64 vsウォル・スネーク
再び潜水してさらに奥のレバーをひく。どうやらまだ先があるようだ。
そのまま、さらに潜水していくと更にレバーがあった。ただ、今までとは色と大きさが少し違う。
「絶対に何かあるよな」
「でも、やるしかないわよ」
「そうだな」
少し緊張しながら、そのレバーを同時に下ろす。すると、光がついてとうとう水底を視界にと耐えることができる。
「アキ! あれ!」
「台座だな……ただ」
水底の中心とも言える場所には水晶を設置できそうな台座が沈んでいるのが見えた。だが、それと同時にゆっくりと何かが開いてるような振動も響いてくる。
どこからなっている音かと思っていると、突然頭上の壁が壊れる。
「なんだ!?」
思わずそちらを見上げると蛇のように体をうねらせるモンスターが顔を覗かせていた。
「あれって、絵に描いてあったヤツじゃないの!」
「多分そうだろうな……」
少ししていつも通りにモンスターステータスが表示される。
【ウォル・スネーク Lv30 Boss】
予想通りのボスモンスターでしかも、レベルも俺たちより上のモンスターだ。
「マジか……ティアどうだ?」
「ハンマーが水の抵抗おもったより受けてる。ゲームとは言え多少はかかるのね」
「俺もぶっちゃけ突き攻撃なら大丈夫なんだけど、振り回せそうにない」
そして、ティアの覚えている魔法は火属性だった気がする。俺は魔法をそもそも使えないから――物理に頼るしかないな。
「とりあえず、壁足場にしてティアはスタン狙ってくれ。俺は弱点探して見るから」
「わかった。気をつけてね」
水中だからこそできる芸当だ。
俺が勢い良く泳いでスネークの前を通り過ぎて上に向かうと、こちらへと追いかけて、体を開けた穴から徐々にだしてくる。
「頭がこっちにくるとスタンが……っておもったけど、まあいいか」
俺はそのままスネークの動きを見ながら途中で体を反転させて向き合うような形になる。
「噛みつきか。それとも、体当たりかはたまた毒でもはいてくるか……」
顔の大きさを見るに丸呑みはされなさそうだ。つまりは長い蛇という認識で合ってるはず。まあ、そうはいってもかなり太いことに変わりはないんだけど。
「うおぉっ!?」
どうにか攻撃を見極めようと思っていると、突然目の前にスネークの頭が現れた。多分、加速したということなんだろうけど、ギリギリで回避する。
「どうだっ!」
回避した直後勢い良く壁に頭が激突していたので、どこまでが首かさっぱり分からないがとにかく槍を突き入れる。
しかし、鱗に弾かれてしまった。
「また、硬いのかよ! 最近、マジでそんなんばっかな気がする!」
「よいしょぉ!!」
上でそんなことをしていると下からそんな声が聞こえてきた。スネークの体でさっぱり見えないが、その数秒後、スネークが大きく怯んだ。
腹にハンマーの全力の攻撃でもはいったのだろうか。
スネークもさすがにまた潜るようにティアのほうへと向かい始めた。体が大きすぎて、水流ができて少しの間動けない。だが、そこで初めて全身が水中の中に現れた。
「でっけぇ……」
「はぁぁぁい!!」
「気合入ってんな……こっちも仕事しないと」
俺は動けるようになったところでスネークに近づきながら観察する。まず体全体的に鱗で覆われているわけだ。あの鱗がおもったより硬いのと水のペナルティに近い形で勢いが落ちて貫けない。
「アキー!! お腹!」
「腹がどうしたー!」
「白い! ふんっ!」
頭が近づいてくる度にハンマーを振り回して牽制している。さすがに、一撃が重いことを学んだのか、スネークも少し行動がおとなしくなっている。
俺は壁に足をつけて勢い良く潜水する――ここで初めて気づいたが、壁に足をつけて勢い良く蹴伸びのように潜水する場合は【跳躍】も効果を発揮してたようだ。
おかげで、すぐに蛇の下に一度ることができたが、そこで腹を見た。
たしかに一部白くて鱗のついていない場所がある。あそこは柔らかいのか……というかあいつはあそこにハンマーをねじ込んだのか。
それは痛そうだな。
「そんじゃ、俺もいっちょやってるか! 【チャージ・スピア】!!」
壁で跳躍も合わせて水中で使ってみると、上手く発動してくれた。その槍がスネークの腹を貫く。思った以上にHPが減ってスネークが怯んだ。
「これならいけるか?」
数十分ほど戦い続けた結果、スネークのHPを3分の1まで削ることができた。
ただ、それ以上にこっちが限界近い状態になっている。しかも、スネークは怒り状態にはいって動きと攻撃力が増してしまった。
「どうするかなこいつは……」