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VR世界に少女が現れた、仲間になれますか?  作者: ゆっき
第2章 プリンセスと恥ずかしがりや
21/80

21 委員会と転校生

 翌日の昼休み、ゲームメンツが集まったりする。

 その他にもちらほらいるが、たまに集まるタイプの俺のグループという意味では、今はこのメンバーになるな。

 昨日と一昨日あったそんな人のことを話す。


「わたしがログアウトした後にそんな人にあったんですね」

「アバターは今は興味ないから私は悔しがらずにすんでよかったわ。それよりも今度の抽選よ」


 智愛は夏海ちゃんと似た思考に最近なってる気がする。作る側でもやっぱり気になるものなんだな。


「プリンセスブランドは結局、女性向けだしな。1人だけ男性向けの作ってる人もいた気がすっけど。それにオレは鎧男だから関係なしだ! そして補講も今週はまだ続くぜ」

「自業自得だ……そんな感じなんだよな。つか念の為に聞くけどリーフって人聞いたことない?」

「聞いたことはあるぜ……何人も」

「は?」

「私も何人もあるな」

「同じく」

「え?」


 あの人は分身できたのか。


「名前かぶっても問題ないからね。結構、リーフって人はたくさんいるわよ」

「ですね。フレンド登録のときも探すの大変になるタイプです」

「あ、名前被り大丈夫なシステムになってるんだな」

「しかも、未だにプレイヤー増え続けているというか、最近やっと遅れてた生産分がいっきに放出されたからね。絶対に、増えてるわ……ってことで、どのリーフさんなのかわからないから一概に言えないわ」

「そりゃそのとおりだ。まあ、さすがにそうそう智愛と翠花みたいに知り合いだってことはないよな」

「ないですよ」

「あれには私だってびっくりしたのよ。そうそうあるわけないわ」

「あるもんじゃねえだろ」


 お互い笑いながら昼休みが終了した。そうだよな、そうそうリアルで知り合いなわけがないよな。

 だいたいリアル知り合いなら俺のことわかるはずだし――智愛と翠花のことを思い出すと、それすらも微妙に思えてきた。

 時間が過ぎて午後の授業が終わった帰りのHRの時間だ。担任が教室に戻ってきて、教卓にたって連絡事項をいつもよりも早めに話していく。

 何か急いでいるのかな。


「――ということだ。このあとは委員会があるので各自教室にいくように。球技大会と文化祭でのそれぞれの委員会での動きの確認などもするのでサボるなよ。それと、保健委員だが今日は3階の空き教室に変更らしいので、間違えないように。以上だ」


 朝のHRで言われていたのをすっかり忘れていた。そういえば今日は委員会があるんだった――夏休み明けで初めてだからサボれない。

 俺はしぶしぶと席を立って委員会しての教室へと向かう。特別棟1階の第2美術室を使う美化委員に俺は入っている。

 ちなみにこれは年度の初めに全員が強制で入るいわば授業とかのひとつのようなものだ。


「ちわーっす」


 俺はしぶしぶと美術室の扉を開いて中へと入る。

 なぜこんなに嫌そうかというと――


「きたか! さぁ、今日も学園の隅々までを綺麗にするぞ!!」

「あ、アッキー! おひさー!」


 黒板前にいた【美化】という鉢巻をつけているメガネな先輩に、俺のことを読んでくる金髪女子など、キャラが濃い人が多いからである。


「おう、久しぶり」

「揃うまでもう少し待て!」

「了解です」


 ちなみに席の指定は学年ごとでクラスごとにされたりはしていない。俺のクラスの同じ委員のやつは別の仲のいい人と一緒に座ってる。

 俺はひとまず金髪女子と同じ机へと座る。なんだかんだ定位置のようなものだからだ。


「あらためておひさ、アッキー」

「久しぶりだなギャル子」


 ギャル子は当たり前だがあだ名だ。見た目と口調がアニメのギャルっぽいからそうついた去年のクラスメイトで、実際の行動にギャルっぽさはそこまでない。


「それで……あれは何だ?」

「転校生きたんだけどねー。ものすごい小動物で、ここまで連れてくるのも一苦労って感じ」


 苦笑いしながらそういう。俺の視線の先にいたのは美術室の後方の影で隠れているひとりの少女だ。

 うちの冬服の黒のセーラー服を身にまとって、後ろからは少し茶髪気味の首元くらいまで伸びてる髪しか見えない。

 ちなみに、うちの学校はセーラーとスカートの通常の組み合わせの他にジャンパースカートも選べるようになっている。


「なに、怖がりなの?」

「極度の人見知りちゃん? 目を合わせて顔赤くしてたから恥ずかしがりやかもー」

「あぁ、そうかい……ちょっと、行ってくる」

「よろしく! あーしじゃ無理だった!」


 ひとまず近づいてみる。


「……おーい」

「っ!?」


 まだ距離がある所から声をかけてみると、ビクッと少し反応してからこっちを見る。ものすごい恐怖というか疑心暗鬼してるような目で見てくる。

 初対面なのにこれは少しへこむ。


「な、なんですか」

「いや、委員会だから一応席にはついてないとね。黒板とかほら見えないし」

「そ、そんなこといわれても、あたしには無理です」

「なんで無理なのかなーなんて」


 とりあえず近づけたので座って目線の高さ合わせて話をする。


「よし、揃ったな! では始め……」

「あそこは気にしないでおいて下さーい。あーしが伝えておきますんで」

「いいだろう!」


 それでいいのか委員長! でも、ナイスだギャル子。


「ほら、始まっちゃうから、せめて座ろう。ね」

「う、うぅ……わかりました」


 なんとか彼女を席に座らせることはできた。


「おかえりー」

「ただいま、隣でいい?」

「だ、大丈夫です」

「男の隣嫌ならまあ、クラスメイトの隣でもいいんだよ」

「えっ! 男の人だったんですか!?」


 俺は机に顔をふせて心のなかで泣いた。


「男です」

「す、すみません」


 まあ普通に話せるようになってきたのでいいか。

 ひとまずギャル子に進んだ話だけ聞いた。


「球技大会では特に仕事はなくて、文化祭では教室とかが各自設置するのとは別の大きめのゴミ箱の設置と、当日の袋交換だって」

「了解した。で、今は何してんだ?」

「2学期に掲示する美化進行ポスターのテーマ決め」

「じゃあ、無視しておいていいな。どうせ好き放題委員長がやるだろうし」

「だねー」

「そ、そんなのでいいんですか」


 初参加である彼女がビクビクしながらそう聞いてくる。


「そんな感じで大丈夫だよな」

「大丈夫だねー。最後にポスターのテーマ聞いて、次の委員会までに何かしら作ってくればオケオケって感じ」

「そ、そうなんですか」


 俺たちがいったとおりに委員会が終わる頃に黒板にいつの間にやら決まったテーマがかかれていて、解散となる。


「そんじゃ、あーしバイトあるからアッキーまたね」

「おう……って、えぇ!? ちょっとまっ――」


 俺がそう止める前に小走りでギャル子は去っていってしまった。

 そしれ俺の隣にはもうひとりの彼女がいる。


「え、えっと……教室戻ろっか。うーんと……」

葉月はづきです……」

「……葉月な。俺は秋乃です」

「わかりました……戻りたいですけど、まだ道覚えてないです」

「教室はどうせ近いし、一緒に行こうか」

「お願いします」


 なんかぎこちなく形式ばっかような会話になりながら葉月を送って俺も自分の荷物を取りに教室へと戻る。


「なんか、疲れたぞ……ていうか、あの調子で大丈夫なのかな?」


 これがおせっかいなのか、単純に見てられない親心みたいなものなのかはわからないが、葉月との出逢いはこうして終わった。


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