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「夏休みの思い出(中編)」

母からの説教を受けたあと、詠飛に女の子を大事にするよう言いつけられた騅。

そしてカレンダーを見れば、12日にホームフォレストに兄弟で行くと書いてあった。


8月12日土曜日 早朝

針田空港 国内線出発口前

後醍醐 騅



 僕は初めての空港にドキドキワクワクが止まらなくて、そこら中を走り回っていた。それを兄さんたちは止めはしなかったけど、勝手にエスカレーターを降りようとすると、全員に怒られた。

それで今はどこかと言うと、詠飛兄さんによれば、飛行機に乗るのを待つところらしい。僕らは何十分とベージュの5人掛けのソファに座って話しているけど、ゲートの前に立っているスカーフを巻いたお姉さんたちは、何も話しかけてこない。

そのとき隣に座っている純司兄さんが僕の方を向き、ニヤッと笑い口元に人差し指を当て、

「傑兄、寝てるよ。そろそろ呼ばれる頃だけど、起きる気配なし。ねぇ騅、この紐を傑兄の鼻の穴に入れてよ。」

と、ひそひそ声で言い、白い細い紐きれを僕に渡してきた。

僕は1番端に座っていたので、席を替わってからそれをやってみた。

ゆっくりと鼻の穴に近づけている時の僕は、バレるか、バレないかのギリギリのところで、心臓は大きく跳ね上がっていた。

傑兄さんの顔の左半分は長い前髪で隠れているから、右の穴を意識しながら、震える手でそうっと近づけ、見事侵入に成功すると、目の端の方でガッツポーズをする純司兄さんが見えた。

ほんの数回、穴から少し奥に行ったところで紐をくるくると回していると、くしゃみの前ぶれが始まった。すると純司兄さんから肩を叩かれ、元の席に戻った。

そして大きく息を吸い込む声が聞こえて………?

「へぇぇぇっぅっくしょん!!!」

エコーをかけたみたいに空港中に響き渡る、この盛大さである。

たしかに、傑兄さんのくしゃみは鯨級だと密かに噂になっていただけはある。

そのくしゃみに純司兄さんは大笑い、僕はくすくすと笑い、詠美姉さんと詠飛兄さんは、耳を塞いでいた。

そのころ、当の本人がようやく目を覚まし、鯨級の大きな長いあくびをした。

「……んあ?」

傑兄さんは、目をこすりながら、純司兄さんのことを見下ろしている。

「傑兄、まっさる兄! いい歌いっぷりだったよ!」

「はぁ? よっくわかんねぇけど、よく寝たよ。」

「そっか! 傑兄、今何したかわか――」

と、純司兄さんがいたずら笑顔で話していたけど、お姉さんたちの案内開始のアナウンスでかき消されてしまった。



飛行機内

後醍醐 騅



 僕らはエコノミークラスの座席へと向かった。

最初に通過した大きな黒い席は、偉い人しか乗れないみたいだ。

僕が乗れるのは何年後かな? 何十年後かな?

そんなことを思いながら、映画館みたいなモニターが一番前で観られる列の真ん中に座った。窓側席に座ったのは左から、傑兄さん、純司兄さん。真ん中の列の僕は、詠飛兄さんと詠美姉さんに挟まれる形になった。

だけど、出発する前から詠美姉さんはアイマスクをして寝てしまっているし、詠飛兄さんは付箋の沢山付いた本を何度も読んでいる。一方傑兄さんたちは、さっきのくしゃみの話をまだしているみたいで、何かを言っては大笑いしている。

やがて離陸をしてしばらくすると、詠飛兄さんは本を閉じ、ふぅと息をついた。

そして、僕の方を向いた時にはもう笑顔になっていた。

「詠美は爆睡だな。窓側の2人にはメールで送ったが、先程当主よりメールが来た。今日は1泊していいそうだ。それで2人部屋を予てから3部屋予約してくれていたのだ。そこで、詠美は1人で泊まるとして、あとはどうする? 誰と一緒がいいか?」

詠飛兄さんは前髪が目にかかったのか、少し右に顔を振ると、携帯を親指で開き、時間を確認した。

「急にどうしたのですか?」

「ん? あぁ、恐らく気が変わったか、今日帰ると困る出来事が起きたかのいずれかだろう。とりあえず、全員の1泊分の服を持ってきた甲斐はあったようだ。」

「さ、流石です……! あのとき、僕の部屋から出る前に服を持っていったのも……?」

「そうだな。それで、どうする?」

「えっと……僕は――」

と、言いかけたとき、窓側の方から「おぉ!」と驚く声が聞こえ、

「詠飛兄、俺ら2人でいいー?」

「はぁ? お前とかよ~。仕方ねぇな。詠飛兄、それでいいぜ。」

と、2人が眼力3割増しで親指を立てているのを見て、詠飛兄さんは僕の頭をくしゃっと撫でた。

「よろしくな、騅。」

「は、はい!」

僕は正直、すごく嬉しかった。たしかに、傑兄さんは話してて飽きないし、面白いことを沢山言ってくれるし、純司兄さんはおっとりしているけど、いたずら好きなところもあるから2人とも好きだけど、詠飛兄さんと一緒に居ると落ち着くというかシャキッとできるから、何だろう? 大人っぽくなれる? だから、一緒の部屋になれてとても嬉しかった。

そのせいか、僕はお腹のあたりがぽかぽかしてて、全く眠れなかった。

あと、詠美姉さんが口を開けたまま寝ているのを見て、みんなで笑いあったのは内緒かな。



兄先空港

後醍醐 騅



 兄先空港に着いてすぐのところに、赤い横断幕があったのは派手だと思ったけど、それ以外は特に気になることは無かった。

だけど、長崎に来たというワクワク感は感じたかな。だって、また走って外に出てしまったからね。

そのあとは、詠飛兄さん1人だけ人だかりのできているところに行ってしまったのは羨ましかったけど、ずっと他の兄弟と一緒に待っていた。

しばらくすると、人だかりから出てきた詠飛兄さんに手招きをされ付いて行くと、そこには大きなバスが停まっていて、運転手さんが色んな人の荷物を大汗をかきながら、バスの中に詰め込んでいた。この日の気温は、お昼前だったからたしか28度くらい。ちょっと動けば汗をかいてしまう気温だ。

僕らはそんな運転手さんに荷物を預け、バスへと乗り込んだ。


 だけど、バスはそんなに混んでなくて、むしろ所々空いている席があった。

なので、後醍醐は1番後ろの席を丸々取らせてもらった。

そんなバス内での席順は、左から年齢順。これはなんとなくそうなったという感じだった。

ホームフォレストまで1時間と少し。ときどき純司兄さんの頭が肩に当たって眠りにつけなくて、ずるずると眠いままホームフォレスト前に着いてしまった。

それからそれぞれ荷物を受け取って、14時にホームフォレストのゲート前ということになった。



ホテル日杭ホームフォレスト エグゼクティブツインルーム

後醍醐 騅



 このホテルに1部屋しか無いスイートルーム。

茶色がメインで、高級感がある。というのも、天井には小さなシャンデリアが下がっているのもあるかもしれない。

最上階と聞いていたから、てっきり屋上にガラスで部屋を縁取って、ということを想像していたから、いい意味で違って良かった。

他の2部屋はパークサイドツインルームという部屋で、簡単に言うと普通の部屋かな。

広さ44平方メートル、ベッドは1220×1950と言われてもよくわからないけど、とにかく広かった。やっぱり目立つのはベッド側にある3枚の絵画。どれも綺麗な花の絵だった。

その真下にある2つのベッドは隣り合っていて境目はほぼ無いから、2人とも寝相が悪かったらぶつかりそうだ。ベッドの端にはオレンジ色のスタンドライトがそれぞれにあって、消すのが難しそうな感じ。

その手前にあるのは。白い大きな2人掛けのソファと、左右に茶色の1人掛けのソファ。真ん中には楕円形の薄焦げ茶色の机がある。2人でジュースを飲んだり、少し物を置けそうな感じだけど、パーティーは出来ないかな。

あとは、もっと手前に備え付けのものがあったり、テレビがあったり、冷蔵庫もあったかな。


 早速詠飛兄さんはスーツケースを開け、僕のスーツケースに服を押し込んでくれた。他の兄弟の分を届けに行くそうだけど、僕はやめておいた。

何となくこのソファで寝ておきたくなったのもあるかもしれない。

しばらくして詠飛兄さんが出て行った音が聞こえると、僕はゆっくりと眠りの世界へとおちていった。



ホームフォレスト入り口ゲート前

後醍醐 騅



 僕はどうやら結構な時間まで寝ていたみたいで、気付いたら詠飛兄さんにおんぶをされ入り口まで来ていて、恥ずかしくなってしまいすぐに降りた。

そう言えば、人が全然居ないような気がする。

それはみんなそれぞれに思っていたみたいで、きょろきょろと辺りを見回していた。

そして入り口ゲートまで来ると、スタッフのお姉さんやお兄さんが優しく出迎えてくれたが、なぜか困ったような顔をしていた。

理由を詠飛兄さんが聞くと、更に眉が下がり黙りこむお兄さんたち。

僕はどうしたらいいのかわからなくて、傑兄さんの後ろに隠れていた。

すると、誰かが手を叩く音が聞こえ、僕らはその方に目を向けた。

なんとそこには!! ……僕の知らない背の高い男の人が居た。


 スラッとしていて頭の良さそうな印象を受けるその人は、日の光が当たると少し透けるような灰色のスーツを着ていた。顔はよく見えなかったけど、短い茶髪をツンツンに立てていたし、ものすごく堂々としていた。

「詠飛、それに後醍醐の皆さん。今日は後鳥羽の貸し切りだ。まぁ我が妹の愛子の誕生月だから、1か月は入れない。だから、お前らには出て行ってもらう。」

男の人は、僕ら全員を見下すように睨んでいて、声もかなり低くて圧を感じた。

「ではなぜチケットが取れた?」

「さぁな。断ろうとしたら、愛子が。そうだろう?」

と、少し遠くの方に呼びかけると、男の人と頭1つ違うくらい低い女の人、愛子さんが、植木の影から姿を現した。銀色のハイヒールに丈の短い胸元の大きくあいたピンクのドレス、そして付け過ぎなくらいの銀色のアクセサリーが、歩く度にジャラジャラと音を立てていた。愛子さんは、くるんくるんの茶髪を肩ぐらいまで伸ばし、顔は首が長く見える程小さく、くりくりの丸目に通った鼻筋、それにピンクに光った薄い唇をしていた。

「あったり前でしょ? 詠飛さんは私と結婚するって、ずっと前からの決まり事でしょ? それにもう私も16だし、結婚したっていいんでしょ? 違うの?」

髪をかきあげながら腕を組んで話す愛子さんは、僕だけじゃないかもしれないけど、偉そうな印象を受けた。

そんな愛子さんの質問に、男の人は何度も頷いていた。

「その通り。話が違うと言おうとしているようだが、そうは言わせない。だいたい――」

「後白河を倒せば諦めてくれるという約束は何処へ行った? 約束は守ってもらわないと困る。」

今の詠飛兄さんはどこか焦っている。さっきまでは余裕の表情だったのに、ものすごく顔に汗をかいている。

「後醍醐が後鳥羽と対等になれるとでも思っているのか? 一度人為的に滅びた身でありながら偉そうに口答えをしやがって。初代当主は後鳥羽の下につくことを快諾したのに、次期当主はこれか? ……言うことは聞け。そう教わらなかったのか?」

男の人は皮肉を顔に書いたみたいな意地悪な表情でしきりに詠飛兄さんに指を指しているのに、詠飛兄さんは怒ろうともしない。むしろ、少し戸惑っている。

「そ、それは……そう、だが。」

「後鳥羽家の当主様には何語で話せと教えられた? 後醍醐詠飛?」

「……勿論、敬語です。口答えしたこと――」

と、頭を下げようとした詠飛兄さんの隣に居た詠美姉さんは、大きなため息をつき、

「何よもう! お兄ちゃんったら情けない! 二強なんだから対等でいいじゃない! それと、お兄ちゃんはそこのバカ女になんてぜーったい渡さないから!」

と、愛子さんに負けじと腕を組み、あまり無い胸をぐいぐいと上げた。

その態度が相当気に入らなかった愛子さんは、眉と目を吊り上げて睨んだ。

どうしてだろう? 火花が間に見える。

すると、男の人は詠美姉さんよりも大きくため息をつき、

「女同士のあれこれは他所でやれ。さて、詠飛。俺は全面的に否定だ。今からでも待ってやるからここから立ち去れ。弟たちを待たせている。」

その威圧的な態度に、詠飛兄さんと詠美姉さん以外の兄弟たちはもう何も言えなくなっていた。だけど、みんな詠飛兄さんの返事を待つかのように、視線を向けていた。すると詠飛兄さんは3回咳払いをし、

「仕方あるまい、いえ、仕方ないですね。ではまた東京で。」

と、早口で言うと僕の手を引いて早歩きで立ち去って行った。

後ろを振り返ると、男の人は帽子を被りながら、気分が悪くなるほど口元を歪ませていた。

そして曲がり角の寸前のところで、その人は僕らに向かって手を胸の前で振った。


 僕はたまらなく悔しかった。

後白河のときみたいに戦って勝つんじゃなくて、何もしてないのに負けてしまったから。詠飛兄さんの方を見上げると、後白河紳稲の話をしている時よりも深く眉間に皺を寄せていた。他の兄弟も、負けて帰る戦士みたいな表情だった。

後鳥羽はよくわからないけど、ものすごく強いんだと思う。

そうじゃないと、詠飛兄さんが抵抗をしないなんてことは無い。

それに初代当主の話が出ていた。後鳥羽の下につくことにしたのは、破壊した養子当主のせいなのだろう。じゃあ、僕がもし当主になったとしたら?

僕が後醍醐を壊しちゃって、次の人がまた後鳥羽の下につくことにしたらどうなるの?

・・・わからない。もしかしたら、詠美姉さんみたいに強いことが言える人かもしれないし、弱い人かもしれないから。

僕はそんなことを考えながら、流れ落ちる汗を乱暴に短い袖で拭っていた。

太陽はまだ高いところで僕らのことを見下ろしていた。



ホテル日杭ホームフォレスト エグゼクティブツインルーム

後醍醐 騅



 部屋に帰るとすぐに詠飛兄さんは、シャワーを浴びに行ってしまった。

僕は次に入ろうと思ったけど、シャワーの音に混じって壁を叩く音が聞こえてきて、また悔しい気持ちがお腹の下の方からじわじわ喉元の方に来て、とてもそういう気分では無くなってしまったので、タオルで乱暴にぐしゃぐしゃと髪と身体を拭くだけにしてしまった。

しばらくして詠飛兄さんは髪も乾いた状態で出てきたが、いつものように僕の方に目を向けてくれなかった。そして、どこかに電話をかけ始めた。

「ルームサービスをお願いします。……えぇ。カサーレ・ヴェッキオ・モンテプルチアーノ・ダブルッツォを。……はい、5本ください。」

ガチャと乱暴に受話器を置く詠飛兄さんは、どこか疲れている様子だった。

「詠飛兄さん……?」

と、机に左手を置いてうなだれている詠飛兄さんの顔を覗き込むと、詠飛兄さんは僕の頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。

「悪い、騅。自棄酒って言葉は覚えなくていいが、大人の特権だ。いい方法でないことくらい承知しているが、こうでもしないとやってられないんだ。」

と、焦点の定まっていない目で言われても、返事に困ってしまう。

僕がそうして困っているとルームサービスが来て、黒いボトルを5本置いていった。グラスはもちろん、1つだったけど。

そのときのルームサービスのお姉さんは、詠飛兄さんとお酒をしきりに見ていた。量が多いのかな?


 ルームサービスが帰ったあと、詠飛兄さんは白いソファに座り、早速ボトルの栓を開けた。僕もその隣にちょこんと座った。

次々とグラスに注がれていく赤黒い液体。そしてそれを2,3口で飲み干す兄さん。

これが大人の特権……。

僕は口をぽかんと開け、その様子をずっと見ていた。

すると、いつの間にか太陽は落ち、ボトルも3本目になっていた。

僕は動かない詠飛兄さんの後ろを通り、カーテンを閉めて電気を付けた。

いざ電気を付けてみると、詠飛兄さんの顔が少し赤くなっていた。

「詠飛兄さん……。」

「ん?あぁ……大丈夫だ。あと、俺は悪酔い……いや、酔うと厄介な人間になる。早くシャワーを浴びて寝なさい。」

と、僕の方を見て話す詠飛兄さんは、大分もう顔が赤い。本当に大丈夫なのかな? そう心配はしても結局僕は、

「あ、は、はい。」

と、返事をしてしまった。


 シャワーを浴び終え、髪を乾かした後に部屋に戻ると、グラス一点を見つめる詠飛兄さんの前には倒れたボトルが5本。そのグラスも空だった。

そして、僕の方を見た時の目は……とにかく怖かった。

熊が獲物を見つけた時の顔……違う! お母さんに怒られた時の顔? 違う、違う!! 死神が魂を取ろうとする時の顔……それだ!!

そう気付いてしまって思わず後ずさりをする僕に、迫る詠飛兄さん。もしかして、僕は殺されたりするの……? そう思うと僕の心臓はキリキリと痛むように鼓動をうるさく立てていた。しかもそんな僕の背中に暖か味のない冷たいドアが当たる。次にかかとも当たる。

どうしよう……? 殺される……!

ついに僕の目の前に来た詠飛兄さんは、ドアを思い切り手のひらで打ち付け、鼻が触れそうな程顔を近づけてきた。

そんな行動に、僕はわなわなと口を動かすのが限界で、手も足も震えていた。

「おい。お前、殺されてぇのか?」

「あ、あ、いや、その……!」

僕の声は裏返ってしまって、何も言えなかった。

「返事しろっつってんだろうが!」

と、耳元で叫ばれ、あまりの恐怖に目を瞑る僕であったが、何もしてこないし、むしろ重くなっていく……?

そう気づき、僕が慌てて目を開けると、詠飛兄さんは僕の方にもたれかかって寝てしまっていた。


「酔うと厄介な人間になる。」

詠飛兄さんの言う通りだった。

僕は夢中で詠飛兄さんの肩やお腹、頬も叩いてみたが全く起きない。

「はぁ……詠飛兄さ〜ん。」

とりあえず呼びかけたものの、幸せそうな寝息を立てるだけ。

仕方ないので、僕はベッドから枕2つと掛け布団をずるずる引きずってきて、兄さんに掛けてあげた。

そして僕も隣で一緒に寝ようと目を閉じたところで、眠りの世界におちるまでの間に一言だけ聞こえた。

「俺はまたやらかしてしまったのか……。」

と、枕に頭をぼふっと打ち付ける音も。


この度は、読了いただきましてありがとうございます!

次回の投稿日は、4月23日土曜日です。

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