二人で④
ヒロは碧と約束したディズニーに行くため、仕事の調整に追われた。毎年恒例の夏のライブに向け、曲作りや打ち合わせで帰りも遅くなった。碧は家事をしたり、作品を作ったりして過ごしていた。一人でいるのは平気だった碧だが、ヒロと一緒に暮らすようになってから、はじめて寂しさを感じていた。
(今まで一人がラクだと思ってたけど・・・ヒロがいた方がいいな・・・やっぱりヒロの事・・・)
ヒロの事を考えながら横になっていると眠くなってきた。
(今日も遅いのかな・・・)
(また遅くなっちゃったな・・・碧、もう寝てるよな・・・)
ヒロは静かにドアを開け、ベッドに入った。
碧「お帰りなさい」
ヒロ「起こしちゃった? ごめん」
碧「ううん・・・」
ヒロ「来週、行こうか」
碧「大丈夫? ヒロ、疲れてない?」
ヒロ「大丈夫だよ。晴れてるといいね」
碧「・・・ヒロ」
ヒロ「ん?」
碧「私ね・・・」
ヒロ「どうしたの?」
碧「私・・・ヒロの事・・・好きだよ。きっと・・・」
ヒロ「碧?」
碧「たぶん、前から・・・。だけど、それを認めたくなくて・・・考えないようにしてた・・・」
ヒロ「碧、ありがとう。ずっと一緒にいるよ。約束する」
碧「うん・・・」
ヒロは碧にキスをした。何度も確かめるようにキスをした。
ヒロ「碧・・・止まんなくなっちゃった。イヤだったら言って・・・」
碧「・・・・・・」
碧は目を閉じてヒロに任せた。
ディズニーに行く日になった。碧は好きなキャラクターがあるので、ディズニーシーを選んだ。前日はヒロの帰りが早かったので、廻りたいアトラクションやお店を選んだりした。ヒロはいつもなら着ないような服装にし、帽子は被ったが、サングラスは敢えてやめた。開園時間に合わせて入り、人気のあるアトラクションへまず向かった。連休明けの平日で、時間も早いせいか、あまり並ばずに乗る事が出来た。射的に似たアトラクションで、ヒロはついムキになってやっていた。
ヒロ「ヤベー、腕が」
自分の腕をマッサージしながら言う。
碧「ヒロがあんなに真剣になるとは思わなかったよ」
ヒロ「負けず嫌いだから」
碧「可愛いかったよ」
夕食で予定しているレストランを予約してから、ジェットコースター系のアトラクションに乗った。
ヒロ「碧、連続だったのに平気そうだね」
碧「あれくらいなら大丈夫」
ヒロ「意外だったな。キャーってしがみついてくれるかと思った」
碧「残念でした」
休憩がてらお昼を食べ、碧の好きなキャラクターのお店へ行った。
(可愛いー! 迷うなぁ・・・)
ヒロ「欲しいのあった?」
碧「あり過ぎだよ」
ヒロ「全部買えばいいじゃん」
碧「そういう訳にはいかないよ、荷物になるし」
ヒロ「いいよ、ロッカーに入れれば。どれ?」
ヒロは碧が迷っている物を聞いてみた。
碧「新しく増えたキャラクターをどうしようか迷ってて・・・」
ヒロ「いいよ。全部買えば。碧の誕生日で来たんだから」
ヒロは碧が選んだ物を抱え、お金を払うとロッカーに入れた。アトラクションを廻りながら、予約したレストランで早めの夕食を済ませ、ショーの場所取りをした。
ヒロ「碧、こういうの好きでしょ?」
碧「うん、嫌いな人なんていないよ」
ショーが終わってから、お店を覗いたりしながら歩いた。
ヒロ「碧、これからライブやリハーサルで帰れない日もあるんだ」
碧「うん」
ヒロ「だけど、電話は必ずするから・・・碧も何もなくてもメールして?」
碧「うん」
ヒロ「そろそろ帰ろっか? また来よう」
碧「ヒロ・・・」
ヒロ「何?」
碧「・・・今日はありがとう」
夏のライブが始まった。ヒロは帰りも遅かったが、家を空ける日もあった。碧は相変わらず絵を描いたり、色々作ってはコンクールに挑戦していた。