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VR世界に少女が現れた、仲間になれますか?  作者: ゆっき
第3章 アップデートと初イベント
43/80

43 情報と収穫

 マップを確認しながら進んでいくこと数十分。フィールド内時間では昼を少し過ぎた頃で、目的地へとたどり着くことができた。

 森を抜けると風がふいて草が小さく揺れ続ける草原が広がっている。周りは森に囲まれていて、まさに自然というような感じだ。


「おぉ……そこかしこに、アイテムだらけだな」

「ですね」

「え、待ってくれ。それもアイテムなの?」

「火炎草ですよ。知りません?」

「見たことない……もしかしてこのフィールドだと、今まで自分でゲットしたアイテム系しか認識できない?」

「かもしれません」


 ひとまず目についた薬草類は採取していく。工夫して持ってきたとはいえ、やはりポーションのたぐいの数が心もとない事実は変わらないからな。


「お、陽光草も生えてるんだな」


 とっているうちに日当たりのいい場所に移動してたらしく見つけることができる。


「……やっぱり、プレイヤーというかキャラに蓄積されたデータが反映されているみたいですね。陽光草はわたしはわかりませんでした。今、アキさんに言われてから認識できるようになりましたし」

「マジか……これ毒草とかの被害がかなりでそうだな」

「ですね」


 戦闘職だけのパーティーだと食材でもアイテム面でも大惨事が起きそうだ。

 俺らの場合は強敵に太刀打ちできるか怪しいという問題があるんだけどな。


「それじゃあ、少し踏み入りますか」

「だな」


 草原でそこそこのアイテムを手に入れた後、俺たちは少し深そうな森の中へと足を踏み入れる。無理そうなら引けばいいと判断したんだが――


「やばい、思った以上にこっちに素材があるな」

「ただ、いくつか見たことないですね……要検証アイテムです」


 テンションがあがってきてしまった。

 見たことのない白い草とかを採取していく。


「えっと『氷結草』か。効果は見えないけど、名前的に氷属性付与とか耐性つけられるポーションの素材になるのか?」

「こっちには『炎熱草』という赤い薬草がありますよ」

「対極の草があるとは――あ」


 少し座って採取していて痛くなった腰を伸ばすために体を反らせたら、上にあるものを発見した。


「どうかしました?」

「ラッキーなものを発見した。ちょっと、この辺のアイテム採取お願いできる?」

「それはいいですけど」


 登攀スキル持ってないけどいけるといいが――俺はその目的のものの1番近くの木にしがみついて、よじ登れるかを試してみる。

 さすがに木を登る程度ならプレイヤースキルだけでもどうにかなるようで、途中にある太い枝に足をのせて一休み、そして更に上までのぼっていき、右手を伸ばしてそれをとろうとするが――すこしばかり距離が足りない。


「ミドリー! 今からそっちに落とすから集めてくれ」


 一度、下に降りて登るときに邪魔と思って立てかけておいた槍を背中に背負って再び登る。


「それはいいですけど、何があったんですか」

「食料だ!」


 俺は槍が届く距離までたどり着いたら慎重に傷つけないようにしてそれを落とす。果物っぽい木の実だ。幾つかがまとまってくっついているので、その木と繋がってる根元を切ってやると下に落下していく。

 そこそこ硬い実のようで、地面に落ちた衝撃で潰れるとかは起きなかった。


「自分で降りてきて回収するでも全然良かったな」


 木の実を拾ってくれてるミドリの方に手伝いに行くと、ミドリは木の根元を見ている。


「アキさん。落としたことで運良く別のものも見つかりましたよ」


 俺がくるのに気がつくとそういって指をさす。そこを見るとキノコが木にくっついていた。


「あとで毒味しないとだけど、ラッキーだな。これで今日と明日の朝くらいまでは乗り切れるか?」

「ですねー。調味料とか手に入れられればさらに別なんですけど、マップの北西あたりにあった遺跡とかダンジョンの中だと思いますし」

「だよなー……長期的に考えると明日はそこにいってもいいかもな」

「ですね。ところで、思ったよりも採取できたせいで重量がきつきつなのですが?」

「あぁ、俺が持つよ……でも、もう帰って調合とかしちゃうのもいいかもな」

「ですね。一旦、戻りましょうか。プレイヤーの人とかならセーフティエリアに入れるみたいで、荒らされてても嫌ですし」

「だな」


 俺とミドリはまだ日はそこそこ高くのぼっているが、今日のところは初日ということもあり一度拠点に戻ることにした。

 森の中で若干道がわからなくなって迷ったのを考えると、この選択は正しかったと思う。

 拠点としてたてたテントが襲われてるようなことはなく、俺たちはティアとリーフが戻ってくるまでの間、少なくともわかる素材で作れるだけポーションを作っておいた。

 そして、空がオレンジ色から黒に徐々に変わりはじめた頃に、2人が戻ってきた。


「ただいまー」

「ただいま」

「おかえりなさい、大丈夫でしたか?」

「おかえり~」


 ひとまずは無事のようだ。


「アキちゃん大丈夫だった?」

「俺は大丈夫だったぞ」

「アキ。ちょっと聞いてよー」

「なんだなんだ」


 武器を邪魔にならないところにおいてきたティアが泣きつくように、話し出す。


「あの火山モンスターいっぱい出てくるのよ! 鉱石の数もかなりすごいし、みたことない鉱石も見かけたんだけど、いかんせん難易度が高くてねー」

「そんなに高レベルなのか?」

「ううん。高レベルじゃないけど、数が多いのよ。ハンマーが相性いいから、ひとまず鞄いっぱいはとれたけど、あれを毎日続けるのはしんどいから別の方法探したいわね……あ、ってことで、モンスターの肉が少しだけ取れたわ」

 そういって、ティアは俺に【ファイヤリザードの肉】をいくつかわたしてきた」

「あたしからはこれを進呈。アキちゃんしか使えないと思うし」

「なんだなんだ、火山はそんなアイテムの宝庫だったのか」


 リーフから渡されたのは【調味料セット】だった。しかも、使用回数が無制限のものだ。


「なんだこのチートなんだかチートじゃないんだかよくわからないアイテムは」

「なぜかモンスターのドロップで手に入ったの……あたしにもさっぱり」


 現地調達っていうのはモンスターのドロップ品も含めてなのか。目に見えてるものだけが全部じゃないかもしれないな。


「まあそんなこんなで戦闘多くて空腹度がギリギリなんだけど」

「そう! アキご飯食べたいわ!」

「ナツはお前に似たんだと思うんだよな」

「何の話よ」

「気にしないでいい。時間かかるから鉱石でも鑑定してろ。周りの岩剥がさないといろいろ不純物が混ざっちまうんだろ」

「じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ」


 俺はそういって、焚き火に火をつけて大きめの石を並べ始める。

 リーフはキョロキョロとミドリやティアの方を見てから俺の方にきた。


「あたしなにかできることあるかな?」

「あぁ~……じゃあ、そこの湖のやつでいいから水それなりに用意しておいてもらえるか?」

「了解!」


 全員の役割が決まったところで、レッツクッキングタイムだ。


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