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VR世界に少女が現れた、仲間になれますか?  作者: ゆっき
第2章 プリンセスと恥ずかしがりや
30/80

30 落とし物と正直者

 球技大会を目前にした平日の午後のことだ。授業が全部終わって、HRも終わったがこの後に最後の確認ということで委員会が行われる。

 仕事がない委員会に関しても普段通りのことを話すので、集まらなくてはいけない。

 例えば俺たちの委員会の場合は、2学期に使うポスターデザインとかだ。一応、この前だされたテーマで描いておいたけど、同学年にめっちゃ絵が上手いやつがいて1学期には選ばれてたし、今期もそうなる気がする。


 美術室に入って定位置に座りながら、気づけば隣に葉月もいる。

 今までは人数の関係上ギャル子と2人で座ってる状態の広すぎる机だったが、なんとなくきちんと机として使われているような狭さになってきた。


「アッキーどんなの描いた?」

「ゴミ箱に左を添えただけのシュートを決めている絵だ」

「それ、ゴミ箱からハズレた場合はどうするん」

「ご想像におまかせします」

「あーしよりはましだけど、アッキーも大概適当だよね」

「まあなー……絵は苦手だ」

「あーしも描くのは嫌いじゃないんだけどね、苦手ではあるかもー。はっちーは?」


 この2人も少し以外なことに仲良くなったようだ。いや、どちらかといえばギャル子のほうが相手を選ばずに感覚で友達になりたい人にはガンガン話しかけるタイプなのもあるかもしれない。

 よくあるメンバーはいるものの特定のグループにいつづける所は、あんまり見たことないし。

 でもはっちーはさすがによくわからないあだ名である。


「え、あ、あたし、ですか。えと、その、ふ、普通のです」

「そっかー」

「ほら、委員長か鉢巻しめ始めたぞ」

「じゃあ始まるねー」



 委員会が始まって1時間ほどがたった。大体このくらいで、深い議題がない場合はおわるが、最後にリサイクル用紙というべきか、片面白紙の小さい正方形の紙が配られる。


「それでは、本日の委員会はこれで終了とする。球技大会では我が委員は大きな仕事はないが、いつもどおり活動を続けること。そして最後に配ったプリントについてだ」


 そういうと、委員長は2枚のポスターのようなデザインが描かれたものが貼られる。


「色々と協議したりテーマにそったものはどれかと考えていった結果この2つのどちらかがふさわしいと考える。左のほうがいい場合はA、右のほうがいい場合はBと書いて、教室を出る際に前の机の箱に紙を入れていってくれ。それでは以上!」


 挨拶を終えると黒板前に人があつまる。当然俺もその1人だ。


「左のは1学期と同じ人っぽい?」

「シンプルで、まあ道具とか描いてわかりやすく仕上がっているな」

「右は人とかキャラクターっぽいのが入ってたりしていいかもー。あの、エプロンほしい」

「すごいところに目をつけたなお前……」


 でもたしかに人が美化活動をしている上で、現代高校生の俺たちが親しみやすい絵柄ともいえる感じだな。というか普通にうまいし、たまにはこういうのもありに感じる。


「1年の頃とかは美化委員じゃなかったんかなー。でも、それなら1学期でも選ばれてる? まあ、いっか。あーしは決めたー」

「俺も決まったな」


 紙にはB――つまりは右のイラストを選んだ。だけど、たしかに去年なら委員会が違ったですむが、今年の1学期には出してなかったのかテーマを上手く表せなかったのか……いや、まてよ。そもそも、1学期にはいなかった可能性とかもあるのか。該当者が1人いるし、その当人はそそくさと教室からでていってしまったし。


「そんじゃ、アッキーまたねー」

「じゃあなー。明日サボるなよ」

「あーしのクラスが優勝だしー」


 そういえば、去年バレーボールでかなり点数決めてたな。敵になると怖い。

 小走りで消えていったギャル子の後を追うようにマイペースに歩いて教室へ向かおうと思った時、廊下で一冊のノートを見つける。

 いや、ノートというよりはルーズリーフとかをまとめるバインダーっていうんだっけ。

 表紙や裏表紙を見てみるが、名前とかは書いていない。


「失礼」


 持ち主の名前が書いてないかと最初の方と最後の方のページだけ見てみる。


「……これOAOのやつか?」


 そこに書かれていたのは、様々な衣服などのデザインだった。ただどれも現実っぽくないというかファンタジーっぽくて――なにより、上の端に【OAO】って描いてある。

 2ページ目も名前はなくてアクセサリーだ。少し大きめの花のついたヘアピンかな。


「これ以上見るのはあれだな……でも、名前がわからない。先生にでも渡しておくべきか」


 教室で荷物をとってから職員室によって帰ろうと思う。

 教室までの道の途中で昇降口を通ることになるのだが、そこで葉月にあった。


「あ、またなー」

「は、は……い……」

「うん?」


 なんかいつもより歯切れの悪い返事だ。だけど、視線はいつも以上に一点に集中している。

 確認してみると、さっき拾ったノートに対してみたいだ。


「もしかして、これ葉月の?」

「えっ!? は、はい……えっと、どこに」

「廊下に落ちてたぞ」


 まあ持ち主が分かったならいいや。俺はそのまま本人に渡す。


「あ、あの、中身みたりは……」

「名前書いてなかったから最初に1,2ページとかだけみちまった。まあ他の人にはいわないから安心してくんないかな」

「あ、いえ、その、あの――ま、またこんどー!!」


 顔真っ赤にして外へを走り去っていってしまった。


「見てないと嘘でも言うべきだったのかな」


 正直な話、見てるのに嘘つくのもあれだったがどっちが正解だったんだろう。


年末の忙しさと話数が増えて設定が増えてきたなどもあり一日2話更新はそろそろ厳しいかと思われます。

まるべく更新頻度は高めにしたいと思っておりますが、ご容赦ください。


あと次で第2章最終話予定です

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