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VR世界に少女が現れた、仲間になれますか?  作者: ゆっき
第1章 ゲームスタートと幼馴染
16/80

16 湖と透ける物

 林に入って今まで俺は通ったことなかった道を、ぐいぐいと進んでいくティア。

 俺もその後を追いかけていく。たまに植物系のモンスターが出て来るが、苦戦することはなくすんだ。

 そして15分ほど進んだ先だろうか、木々の道が開けて湖に辿り着いた。

 湖はかなり綺麗なもので、昼の今の時間だと陽の光が水面を反射して輝いている。


「すっげ……」

「少し休憩していくわよ」

「……うん? どこにもこの先道なくないか?」


 湖の周りには俺たちがきた道以外にそれらしきものは見えない。

 もしかして獣道とかわかりにくい道が設定されているとか、道なき道を無理やり進まないといけないとかそういうあれか。


「あるわよ」


 そう言ってティアは湖を指差す。

 何のことかわからないが、湖に近づいてみてみる。


「……ん!?」

「そういうこと」


 水の中を細めで見ていて、湖の中にある建物を発見した。所々崩れている神殿のようになっている。


「よく見つけたな」

「この辺で、吹き飛ばされて湖に落ちた時に見つけたのよ」

「…………」

「何よ、その目は!」

「いや、なんか……うん」


 すごいと思った俺の気持ちを少しだけ返して欲しい。


「というか【水泳】スキルみたいなの必要じゃないか?」

「あったほうがいいけど、リアルで泳げればあそこまではいけるわ、私【水泳】持ってないし。この湖はモンスターいないみたいだから。それで神殿の中は別のダンジョンになってるみたいで、水漏れはおこしてるけど中に空気があるから」

「普通に活動はできるってわけだな」

「そういうことよ。というわけで、そんだけ元気ならいけるわよね」

「泳ぐのはともかく潜るなんてしたことねえんだけどな」


 俺たちは水の中に飛び込んだ。最初は目をつむっていないと現実みたいになるかと思ったが、そこはゲームでしっかりと周りを捉えることができるようだ。

 ただかなりステータスダウンが起きているのと、新しいゲージが視界に現れる。それが減っていくとともに、息苦しくなってくることから潜水時間のゲージだとすぎに理解できた。


 ――やばいな。ギリギリかもしれない。


 ティアは慣れたように進んでいくが、パーティーを組んでいるのでステータスダウンを受けているのが分かる。つまりは、【水泳】を本当に持っていないで進んでいるということだろう。

 ゲージがきれる直前に、神殿の柱をつかむことができた。それを掴んで勢いをつけて神殿の入り口から中に飛び込む。


「――っはぁ!! ……あ、あぶね」

「でもいけたでしょう?」


 先にたどり着いていたティアがぶっ倒れて勢いを整えている俺にそういう。

 立ち上がってそっちを見ると、先ほどと服装が変わっている。


「あれ……?」

「ん?」

「なんで着替えてんだ?」

「【水泳】技能も火とか乾かす何かも持ってないからね。自分の姿見たほうが早いんじゃない?」


 言われてから確認してみるとびしょ濡れの状態だ。服も透けてしまっているが、上半身は少なくとも中にきてた鎧で、問題はない。

 下は色濃い目のパンツを着てたので下着がでることはないはずだが、怖くて確認できない。


「まあそのうち乾くでしょ」

「そうだな……いいかげん、俺もなんか衣装買ったりした方がいいのかね」

「NPCショップのは微妙だから、オーダーメイドのほうが絶対いいわよ~」

「マジかよ」


 今はとりあえずしぼれるだけしぼってから、神殿の中を進むことにした。しかし、ティアがしっかりと対策をしていてよかった。

 あっちも俺のことを知っているから当たり前だが、ゲームの中とはいえ下着とかが見える状態になってたら目のやり場に困る所だからな。

 ていうか、なんで下着までしっかりと作り込んでるんよ運営さん。

 神殿の中は雨漏りするかのように水滴が所々でおちて、水たまりを作っている石造りのものになっている。


「モンスターはでるのか?」

「スライムがたまに出てくるくらいかしら。【ブルースライム Lv7】がね。だけど、自分より平均レベルが高いパーティーとか個人がいるのを見ると隠れちゃう臆病な敵よ。レアモンスターは不明ね。正式版からでてきた場所だから」

「へぇ……ん? それならなんで、ここに素材があるって分かるんだ? βのことから結構知られてた防具みたいな言い方に聞こえたんだけど」

「本来は平原の奥にあるフィールドのボスを倒した人が行ける、第2の拠点街までいかないと手に入らない素材なの。だけど、ここで手に入るのよね。あ、企業秘密だからあんまり広めないでね。検証パーティーとか探索パーティーが見つけるまでは静かに使わせてもらいたいの」

「まあ、それはいいけどな……ん?」


 ティアが迷いなく進む中、槍を肩に担ぎながら周りを見て歩いていると、何か青い物体が動いたのが見えた。


「さっきのがスライムか……本当に臆病なんだな」


 水滴とは別にたまに水たまりに大きな何かが入るような音がそこかしこから聞こえる。

 俺たちが歩いているのに気づいて逃げようとしたスライムの音なんだろうな。


「もうすぐ着くわよ」


 そして特に危険もなく、むしろあの潜水が一番危険だったという道中が終わりを告げて、神殿の最奥へと辿り着いた。


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