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VR世界に少女が現れた、仲間になれますか?  作者: ゆっき
第2章 プリンセスと恥ずかしがりや
24/80

24 姉妹と観察

 夕飯と風呂を済ませて、明日の準備学校に行く準備も済ませる。時計を見ると、ちょうど7時45分といったところだ。

 俺はOAOにログインしてショッピングロードへと移動する。

 今日もいつも通りに賑わっているのが見える。ティアの露店にたどり着くと、何故かナツも一緒にいるのが見える。武器を買いに来たってわけではなさそうだし……約束はしてないけど受取にでもきたのか。


「おっす。早いな」

「きたわねー」

「お兄ちゃん登場……ってなんか、もう、言ってたとおりだ!」

「でしょー」

「んえ?」


 何の話をしてたんだろう。とりあえず、ナツに忘れないうちに抽選券渡してしまうかと思いメニューを開いた瞬間、何故かタックルされた――ていうか抱きつかれた。


「可愛いぃ!!」

「ちょっ、やめっ、人見てるから!?」


 STRやら色々と力の差もあって、振りほどけずそのまま押し倒された。


「ティア! ナツ止めて!」

「えぇー、姉妹のスキンシップ止めるのは忍びないしなぁ」

「姉妹じゃねえし!」

「いや、少なくともゲーム内では姉妹でしょう」

「…………」


 否定しきれなくて何も言えなかった。とりあえず、抱きついたまま離れないナツを剥がそうとするが、力が強い。


「ナツ。離れようか」

「お姉ちゃん分を補給するからあと2分待って」

「聞いたことねえよ、その成分! あと姉いうな!」

「ティア姉にいわれて気づいたけど、たしかにここでお兄ちゃんはおかしいなって思ったから」

「たしかにそうだけど」


 その後、2分どころか5分抱きつかれて、挙句軽くセクハラじみたこともされかけたりしながら開放された。


「はい……」

「ん? これなに?」

「お前が頼んでた抽選券だよ」

「あ、ありがとう! お姉ちゃんだいすぎゅい」


 また抱きついてきそうだったので頬を両方から挟んで止めておいた。筋力勝負じゃ勝てないから、思考が追いつかない謎なことしたほうが止まるものだな。


「それで、どこいくんだ?」

「今日は軽く採掘行ければいいくらいだから、平原の先にあるちっちゃい崖のところがいいんだけど」

「あそこ、厳密には平原の一部だよな?」

「うん。だから初心者向けで、初心者鍛冶師とかもいっぱい行く場所よ」

「まあ、いいけど。あのへんは薬草とかその他色々採取物あるし」

「じゃあ決まりってことで行きましょう」

「なつも行っていい?」

「いいわよー」

「やった!」


 本日のパーティーは俺・ティア・ナツの3人のようです。


 平原はすでに俺たちのレベルでは武器さえあれば楽勝な状態になっている。なので基本的にモンスターがでてきてもナツが一掃して、俺は適当にその辺のアイテムを採取していく感じだった。


 辿り着いた目的地にはそこそこ大きな崖になっている。明るいうちに来る分には上が見える程度の大きさだが、【登攀】というスキルを鍛えないと、登るのはかなりきつい。

 そしてこの崖はよく見れば、全体と色の違う黒色の出っ張った岩がいくつも見かけられて、あれが鍛冶やその他色々なことで使う鉱石らしい。

 俺はピッケルを買ったりしてないし【採掘】スキルも取っていないから、実際にそうなのかどうかはよくしらないけど、ティアの行動や周りのピッケルやハンマー持った人みるとそうなんだろう。

 俺は近くの岩陰や、ふいに生えている草などを採取していることにしよう。


「へいへーい。そんな突進じゃなつは倒せないよー」


 ナツは採取や探索は人任せな部分があり、基本的にパーティープレイなのでそれで問題ないらしい。こういう所では暇を持て余して、草食獣にわざと武器無しで攻撃して回避して遊んでいたり、攻撃を食らって鎧のスキルレベルを上げたりしているのが見えた。


「やっぱり【調合】俺もとろうかなぁ……くそ、優柔不断な性格どうにかしたい!」


 俺もこの辺だと攻撃されても基本的に問題はないくらいになっているせいか、結構思考がゆらゆらしてしまっている。そのせいで、俺は後ろからの気配に気づくのが遅れた。


「――い。おい、お前だお前。聞いているか」

「えっ?」


 声をかけられていたのに気づいたときには、ものすごい至近距離にいたようだ。振り返るとしゃがんでいるのもあって、すごい上から見おろされるようになってしまい黒髪とサングラスがよく見える。


「えと、何か御用でしょうか」

「とりあえず立て」

「あ、はい」


 立っても、身長差で結局すこし目線を上げなければならない。


「ふむ……ふむふむ……」


 そして立ち上がると、俺の周りをぐるぐると回る。まるで何かを観察するかのように。そして手はメモするかのような動きをずっとしている。

 もしかして――変態か。


「参考になった感謝だ」


 そう言うと、その人は去っていってしまった。身長は、立ってみたら俺と同じくらいだったけど何だったんだろうか。


「なっちゃん、アキ! このポイントは終わったから次のポイントいくわよー!」

「はーい!」

「お、おう!」


 とりあえず気にしないでおくか。

 この日、しばらくフィールドでプレイしていたが、男女問わずに何度か似たようなことが起きたりした――何なんだろう。


 夏海ちゃんに次の日に聞いてみても。


「お兄ちゃん、ゲーム内だと可愛いからね。スカウトだったり」


 という冗談しか返ってこなかった。


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