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VR世界に少女が現れた、仲間になれますか?  作者: ゆっき
第2章 プリンセスと恥ずかしがりや
22/80

22 ファッションと森の中

 帰宅してやること全部済ませた後に俺はOAOにログインした。

 センターシティへと降り立ったわけだが、今日はデイリークエストは受けないでおこう。リーフさんに何やら呼び出されているというか、一方的に約束されてしまった。そして昨日1時間ならあるといったら、何故か考え込んで明日でと言われたことから時間がかかるなにかをしたいということは確実だと簡単に予想がつくからである。

 フレンドを確認してみるとログインはしているようだけど、こちらから連絡するべきなのかどうか悩んでしまう部分もある。だって、嫌な予感しかしていないのが現状であるから。

 ひとまず連絡を待ちながらショッピングロードをぶらぶらとすることにした。


 15分ほどたったころだろうか。ショッピングロードの中にもいくつか路地裏のようになってる横道がある。

 そこから人が出てきて引きずり込まれる。これは犯罪か何かなんじゃないかと思わないでもなかったが、そこにいた人物はある意味で予想通りだった。

 どこにいてもすぐに逃げるように去っていくリーフさんその人が目の前で俺の腕を掴んでいる。


「ごめんごめん、ちょっと遠くにいて、ログインは気づいてたんだけどね」

「そ、そうですか」

「それじゃあ、行こっか」

「えっと、どこに……」


 一応、聞いてみる。答えてくれるかはともかく聞いてみるだけなら無料だと思った。


「あたしのお店!」

「……へっ?」


 だが、その答えは少しばかり予想外の答えだった。店持つってこの人結構なプレイヤーってことになるんじゃないのか。

 そんな少し困惑した俺のことをお構いなしに彼女は腕を引っ張っていった。なすがままに俺も連れて行かれるしかない。


 辿り着いたのはセンターシティから離れた森の中だった。俺はまだきたことのないフィールドだけど、敵がでてくることはほとんどない。

 森のなかに入った少しすると立派な木造の建物――いや、装飾からしてたしかに店といえるものが突然現れた。


「こんなところに……」

「フィールドのセーフティエリアの一部で帰る場所もあるんだよねー。ただ、色んな人にきて欲しいと考えると立地的には微妙だから買われないみたいだけどね。どうぞー」


 簡単にそんなことを言っているけど、店の大きさもかなりだしすごいことのはずだぞ。

 誘われるがままに店の中に入ると、そこにあったのは綺麗に展示されたマネキンとアバターや、服の数々だ。

 だが――見事に女性向けといわんばかりの品が揃っている気がする。


「え、えっと……」

「まあね。あれだよね……ファッションに興味を持った人に手を差し伸べるのもあたしの役目って感じ!」


 突然、何かいい出した。唐突に何かいい出したぞこの人。


「ということで、早速始めていきましょーう!!」

「えっ、ちょっ、まって……あの」

「なにかな?」


 お構いなしと言わんばかりに服を選び始めるリーフさんに一応伝えておかねばならないことがある。


「あの、俺、男です……」

「……このVRでそんなわけないじゃない。キャラメイクでも性別身長とかは大きく変えられないんだよ? かりに女の子っぽい男の子だったとしてもさすがに胸とかまではさすがにないって」

「えっ、いや、あのなんでそれが」


 もうどこから突っ込めばいいかわからない。男なんですと強調するべきか触られたことも脱いだことすらないのに胸というかが少しある状態になってることを見破ったことに対してつっこむべきなのか。

 結局、何度か男だということを主張したが受け入れてもらえずそのまま着替えさせられることになった。

 まず最初に着せられたのは一般的なファンタジーの世界の村娘とでも言えるような服である。もちろんスカートだ。

 ――スカートで過ごすのは流石にごめんなんだよな。


「可愛い! ファンタジーの基礎になるよね。この手のゲームでは現代の服になぞらえた作の服とかが多いけど、やっぱりここは抑えておかないとダメ! 次これ!」


 次に着せられたのは、何故か現代のブレザーのような形をメインにおいたコーディネートだった。ファンタジーに合うように変えられて入るけれども、これでスクールバックもったら奇抜な制服の学校といえるかもしれない――まあ女子制服で登校とか嫌だけど。


「試作でつくってみたけど、この前きてもらった子は身長高かったのと大人っぽかったけど、やっぱり年代とかによってはすごい似合う。次!」


 更に着せられたのはメイド服にしか見えない。ていうかこれ多分メイド服だろう。ロングスカートタイプのやつは初めて見たけどさ。


「落ち着いた雰囲気もあるなー。でも、これは動きづらいから戦闘もやる子には向いてないのでRP用って所かな。次!」


 こんな感じで、約2時間の間、休憩を挟みながら着替えさせられ続けた。その途中途中で髪型もいじられたり小物を付けられたりしてしまったが、コーディネートのコツみたいなものも教えてくれた――女性向けだけどね!

 そして開放される頃には10時半を回っていた。


「おつかれー……いや、なんかテンション上がっちゃってごめんね」

「い、いえ……」

「お礼にワンコーデプレゼントしよう!」

「いや、そんな悪いし」


 最近もらってばかりな気がするし。色んな人にだけどさ。


「いいのいいの! 好きなの選ぶかあたしにおまかせか選びなさい!」


 自分で選ぶの怖いけど、あなたに選ばせるのも絶対ガーリィになる気がして怖いんですけど。もらわないという選択肢はないのか。

 最終的に念押ししてスカートはなしということを念押しして選んでもらったものをいただくことになった。


「アキちゃんは髪少しまとめてスカート系のキュートコーデかパッションコーデはあたしはいいんだけどな。本人が嫌がるなら仕方ない、まずはアバターやコーディネートに興味貰えればそれでいいもん」


 少しすねてしまったがもらったものを見ると、服とはいえかなりの出来というか性能を持っている。

 アバターはあのあと調べてみると内着か外着などの細かい部類まであるらしい。


「というわけで【Lシリーズ】のコーデセットです。これから目いっぱいおしゃれしてね」

「あ、ありがとう。なんかすいません」

「口調硬いのも砕いてねー……ついでに、ここで着てみてくれないかな。試着室つかっていいから」

「……それくらいならまあ」


 俺はそれを承認した。無料でもらった手前そのくらいはしていいと思ったのと、現物を着てみてかなりガーリィだったとあとで気づくのが嫌という2つの理由からである。


 インナーは若干装飾が女子向けになってるが上から着るジャケットもついてきてるので良しとしよう。

 ジャケットも着てみると、少しゆとりを持った作りで動いたり風ではためくかもしれないと思ったが、ある意味でデザイン重視のゲーム的なデザインと思えば問題ない。それに中性的という印象で収まっている。

 そして最後に下はホットパンツだった。まあスカートはなしで念押しした手前、これ以上はいえないか。多分、もともとはスカート多めで作ってる人だろうし。

 ひとまず妥協できる条件で整っていたが、全身鏡で見てみるとたしかに色合いなども整いを持っていて、素人の俺でも見た目良いと思う。


 試着室からでて俺を見るやいなやリーフさんの目が輝いた。


「ふぉぉぉ!! あ、ありかも! 普通に可愛い、意外とホットパンツとか系もいいな。あとでちょっと勉強し直そう……あれ、足は?」

「さすがにタイツは」


 本当はもうひとつはいっていたが、見ないことにした。


「……でも、生足はそれはそれで綺麗だから全然問題ないね」

「あの、本当にいいの? こういうのってお金ふつうかかると思うんだけど」

「いいのいいの。さっきもいったけど、まだ実はアバター制作って言うほどはやってなくてね。大きな数人が有名なだけ。でも折角VRでコーディネートをリアルのお金かけないでたのしめるって考えたら最高じゃない」

「それは、たしかに同意できるかな」

「そうゆうことだと思っておいてって、まあ、もしも流石に何かしないとあなたがもうしわけないという気持ちで一杯になるというなら、たまにモデルになってもらったりしてる人と同じものを提供してくれると嬉しいな」

「一体何を提供すれば」


 金はまちまちだが素材とかになると、今はアバターづくりに役立ちそうなものはないんだけど。


「スクショさせて、ブログのせていい?」

「……え?」

「いや、実はブログやっててさ」


 少し悩むところだ。リアルの顔そのままとは言わないけど、そこまでいじっていないのは事実なんだよな。髪の長さはゲーム内のが長いから、バレない気はするんだけど。


「まあ、それでいいなら」


 でも、完全にやってもらってばかりなのは、俺も申し訳ないという気持ちがあるのはいわれたとおりだ。ブログでゲームスクショというのならゲーム内で探すことはあっても現実で探す人は少ないだろう。


 その後、髪型を何故か小さいポニテにさせられて撮影されることになった。ログアウトした後に、アカウント宛にゲーム内メッセージがきて見てみると、キメッキメのスクショが大量に送られてきて、恥ずかしさやらなんやらで眠るまでに時間がかかったのは別の話だ。


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