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VR世界に少女が現れた、仲間になれますか?  作者: ゆっき
第2章 プリンセスと恥ずかしがりや
26/80

26 連携とMB

 今回のダンジョンは森になっている。木々が生い茂っているがプレイヤーが3人ほどまでなら並んで歩ける道があるので、戦闘で不自由ということはなさそうだ。


「フェンスが前でオレがその斜め後ろあたりでいつでも動けるようにしておく。後ろからアキが頼む。リーフは真ん中にいながら何か見えたり、分かれ道どっちに進むか教えてくれ」


 こういう時にはリーダーシップを発揮するファルコの頼もしさはすごい。

 これで計画性みたいなものも身につけばいいんだけどな。どうしても、方法とかは考えずに「できたからいいじゃん」というタイプなんだよ。

 指示通りに隊列を組んで歩いて行く。道中で今まで見覚えのある動物系の敵が何度かでてきたか、特に消耗もなく倒すことができた。

 そして少ししてひらけた場所にたどり着く。


「ここがボスか?」

「いや、普通のダンジョンとかフィールドだと条件でってことが多いが、次の拠点とか重要箇所はボス部屋の前にセーフティエリアが設置されてる。ここは中ボスってところだろうな」

「ファルコくん正解。ここはこのダンジョンの中ボスとの強制戦闘エリア。中ボスは魔法とかは使ってこないから動きをきちんとみれば、事前動作もそれなりにわかりやすいから苦戦しないはずだよ」

「わがはいが先陣をきるのである」


 そういって盾から剣を取り出してフェンスは戦闘準備を完了させる。それと同じぐらいの時に、森の道なき道から木々の揺れる音と、枝が何かにぶつかってこすれる音が聞こえる。

 数秒後に、目の前に勢い良く飛び込んで着地してきたモンスターは、赤く光らせた目をこちらを向けて大きく声を上げた。


【フォレストベアー Lv20 MB】


 名前の通りの大きなクマだ。だが、その背中に小さな木を生やしている。


「いくである!! 【シールド・トレイン】!」


 暴走列車のごとくフェンスはその金属に染まった巨体でベアーにぶつかっていく。ベアーは前足を地につけて真正面からぶつかりあった。

 結果、フェンスが少し後ろにのけぞる結果となる。HPはさほど減っていないが、それは【盾】と【重鎧】のスキルに、予想だが【物理防御強化】とかそういうスキルをとっているからで、俺が食らっていたりしたらひんしか最悪死んでいるかもしれないを思えるものだ。


「攻撃力がかなり高いである」

「最初は動きの様子見だから攻めすぎるなよ。アキも前でろ」

「わかってるよ」


 ひいてるつもりはない。でも、当たってもやばい。


「1番攻撃力高い攻撃がさっきの体当たりだけど、わかりやすく前足を踏み込んでから使ってくるよ。その他だと、前足で目の前を薙いだりしてくることが多いから気をつけて」


 リーフのアドバイスも出るけど、先に言ってほしかったし、なんで俺もファルコも先に聞くということをいつも忘れるんだろう。結局のところ攻略見たところで初見での楽しみってのがあるせいかもしれない。ゲームの楽しさのひとつだと思う。


「おらぁ!!」


 前に出たファルコが最初に大剣でクマに斬りかかる。しかし、クマはその攻撃をくらいながらも獲物を見定めるように、顔を左右に動かしている。


「怖いんだよな!」


 俺はファルコの反対側から攻めて、槍で突き攻撃を食らわせる。が、武器そのものの攻撃力がまだ低いので、ダメージはさほどじゃない。

 ついでにいうと、見た目で防御力が1番低い前に出てるのが俺という理由か、クマはこちらを向いてくる。


「マジで!?」

「フェンス! アキのフォロー!」

「任せるである!」


 そうはいっても、ここまで至近距離になっていると、一発は自力で回避しなければいけない。クマは上体を上げると、俺に向かってその太い腕を振り下ろしてきた。


「発動してくれ!」


 助走つけないでしっかりと使ったことがあまりないから、少し不安だったが【跳躍】スキルの効果が発動して1秒前後の無敵時間が発生し、その一撃を回避することができた。

 だが、悲しいことにクマの腕は2本存在する。


「ふんっ!」


 もう一方の腕は、前に出てきたフェンスの盾が受け止めてくれた。


「立ち上がるである」

「すまん!」

「【ヘイトスラッシュ】!!」


 俺がその場から離れると、剣に淡い光をまとわせてフェンスがクマを斬る。その瞬間にダメージはあまり入っていないが、ターゲットがそちらに向けられた。


「ヘイト技ってマジでメインの壁だな」

「アキ! 今のうちにやるぞ!」

「おう!」


 フェンスとは逆方向に移動して俺とファルコはアーツによる攻撃を浴びせた。そしてリーフもヘイトが極端に傾いているときは土魔法での攻撃支援をしてくれて、少し苦戦はしたが倒すことに成功する。


「うえっ……疲れた」

「まだ、次にボス残ってんぞ」

「だよな……今更だけどMBってなんだ」

「ミドルボスの略だ」

「納得した」


 結局何度か攻撃は受けてしまい、ポーションを飲んで体制を整える。


「今回は使ってこなかったなー」

「何か他にも攻撃があったであるか?」

「後衛が攻撃力高かったりすると、背中の木についてる硬い木の実投げてくる遠距離攻撃もあったの」

「わがはいがいれば前衛にヘイトは貯まるである!」

「すごかったよー。ここまでガチガチの防御の人はじめてみたけどすごいね」

「防御こそ最大の攻撃になるである!」


 褒められたフェンスは誇らしげにそういう。胸を張ると巨体が更に大きく見えるな。現実でこんだけでかいと、少し誤解受けそうだ。


「休憩したら進むぞー!」

「わかってるよ」


 そういえばファストポーション使うタイミングなかったな。さすがにボスだと戦闘中にがっつりポーション使わないといけない状況になりそうだし、その時に使おう。

 俺はすぐに使えるように腰のベルトポーチに設置する形でファストポーションをショートカット登録した。


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