二人で
朝になり、ヒロが先に目を覚ました。
(何があってもずっと一緒にいるよ・・・)
碧の寝顔を見つめながら呟いた。
碧「・・・ん? ・・・おはよう」
ヒロ「おはよう」
碧「いつから起きてたの?」
ヒロ「少し前だよ。もうすぐ朝食がくるよ」
ルームサービスで朝食を食べながら、ヒロが何人かに電話をした。貸し倉庫を手配したり、碧の部屋の不動産屋に電話をしたり・・・次々と段取りを組むヒロを見て感心した。
碧「ヒロって・・・凄いね・・・」
ヒロ「何が?」
碧「何か、早いよね。やる事が」
ヒロ「やれば出来る子だから」
朝食が終わり、荷物を整理すると碧の部屋へ向かった。
貸し倉庫に運ぶ物、処分する物を決めているとインターホンが鳴った。誰も来る予定がなかったので、碧が不安そうな顔をした。
ヒロ「大丈夫。コウだよ。段ボール頼んだから」
ヒロが玄関のドアを開けると、段ボールを抱えたコウが、もう一人誰かを連れて入って来た。
コウ「碧ちゃん、久しぶり」
碧「こんにちは」
ヒロ「碧、こっちはタク。・・・って、知ってるか」
碧「うん」
タク「ども」
ヒロが段ボールを組み立て、碧が荷造りをし、コウとタクが車に運んだ。しばらく生活出来るだけの物以外に、画材があるため結構な量になった。二台の車に積み、不動産屋に寄り解約手続きをしたり、雑用を済ませながらヒロの部屋に着いた。
ヒロは一つの部屋を簡単に整理すると、コウ達にその部屋に荷物を運ぶように頼んだ。
ヒロ「ありがとう。助かったよ」
コウ「まぁ、いつもの事だし」
タク「だよな」
コウ「じゃ、碧ちゃん、ヒロを頼んだよ」
二人が帰ると急に静かになった。
碧「静かだね・・・」
ヒロ「あいつら煩いからな」
すぐに使う物を整理しながら、碧は気になる事があった。
(ベッドが運べないから倉庫に入れるって言ってたけど・・・布団持って来てないし・・・あるのかな?)
碧「・・・ヒロ?」
ヒロ「何?」
碧「布団って・・・」
ヒロ「ないよ?」
碧「・・・・・・」
ヒロ「だって、一緒に寝よって言ったじゃん」
碧「あれは、昨日の話だよ・・・」
ヒロの部屋にいる間、ずっと一緒に寝ると思っていなかった碧は戸惑った。だが、そんな事は全く気にしていないヒロを見ると何も言えなくなってしまった。
(どうしよう・・・もちろんヒロを信じてるけど・・・)
ヒロ「また手を繋いで寝ようね」
あまりにも無邪気に言われ、碧は何だか自分だけが悩んでいるが馬鹿馬鹿しくなった。
碧「・・・そうだね」
二人の生活がスタートした。