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先輩と僕の『非』日常的な日常

後夜祭

作者: 雨月 嶽

R15か良く分からないので、一応つけました。文化祭のお話です

 教室からふと校庭へ視線を落とす。

 文化祭最終日、後夜祭が行われている。

 校庭の中心にはキャンプファイヤーが焚かれ、皆思い思いの場所で祭りの最後を過ごしていた。

 あるものはそばまで寄って騒ぎ、またあるものは遠巻きに眺める。

 僕はそれをなんとなしに眺めていた。

 校舎の中はすでに片づけが終わっていて、所々に残ったテープやポスターの成れの果てがかすかに散らばっていた。

 文化祭は楽しかった。

 少なくとも去年よりは。

 クラスにもうまく溶け込めていたし、出し物も充実していた。 

 そして何より、大切な人の隣で笑うことが出来た。

 先輩は子供みたいにはしゃいで、何度も僕と離れそうになった。

 僕がそれを指摘すると黙って手を差し出してきて、何ですかってきいたら先輩が上ずった声ではぐれないように手を繋ごうって。

 僕はそれが可愛くて素直に可愛いですよって伝えたら、耳まで真っ赤にして小さい声で馬鹿とか言われて、それがやっぱり可愛くて。

 ここ三日間のことを振り返っていたら、校庭から悲鳴のような歓声が上がった。

 思考を一時中断して目を向けると、校庭の隅っこに作られていた特設ステージに打ち上げ花火が用意されていた。

 って、あんなでかいのよく用意できたな。

 自由が校風の学校だがいくらなんでも自由すぎるだろ。

 そういえば、先輩は文化祭の出し物は何をやったんだろう。

 先輩と一緒に文化祭をまわることは出来たけど、先輩のクラスだけは行かせてくれなかった。

 それだけが文化祭の心残りである。

「ねえ?先輩?」  

 教室の入り口に視線を移して話しかける。

「ひう?!」

「気付いていないとでも思っていたんですか?さっさと出てきてくださいよ」

 僕の言葉に少し躊躇するような声が帰ってくる。

「そ、そのだな……恥ずかしくてな?出来ればこのまま話をしたいんだが……」

「却下です」 

 僕はその申し出をにべもなく断った。

「うう……」

 まだ決心が付かない先輩に僕はさらに畳み掛ける。

「先輩が出てこないなら僕から行きますよ?」

「そ、それは困る!分かった、絶対笑うなよ?」

 いつもおかしなことをしてる先輩にしては珍しく念を押してきた。

「わかりましたよ」 

 僕は自然と漏れそうになった笑いを抑えて告げた。

 すると、恐る恐るいった様子でドアの影から先輩が出てきた。

「せんぱい?」

「うう……そんなにじっと見るな、本当に恥ずかしいんだからな?」

 先輩は顔を真っ赤にして出てきた。

 今の先輩の姿は誰にも見せたくないので、描写を正直割愛したい。

 それくらい先輩は可愛らしかった。

 先輩は俗に言うメイド服だった。

 しかし、ただのメイド服ではなく、お尻から尻尾がのびていて頭には猫の耳が生えていた。

「え、とだな、私は今回裏方だったんだがな?無理を言って借りてきたんだ。その、君もそういうのが好きなのかと思ってだな?さ、最初はメイド服だけだったんだ。だけどクラスの女子たちが面白がってだな?気が付いたらこんなことになっていたんだ」

 そう言って縮こまる先輩はどことなく愛らしかった。

「えと、もう一つ。クラスメイトからアドバイスがあってだな……?なんでもこれを聞いた男は誰でもイチコロらしいんだ」

 もじもじしながら言葉を続ける先輩。

 どことなくネコミミも垂れているようだ。

「い、いち度しか言わないから良く聞いているんだぞ?!」

 半ば逆切れのように僕に言って来る。

 そして大きく息を吸い込んで

「わ、わたしは、ごしゅじんさまだけのもの…………にゃん」

 そのとき、背後で大きな音がした。

 どうやら花火の打ち上げが始まったらしい。

 先輩の台詞は花火の音にかき消されて聞こえないという、お約束な展開にはならなかった。

 なぜなら、台詞の直前先輩が僕に抱きついて、耳元でその台詞を言ったからだ。

 僕は一度体を離すと、まだ落ち着かないのか居心地悪そうにもじもじしている先輩を正面から見つめて、

「先輩、それ反則です」

 もう一度きつく抱きしめた。

 この後僕らが教室でしばらくイチャイチャしていたのは別のお話。

文化祭当日というより、後夜祭をメインにしたお話にして見ました。どうでしたか?感想、罵倒等がありましたらどうぞコメントをください


でわ

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