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VR世界に少女が現れた、仲間になれますか?  作者: ゆっき
第1章 ゲームスタートと幼馴染
17/80

17 水晶とボス

 神殿最奥部――足先が浸かる程度に浸水が進んでいる場所である。

 そして隆起したのか、なんなのか詳しい設定は分からないが床のタイルらしきものがあったであろう場所から大きな岩が突き出ている。その岩はそこかしこが青く光っている水晶のようなものが混ざっていて綺麗だ。


「あの岩か?」

「そういうこと。ただ、ちょっと時間かかるのよね。今まで襲われたことは一度しかないけど、念のため警戒お願い」

「時間かかるってピッケルじゃないのか」

「うん。ピッケルでやると岩のほうはとれるけど水晶のほうが取れない。必要なのは水晶のほうを加工した素材なの」


 そういって、その手に金槌とノミのような物をもって岩を少しよじ登っていく。

 言われたとおりに俺は周りを警戒するが、今のところ何かが現れることはない。

 まあ、この前のロックリザードといい連続でレアモンスターが現れるなんてことは早々ありえないだろうし、大丈夫だろう。


「……そういや一度襲われたことあるのかよ!?」

「遅くない!? まあ、始めてきた時にレベル不足で普通にスライムに襲われただけよ」

「あぁ、そういうことか。だからレベル上がってきたら逃げていったから今は大丈夫ってことな」

「そういうこと」


 作業しながら少なくとも世間話する程度には余裕があるらしい。

 水滴こそ落ちてくるが、周りは静かなものである。普通に綺麗だしスクショでも撮ろうかなと俺は思ってメニューを開こうとした――その時だった。

 水が大きく跳ねる音がいくつも響いて、俺はそちらを向く。


「……スライムがでてきた?」


 そこにはスライムが5体ほどいた。そして少しばかし揺れている。


「なあ、スライムって本当に襲ってこないんだよな?」

「私はそこまで検証派じゃないからわからないけど、今まで襲われたことはないわよ~」


 のんきにそう返しながら採取する音を響き渡らせる。

 そうしているうちにスライムの揺れは強くなって、互いの距離が近づいているきがする。


「なんだあいつら?」


 特にここにくるまでにトラップを踏んでしまったとかいう感覚もなかった。もしかして、ティアが知らない条件に当てはまって何か起きてるのか。

 そして真ん中の一匹を残して突然大きく跳ね上がった。その行き先は中心――スライムたちはぶつかると、ひとつの個体になるように体を大きくしていく。

 最終的には人間より頭一つ上くらいの大きさになり、名前の表示も【ブルースライム】から【プリンススライム・青 Lv15】に変化した。


「ちょっとまてLv15って俺の平均より上なんだけど! ていうかBOSSマークついてる!?」


 ダンジョン内にはボスモンスターが存在する。特定のマップ以外のボスは絶対に倒す必要はない上、そもそも出現条件が設定されていたりする事が多い。

 落ちつている暇もなく、俺のそんな叫びに反応したのかプリンススライムはこちらに跳ねて向かってくる。


「なにそれ!?」

「どのくらいで終わりそうだ」

「えっと、あと10分くらいでほしい数集まる!」

「了解したぁっ!?」


 少しよそ見して確認しているうちにかなり近くまで接近されていた。見た目以上の速度が出ているというより、巨体の一歩といっていいかわからない移動幅が大きいのだろう。

 俺は、どこかのハンティングゲームの緊急回避と言わんばかりに横っ飛びして地面にヘッドスライディングを入れる。幸い、スライムの体当たりにはぶつからずにすんだ。


「でも、痛い……槍きくのかそもそも?」


 ゲームだと弱い代名詞に有名ゲームでなってしまったスライムだけど、最近だと主人公にすらなり得るポテンシャルを持っているはずのモンスターである。あの体だし、物理無効とかをもっていてもさほど不思議ではない気がする。


「ひとまず、攻撃してみるか」


 幸いにも足がないので急カーブみたいな芸当はできそうにない。そして体がでかくなった分、的は大きい。


「よいしょー!!」


 正直、今スライムの正面が俺を向いているのか背中が見えてるのかよくわからないのがこわいが、手に持った槍を突き入れてみた。

 するとわずかだがHPが減った。ただ、Lv差があるにしても減る量が少ない気がする。HPが俺が思っているよりも多いのか、やっぱり物理とか切断がきかないのかは不明だ。


「ど、どーしよ」


 槍を戻して一旦距離を取る。すると視界内に見覚えのないマークがでているのに気がつく。

 スライムはどうやら今は動いていないので、目は離さないでティアに聞いてみることにしよう。


「なあ、剣のマークにバツがついているのって何!?」

「それ、装備してる攻撃武器の耐久が減る状態異常! 溶けたり錆びたり理由はいろいろだけど」


 槍を見てみると、つき入れた先の刃の部分とそれを支えている棒の部分にスライムの粘液がついている。


「まさか、木とかの素材を溶かすのか? いや、金属も? よくわかんないけどやばげだな」


 幸いなことに近くに水たまりがあったので、槍をそこに軽く叩くように入れると粘液が取れて状態異常のマークが消える。


「くっそ、物理きいてもめんどくさいな!」


 そうこうしているうちに残り7分、俺とプリンススライムの戦いは続く。


次の話かそのつぎあたりで1章終了予定です

すぐに2勝に入りますがね

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