63 潜水開始
南京錠に鍵を差してみると、すんなりと外れて地面に落ちた。
そのまま扉を開くと、円形の広いフロアになっている。そして、壁には並ぶように火をつけられるオブジェが設置されていて、試しにつけてみるとフロアはかなり明るくなった。
「……ここが最終地点だろうな」
「そうね」
俺たちは明るくなったフロアで、中心に現れた物を見ながらそう話す――そこには水が存在した。
そこそこ広く、中に潜ってモンスターとの戦闘も可能であろう大きさだ。
「台座は、見えないわね」
2人で水面から覗き込んでみるが、水底まではさすがに光が届かずにどれだけ深いかもよくわからない。
「だな……でも、ここ以外それらしい道なかったよな」
「あの倉庫にさらに下に続く隠し通路があるとでもいうの?」
「……さすがにそれはないだろ。ないでほしい」
「じゃあ、ここになるのよ」
上の光がついても水の中では暗闇で活動って怖いな。かといって、さすがに水中となるとランタンも特殊なものじゃないと使えない。
「一回、はいってみる? 何か仕掛けとかがあるかもしれないし」
「それがいいと思うんだけどな……正直、どうやって攻めていくべきかってところだよな」
範囲が広いから一緒に動くか、それぞれ半端側の壁伝いに潜ってみるかも考えないといけない。
「ひとまず、生存率高める意味でも一緒がいいと思う。急ぐ必要もないんだから」
「じゃあ、そういう感じで行ってみるか」
改めて水中で動きやすいような装備やショートカットに設定をしてから、俺たちは水の中へと飛び込んだ。
はいってすぐはまだ光が入っているからいいが、深くなるにつれて外から見たとおりに視界が悪くなる。
「なんかあったら言ってくれ」
「わかってるわよ」
壁に手を付けて慎重に潜っていく。酸素量が若干心配だが、一回だけですべての探索を終える気はないからいいとしよう。
上からの光がギリギリといったところまでたどり着いた。周りを少し見てみると何かが壁にくっついているのを発見する。
「アキ。あっちにもある」
ティアが指差す方向を見ると、ちょうど反対側といえる場所に似たようなものが存在している。
「俺があっちいく」
「わかった」
壁を蹴って横断するように泳いで、それに近づく。
「レバーか?」
壁に着地して、それを間近で見てみると、そうとしか思えない。手で掴んでみると、簡単に下に動かすことができそうだ。
ティアの方を見ると、全く同じようなものだ。多分、同時に倒せばいいってことだと思うんだよな。
さすがに遠くて声が届かない。通話をかけてもいいが、ジェスチャーでレバーを倒すことを伝えてきてるから、あっちの指のカウントダウンを見てタイミングを合わせた。
そして、レバーを倒した瞬間、更に下のほうで設置されていた光源が起動して水の中を照らし出す。その後は一度ティアの方へ合流する。
「こういう仕組みになってたんだな……まあ、まだ底が見えないわけだけど」
「一旦、上がって酸素補給する?」
「そうだな。そうしよう」
俺たちは一度陸へ上がって呼吸を整えてから更に奥へと進むことにした。