表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/15

過去⑦

部屋に残されたヒロは、碧から聞いた事を考えていた。

(碧はいつも一人だったんだ。一人でいるのが当たり前になって・・・他人を必要としなくなったんだ。だから、あいつが言ったように誰にも心を開かなくなったんだ。でも、僕は碧といたい・・・今まで一人でいた碧の支えになりたい)

ヒロは上着を着ると碧を探しに部屋を出た。

(碧にしてあげられる事・・・)

ヒロはホテル近くの海に向かいながら考えてみた。

(碧は一人じゃない。僕がいるんだ・・・僕をもっと必要として欲しい・・・)

砂浜を歩きながら碧を探していたヒロは、波打ち際に人影を見つけた。


(碧・・・)

碧に近づきながらヒロはある決断をした。海を眺める碧の隣に立つと、ヒロも海を眺めた。

ヒロ「落ち着いた?」

碧「・・・うん」

ヒロ「僕も」

しばらく二人で海を眺めた。

ヒロ「碧・・・一緒に暮らそう」

碧「・・・え?」

碧はヒロを見た。

ヒロ「僕と一緒に暮らそう」

しばらく波の音だけの沈黙が続いた。

碧「・・・あの、暮らすって、その」

ヒロ「あ! ちなみに暮らさない? って聞いてないから」

碧「えーっと、よく意味が分からないんだけど・・・」

ヒロ「何が? 何で? 簡単だよ? 一緒に住むの! いい考えでしょ?」

碧「そう? なの・・・かな?」

ヒロ「だって、さっき、ずっと碧のそばにいるって約束したでしょ?」

碧「・・・・・・」

ヒロ「とにかく! 部屋に戻ろう。寒いよ」


ヒロ「今日はゆっくり話そう」

碧「うん・・・あの・・・」

ヒロ「何?」

碧「ヒロがさっき言ってた・・・一緒に住むって・・・」

ヒロ「あぁ、あれ・・・決定だから」

碧「でも・・・」

ヒロ「僕の事嫌い?」

碧「・・・ううん」

ヒロ「だったら一緒にいようよ」

碧「・・・・・・」

ヒロ「絶対に碧が嫌がる事はしないし、何があっても碧を守るよ!」

碧「・・・ヒロは、私の事を知られても大丈夫なの?」

ヒロ「事務所はもう知ってるから」

碧「・・・私の事・・・マスコミとか面白おかしく騒ぐよ・・・それに・・・ファンとか・・・」

ヒロ「大丈夫! 僕の、僕達のファンは分かってくれる。マスコミはそれが仕事だし、すぐに他の話題に飛びつくよ」

碧「・・・・・・」

ヒロ「碧が話してくれた事は、碧が悪いわけでも、碧が望んだわけでもない。だから、二人の事が分かった時、しばらくは大変だろうけど、僕が碧を守るから」

碧「・・・・・・」

碧は不安はまだもちろんあったが、ヒロの気持ちが嬉しかった。

碧「・・・いいの?」

碧は自分の事なら、頑張れる自信があった。ただ、それよりもヒロの立場が気になった。

碧「ヒロはそれでいいの?」

ヒロ「碧といたいから。最初に碧に会った日から、碧とずっと一緒にいたいって思ってたから」

碧「私も・・・ヒロと一緒にいたい。でも」

ヒロ「分かってるよ。急がなくていい。碧は必ず僕を好きになるよ」


ヒロは碧にこれからの計画を話した。

ヒロ「とりあえず、碧が僕の部屋においでよ」

碧「うん」

ヒロ「来るのは、明日ね」

碧「明日?」

あまりにも急なので碧は驚いた。

ヒロ「うん、碧の気が変わらないうちにね」

碧「・・・・・・」

ヒロ「家具は入らないから、いる物だけ持って来て。あとは倉庫借りよう」

碧「・・・・・・」

ヒロ「新しい部屋に引っ越したら家具を運ぼう・・・って、碧? 聞いてる?」

碧「・・・ん? 聞いてるよ・・・でも、明日って」

ヒロ「まだ言ってる。今日はここで泊まって、明日は碧の部屋で荷作りだよ」

どんどん話を進めるヒロに碧は呆れてしまった。

(ヒロは言い出したら訊かないから・・・)

初めて会った日に、コウが言っていたのを思い出した。ヒロの話を聞きながら、碧は眠くなってきた。

ヒロ「そろそろ寝る?」

ヒロにもたれて眠そうにしていた碧は黙って頷いた。

ヒロ「碧はベッドで寝な」

碧「ヒロはどうするの?」

ヒロ「僕はここで寝るよ」

碧「こんな所で寝たら風邪ひくよ?」

ヒロ「大丈夫だよ」

ヒロの仕事を考えると、体調を崩したからと言って簡単には休めない。ヒロが自分の事を考えてくれているのは分かるが、碧はどうしようか悩んだ。

(ベッドは一つだし、私がソファで寝るのはダメって言うだろうし・・・)

碧「・・・いいよ?一緒で」

ヒロ「えっ?」

碧「・・・ヒロもベッドで寝よ?」

ヒロ「碧?」

碧「あ、でも、その・・・」

ヒロ「分かってるよ。ありがとう」

碧「・・・・・・」

ヒロ「でも、手を繋ぐのはいい?」

碧「うん」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ