

「俺が虫苦手だって知っての所業かちくしょー!!」

「すまんかったって、まあゲームだし我慢してくれや。最悪、3人でも倒せるから」

「はぁ……はぁ……」


 ひとしきり文句を言い終えてから改めて遠くのスパイダーを見る。

 名前を見てから小さいはずなのにはっきりと足8本を認識できるようになって寒気がする。


「やってやるよ! 男は度胸だ!」

「アキちゃん女だよね。まあ女も度胸っていうし、全然いいけどぉ」

「やかましぃ!!」


 半ば暴走気味の俺とその他3人はゆっくりとそれに近づいていく。距離が縮まるごとにでかくなっていき、目の前にした時、相手の大きさは俺たちの身長の一回り上くらいの大きさだった。


「大きすぎてなんか気になんなくなった」

「そいつはよかった」

「よかったである。ではわがはいが先鋒を務めるので、後ろからアキとファルコはついてきてほしいである」


 どうやら壁となって敵をひきつけるのはフェンスの役目らしい。レベルが低いとは言え重装備だから大丈夫なのかな。


「カタタわかってるな」

「援護しつつ糸はかれたら燃やすよー!」


 ファルコとカタタもそうやって役割確認を行ってる。


「俺はどうすればいい?」

「アキは俺と一緒に攻撃。アーツって覚えてるか?」

「まだ【槍Lv.3】だから覚えてない」

「なら普通に攻撃だ。糸には気をつけてくれ。火ですぐ焼ききれるからカタタがやってくれるけど、捕まった時点で面倒くさい」

「了解した」


 スパイダーの糸は火属性に弱くて焼き切れるんだな。これからのプレイに役立ちそうだ。


「それではいくである!【シールド・トレイン】!!」


 そんなアーツがあるのか。

 フェンスはそう叫びながら盾を前に出してスパイダーに対して突進していった。そして、その盾が敵の顔にぶつかった瞬間に攻撃態勢になる。HPも減ってるのを見るとしっかりとした攻撃技になってるらしい。


「アキは左! オレが右だ!」

「わかった!」


 言われたとおりに走って敵側面に回り込む。最初に攻撃した上に、追撃で正面の遠距離から火の小さな塊をぶつけられてスパイダーの視線が釘付けだ。

 そのまま槍で横から連続突きをした。

 悲痛な鳴き声を上げてスパイダーのターゲットは変わったようだが、俺よりもダメージを出していたファルコのほうなようで、俺の目の前にはでかい蜘蛛の……尻なのか腹なのか詳しくは知らない丸い部分が現れる。


「おっしゃ……てぃやっ!!」


 俺は少しだけ後ろに下がった後、勢い良く助走をつけてスピアの先端をそのデカイ的に突き刺した。


「ナイス。アキ! ターゲットそっちいったけど反転なら時間がかかる! このHPならたたみ掛けろ!!」


 反対側でファルコがそう叫び全員で一斉に攻撃の雨を浴びせた。俺の前に寒気のする顔がくるころにはHPがなくなり、ラージ・スパイダーは地に伏した。


「やっぱターゲットを左右に動かせると楽に倒せるな」

「これで、楽なのか」

「3人だとどうしてもな。数回は攻撃されるの前提で戦うような相手で、今のレベルだと半分以上持ってかれることもあるから」

「まあ、役に立てたならよかったよ……お、槍のスキル4になった。やっぱレベル上がりやすいな」

「10の後から結構上がりにくくなるぞ」

「ほうほう」


 話しているうちにとどめを刺したカタタがドロップ品を回収してこちらへときた。


「おつかれー、1回くらい糸くらってもよかったのに」

「なんでだよ」

「女の子が糸食らってる絵面がエロい!」

「発想が邪だ! ていうかカタタも女だろ!」

「ほらぁ、カタは素材は良くないから……まあ、次に期待! 大丈夫、スクショとってからすぐに助けてあげるから!」

「絶対にあたらねえ!!」


 初対面の人間関係から少しだけパーティーに溶け込めたと思いながらも、女の扱いは複雑だが、この後もしばらくスパイダー狩りを行ってレベルを上げていった。


 ちなみに、俺はその間一度として糸に捕まることはなかった――捕まることはなかった。


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