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VR世界に少女が現れた、仲間になれますか?  作者: ゆっき
第3章 アップデートと初イベント
39/80

39 素材とパーティー

 場所が変わってリーフの店に辿りつく。

 まさか超有名人のお店にさらっと入ることになっていたとは思いもしなかった。


「えっと、はいこれ」

「あいよ。金はこんくらいかな?」

「え、こんなにいいの?」

「料理の価値が上がって今かなり需要が高まってるんだよ。だからある程度高めに払っておいたほうがいいと思ってな」

「そ、そういうことならもらっておくよ。値段の移り変わりこのゲーム結構激しいもんね」

「本当にな」


 露店や自分で店が持てる自由度のゲームだ。当然、NPCショップを基準にしながらも需要や供給量のバランスによって、適切に値段を変えていくほうが文句が出ないに決まっている。

 現在は生産職の中でも名のあるフリーの人たちなどが、値段の基準を決めたりして事なきを得ているが、いつバランスが崩れるかはわからない。


「そういえば、アバターとかの値段ってどうなってるんだ?」

「ある程度の基準は、プリンセスブランドのひとりのマチって子の【アバタークリエイト】ってギルドが作ってるけど。最終的には手間とか材料次第で結構う振れ幅大きいかな。あたしは基準に従わずにオーダーメイドなら素材と手間での計算と話し合いで、自分でテンションとか趣味で作ったり試作で作って売れるなって思ったものは、店にだしてるみたいな感じで、もとがギリギリとれるぐらいまで安く設定してるよ。ゲームだから、お金集める手段他にもあるからね」

「そういうもんなんだな」

「1番適正価格を決めにくいのは武器と防具の業界らしいけどね。性能とか鉱石の種類でぜんぜん変わるらしいから……アバターと布防具も含めちゃうけどこっちは、よっぽどの性能強化がつかなければ、見栄え重視になるから、わりと単純」

「大変そうだ。俺には到底できなそうだよ」

「でもスキルは結構生産よりだよね。前に聞いたとおりなら」

「まあ、たしかに否定はしない」


 【料理】とか【生産の知恵Ⅰ】とか【調合】とかみてると消耗品の生産職だよな。

 そういえば、俺はよく知らないんだけど、見た感じは個人経営だよな。


「リーフってギルドとかNPC雇ったりとかしてないのか?」

「テスト期間とか忙しい時は雇う予定だけど、基本的にはオーダーメイドが多いし。そもそも店を趣味でこんな場所に立てたから普通に見つけるのはね」


 まあ、たしかにわざわざ森の中だもんな。


「ギルドは入ってないよ。しっくり来る場所見つからないのと、アバターっていうことに集中はしているけど、固めたくないんだ。だから入るならかなり行動の制限がなくて、楽しそうなところが見つかったらかな」

「そっか」

「アキちゃんは?」

「ギルドというものがよくわかっていない! あと誘われたこともないからな」

「へぇ~。アキちゃんなら人気でそうなのに……やっぱり、スカートじゃないとダメかな?」

「どんだけ着させたいんだよ」

「いい素材が目の前にいるんだもん!」


 身長だって、似たり寄ったりなんだから自分で着て写真でも撮ったり撮ってもらえばいいのに。


「そんなこと言っても、よっぽどのメリットがあったり、俺が狂ってないとやらないからな」

「わかってるよー。無理やりはあたしもいやだし――あ、そういえば、アキちゃんってイベントは参加する?」

「唐突になんだ」


 と、思ったけど。よく考えたらイベントのために料理の練習をしているということが、今日の始まりだったな。


「まあ、参加はする予定だ」

「ソロ? パーティー?」

「パーティー組む相手もいないしソロだな……って、なんでそんなことまで?」

「あたしも今はソロだから一緒にでない? ソロ報酬とパーティー報酬は別々だから、どっちも取れる可能性もあるみたいだし」


 2人パーティーで、絶対にいるであろうベテランやリアルフレンドパーティーを相手にするつもりなのか。しかも、中途半端な槍使いと生産職で。


「厳しくないか? まあ、一緒にやること自体はいいけどさ」

「やった。それじゃあ、よろしく! 他に当て合ったりする?」

「えぇ……まあなくもないってレベルだけど」

「ちょっと、声かけてみてほしいな。ちなみに、あたしは下手に名が売れてるせいで、人を誘いにくい立ち位置になっちゃってるの。店主とお客さんとか、先輩と後輩みたいな扱いされちゃって」


 たしかにリアルを考えると、苦手そうだ。上下関係じたいは上手くやるだろうけど、ゲームで、しかもイベントでまでそれは辛いものがある。


「数人、普通の友達もいるけどみんなギルドとか固定パーティーとか、社会人で参加できそうにないって人でね」

「まあ、リアルは仕方ないもんな。とりあえず、そんじゃ声だけかけてみるわ」

「よろしくー!」


 俺は改めてフレンドを確認してログインしてるティアとミドリにイベントのお誘いメッセージを入れた。

 すると、30秒後ぐらいにティアから返事が来る。


『大丈夫よ! むしろ大歓迎よ! あ、でも私みたいな鍛冶職でもいいか一応聞いておいてくれると嬉しいわ。大丈夫なら学校でもメッセージでもいいから連絡頂戴』


 テンション高いな。


「武器とかの鍛冶生産職の人なんだけど大丈夫か?」

「あたしが鍛冶職だから文句言えないかな」

「……おう」


 ティアには大丈夫というメッセージを改めて送る。そしてすれ違うようにミドリからの返信が届いた。


『わたしでいいならぜひ、ですが生産ですし大丈夫でしょうか?』


 同じような心配をしていた。


「もうひとりポーション生産職大丈夫か?」

「生産職パーティー大歓迎……うぅん、こっちの色のほうがいいかな?」


 気づいたらなんか店の中のマネキンを着せ替えている。

 俺はそれを横目にミドリにも大丈夫ということを送っておく。これで4人パーティーになったわけだ。


「リーフ。とりあえず4人になったしこれくらいでいいか?」

「十分だよー」

「ついでにいっておくと、どっちも同じ学校の同級生だが、バラす?」

「へぇっ!? そ、それは予想外かな。ひとまずはバラさない方向で」

「わかった。じゃあひとまずはネットで知り合ったってことで」


 決めておかないとついうっかり言ってしまいそうだからな。これでイベントのパーティーが完成だ。


「じゃあ俺はまた料理の旅にいってくる。イベント楽しもうな」

「はーい! またね」

「あと、明日委員会だからな」

「は、はい……」


 俺はリーフの店を出て、また火の使えるセーフティエリアへと向かい、ログアウトするまで一心不乱に野菜炒めを作り続けた。


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