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VR世界に少女が現れた、仲間になれますか?  作者: ゆっき
第3章 アップデートと初イベント
35/80

35 新アイテムと新スポット?

 林入口に変化は特にないように見える。

 いつもの採集ポイントなどを巡っても同じだ。ただ、それと同じようないつもどおりのものしかみつからないため、最後のひとつのアイテムが見つからない。


「薬草に解毒草に、ほかも数は集まったな。モンスターも特に増えてないし林の変化はそこまでない気がする……っとなるともとからあったレアアイテムなのか?」


 少し【鷹の目】を使って、林の中を見渡せるだけ見渡してみる。行ったことがある場所に変化は見受けられないし、新たに増えたエリアもなさそうなんだよな。


「もしかして、道なき道とかそっち系なのか?」


 色々と今までは気にしてなかった場所も探ってみる。木々が生い茂る中でも、まだ木の感覚が広い獣道になってる可能性がある場所を探ったり、反対側の湖のほうへ行って新たな道が増えてないかの確認をしたり。

 神殿にはいっていない。さすがにあそこに植物追加はほとんど考えられないし、考えたくないから。


「うぅ~ん……」


 だけどそこ以外の当てがないのも事実なんだよな。

 また、俺はいつもの採取ポイントの方へと戻ってみる。やっぱり変わった部分はない気がする。

 改めて歩いていると、背の低い草木が揺れる。そちらに警戒すると、中から小さな人型の緑色のモンスターが現れた。


「うん?」

「…………」


 よく見ると、片目が花で、足というよりは根っこで動いている感じだ。少し念じるとHPと名前のところに【アルラウネJr】とでてくる。

 そしてアルラウネは俺に小さく手招きをすると再び草木の中に潜るようにして行ってしまう。とりあえず、俺もそれを追いかけてみる。


 獣道どころか四つん這いにならないと通れない小さな蔓の道を、アルラウネを追いかけて進むこと数分がたった。


「こんな道あったのか。新要素だとしても、前からあったとしてもすぐにはわからないって」


 なんか【鷹の目】と別に【探索】とかそういうスキルもあった気がするから、それがあれば見つけられたのかな。

 そのまま進んでいくとようやく出口にたどり着いた。

 蔓の道からでて立ち上がり周りを見渡すと、木々の真ん中で光が差し込むなにやら神秘的な空間が出来上がっている。


「お客人かな? これは珍しい」


 その場所の奥にあるひときわ大きい木には、キノコを椅子のようにして座っている男性NPCがいる。だが、その体の殆どは木のようになっていて、顔がかろうじて人間というような姿だ。


「私はトレント。一応、この森の精霊だ。歓迎するよ、人間さん」

「お、おう」


 自動イベントなのか、立っていると挨拶をされる。


「どうやら、うちの子が君のその可憐な花に誘われたようだ」


 そういってトレントは、アルラウネの頭をなでながら、俺の髪につけている花を指差す。

 リーフに作ってもらった装飾品であり、この周辺の植物モンスターのレアドロップの花だ。設定的に反応してもおかしくはないか。


「君は少なくとも彼女に危害を加えたりはしなかった。歓迎しよう。ゆっくりしていってくれ」


 そういうとトレントは再びキノコに座る。木によっかかっているのをみると、木の根の一部みたいにすら見えるな。

 それなりに広いこの空間を回ってみると、草系のアイテムが数多く生えている。採取しても特に何も言われないし、大丈夫だろう。

 そして、陽の光を1番浴びている場所に、最後のアイテムが生えていた。


「陽光草……ここにあったのか。もしくは、林の中でも日が集まる場所にしか育たないアイテムなのか?」


 これは2本でノルマが足りるらしいが、3本採取しておこう。

 改めてアイテムの数を確認し終えてから、蔓の道を戻ろうとするとアルラウネに腰を掴まれる。


「…………」


 無言のままだが、小さく首を横に振ってそっちじゃないというような意思を感じる。すごいなこのAIというか、動き方……あと、可愛い。


「そこに、人間たちが使っているポータルを作ってあるから、自由に使って移動してくれ。いつでも待っているよ」


 トレントがその様子を見ていたかのようにしてそういう。トレントが指差した先には何もないが、セリフを言い終えるとそこに転移ポータルが現れる。

 そこに触れると登録もできて、これからは自由に行き来できるようになった。

 アルラウネの頭をなでてから俺は林の入り口まで転移して、農夫の元へと急ぐことにする。

 農夫にアイテムを渡し終えると報酬が渡される。そしてスキル欄に【畑の心得Ⅰ】というスキルが増えて習得できるようになった。


「そのスキルを育てると、畑の土の質や畑で育つアイテムの質を見分けられるようになる。その他にも、上級のスキルになれば土に魔力を込めたり特殊なアイテムの収穫も行えるようになるわい」

「結構すごいスキルだな」


 土地を買うなら店を建てるのが今までのオーソドックスだった。だから、金を集めてギルドホームを作るか、生産職が買うのが常識だったけど……少し、土地の価値も上がったかもしれない。


「でも、すぐには決められないから、かいたくなったらまたきます」

「ふぉっふぉっふぉ。楽しみに待っておるよ。今回はありがとう」

「いえいえ」


 挨拶を終えてクエストを完遂することができる。

 ティアに連絡をしてもいいが、少しまだ気になることが増えたのでショッピングロードへと移動する。

 目的の人物は今日もそこにいた。


「ミドリ」

「あ、アキさん。どうしたんですか? てっきり誰かと一緒に活動しているのかと」

「いや、ソロで林探索してたよ。アイテム集めが結構ハマっててな。それで新しいクエストみつけて、このアイテム見つけたんだけど前からあったのか聞きたくて」


 俺はそういって、ミドリに陽光草を見せる。


「……少なくともわたしは見たことありませんね」

「そうなのか……どんな薬が作れるんだろうな」

「自分で調合で試してもいいけど、数が安定しないならレシピをさがすのがいいかもしれませんね。新たなアイテムなら増えているはずですし」

「そっか。今まで簡単なのだけだったから、自分で作ってレシピ登録してたけど、そもそもレシピ本もこのゲームあるんだったな」

「その通りです。もし、少し数が多く取れたりしたら、研究手伝いますよ。相場わからないので買い取りはまだ無理ですけど」

「数取れたら手伝ってもらうよ。ひとまず、レシピ本探したり、新要素俺も探してみるかな」

「ふふっ。がんばってください」

「おう。ミドリは今日は店か?」

「新要素が増えたからこそ冒険用にアイテムを揃えに来る人が多いんです。すでにがっぽりですよ」

「そいつは何よりだ……そんじゃ、またなー」

「はいー」


 ミドリに手を振ってからショッピングロードも後にする。

 さて、次は何をしようかな。


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