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王都への帰還2

 あれから二ヶ月経った、言葉にすると簡単だが部分的には濃い内容の日もあったのでいずれ語ることにしよう、無事に戻ってきたからには安全な場所に引き篭もることを考えたい。

 端的に言うと全面戦争ではなかったぜ、シェリーさん無双で全てが凍結、領主はあわれにも八つ裂きにされた、の三本立て。ほらこんなもん。

 まさかあの食用蛙でフォアグラを作ろうとしたら失敗したって感じの肥満体が領主だったとか頭も悪く独断で侵攻して来たとか、蓋を開けてみるとあまりにもお粗末な内容だから語らないってわけじゃないんだからね、勘違いしないでよね。

 寄港地の近所で調べたかったことも調べられたし一歩前進だ、悪い方向の結果だったが。


 王都はあまり変わっていなかった、道行く人が厚着になってるぐらいかな。冒険者ギルドはまるで変化がなかったが。

 めっきり寒くなってきたのに相変わらず氷菓を毎夜食べているシェリーさん、フードファイターに転職した方がいいんじゃなかろうか。のんびり食べているうちは平和って事なんだろうなと某OPを思い出していたが限度があるんじゃないですかねぇ、暖房器具なんてものはないのにエルフは体の構造に違う点があるんじゃないかと疑って見る。アイスパワー発生器官とか胸が熱くなるな。

 そうそう、従軍記念にワッペンをてにいれたぞ! 狐が花を加えている意匠で謎文字とカタカナと年号だけ漢字で刺繍がされている、『オウコクレキ八十八 カウンタ フォース』 欧べ……米軍か!

 金ぴかで高そうだが高い高い、実際高い。トム君が貰ってたのはデザインこそ一緒だったがこんなにキラキラしてなかったしな、こんな素晴らしいワッペンをもらえる私はきっと特別な存在なのだと感じました、今では私が子分さん。


 そう、俺はシェリーさんの子分になっていた、英語で言うとフォロワー。で、俺の下にトム君がいる、何を言っているのか分からないと思うが俺にもなんだかわからない。

 黄金の鉄の塊の精神が足りなかったらしく勝手に俺の子分になる前段階で上司が出来た、ますますわけがわからないが臨時軍人から客分にレベルアッポしたぞ。部下兼小間使い、いわゆる従卒まで手に入れて遠征大勝利。主な仕事はお菓子を作ることです、絶対に軍人じゃないから長寿タイプなのは確定的に明らか。

 ちゃんと戦争には行きませんからねと念を押しておいたしこれで一安心だ、戦場怖いです。不意打ち的な意味で。

 よくよく考えると今までの立場とあまり変わってないようだがいくつか特典が有るようだ。


「トム君は急に異動になったけどよかったの? なんなら元に戻すように頼んでみるけど」

「ハッ、お気遣いありがとうございます。シェリー様の配下に参列させて頂き光栄に感じておりますのでぜひこのままでお願いします」


 どうやらマジで言っている模様、嬉々として立ち番して夜は隣の部屋に詰めてくれているがシェリーさん崇拝とかレベル高いですね。たまに目がイってる時があるんだよな……この国の王族? の慕われ具合は異常。その割には本家王族にはあったことが無いが公式行事とかは無いんだろうか。王都支部に人が来ないのも遠慮してるからだとか、奥ゆかしくて熱烈とかどういうことなんだ。どこかで聞いたことのある国民性だがうっ……頭が……

 食いしんぼぶりを見ても幻滅したりはしないようだしどれだけ慕われているのかと別に問いたくはない。


 加えてシェリーさんが身元引受人になってくれたので図書館の利用が可能になったらしい、ついげきの読書でさらに引き篭もりが加速するに違いない。外に出なくてもよくなったんや、引き篭もり最高や。書物のおかげで冒険者生活よりも充実した引き篭もり生活が認可される(確信)。

 ただ残念なことに経験値的にはあまりおいしくない日々だった、大部分が船旅で強襲したのは一度きりだったし狙撃で何人か倒せたがぎりぎり500点手に入ったぐらいだ。まるで上がらないよりはいいが期待が外れたな、早速マジックユーザーⅥを手に入れたぞ! 何が出るかなとおもったらすばらしい魔法が使えるようになった。


 それは擲弾筒、いわゆるグレポンだ。ヘリでも落とせる無誘導な方も使えるようになったがあれはあんまり嫌われてない、グレポンは即キックされるレベル。これでドラゴンだろうと船だろうと、あるいは突撃してくる歩兵だっていちころだ。一撃で殺す敵な意味で。

 この武器の優れているところは即死する威力を一瞬で撃ちこむ事が出来る点だ、それだけなら銃と変わらないが銃撃と違って破片が飛び散るので集団戦に向いているし大まかに打ち込んでも大体死ぬ。手榴弾と違って発射から爆発までがすごく短いし飛距離も出る上正確だ。ファンタジーの産物にどの程度効果があるかは要検証だが実に頼もしい限り。難を言うなら見えない薬室に1発しか入らない点だ、マジカル☆グレポンなら20連装ぐらい出来るんじゃないかとおもったらどうやっても1発リロード方式から変わらない。まあ弾は何発でも作れるようだしこれである程度護身完成なんじゃないかなと思ったら防御力は相変わらずな件について、これは修正やろなあ……


 残りは4段階分のはずだからその中で何とか防御系を身につけられるといいんだが今言っててもしょうがないか、なるべく安全な場所で過ごすことにしよう。


 戦功なんとかも俺は出なくてよかったみたいでシェリーさんだけ出かけていった、その間は昼寝と酒盛りで実に充実した一日が過ごせた。リールさんが引き抜かれなかった理由も判明したが本人の名誉のために口をつぐんでおこう、素晴らしい恥部だすばらしい。当人に許され無かったら八つ裂きになってたんじゃないかなと思ったのは内緒。

 ワッペンを自慢してるトム君の話を聞きながら飲み食いしていると実際すごい物だったらしく、おめでとうと言われながらバシバシ叩かれているトム君、やっかみ半分なんだろうけどおおむね祝福されているようだ。

 地元では伝説のエルフとして崇めれられているシェリーさんは基本的に直率の部下を持たないものらしい。領地にはいるらしいが内政担当ばかりで武官はいないってさ、そりゃ1人で無双してたからいらないんじゃないかな。正しい意味でワンマンアーミーなわけだし。トム君が舞い上がっている理由がなんとなく分かったな。スペックが極まってぼっちになるとかあまり憧れないが。

 嘘か真がわからないシェリーさん伝説を聞いていたが酔いつぶれた連中が出てきたのでお開きになった、リールさんとトム君を連れ立って娼館へGO。


 ここでひとつ問題が起こった、トム君の前でミミーちゃんと触れ合って大丈夫なんだろうかと。俺はロリコンじゃないから大丈夫だけど、俺はロリコンじゃないから大丈夫だけど、一般的にはアウトかセーフか分からない。女の人をあてがってみようかとしてみたが生真面目なのが災いして断固として離れようとしない始末、空気読んで下さいますか? 仕事一筋なのがよく分かったよ、>>106君感謝。

 一方でリールさんは早速しけこんでいる、戦勝祝いとはいったいなんだったのか。

 開き直っていつものごとく餌付けして撫で回してみたが特に何も言ってこない。案外大丈夫だったのかも分からんね。

 ネコネコワッショイでヘブン状態になったミミーちゃんをママに預けて帰宅した、いやあ癒されたな。


 数日後、遠征のごたごたも片付いたので早速図書館へ向かうことにする。

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