危険が危ない
前回のあらすじ
なぜか戦争に参加してた俺が甲板から見たのは大将のシェリーさんが奇声を上げながら水面を15メートルとか言うレベルじゃなく走り去っていく光景だった、何を言っているのか分からないと思うが俺にも理解できていなかった。
まずおかしいのは大将が突撃するところから突っ込むべきなんだろうか、はたまた奇声を上げているところか、あるいは水面を走るところかもしれない。全部じゃねーか。
もう少し落ち着いたファンタジーの世界観でお願いできませんかねぇ、この世界作ったの絶対創生神だろ……汚いなさすが創生神汚い。現実逃避していたら港にたどり着いたシェリーさんの接岸攻撃で石垣が抉れて崩れている、またもや何を言ってるか分からないと思うがありのまま起こったことを話すぜをしているだけなんだすまぬ……すまぬ。
肉弾戦可能な魔法使いとか反則だろ、どちかというと魔法使いよりもリアルではモンクタイプですねわかります。もう他の兵隊いらないんじゃないかな、どう見ても無双状態だし。
それからしばらく経ったが石垣以降派手に壊れているような音はしない、あっさりしているが普通もっと抵抗があるもんじゃなかろうか。
船の中に閉じ込められた敵兵が救出されてあの時はもうダメかと思いました、もう二度と越境なんてしないよってコメントを出してくれるなんて事はなさそうだがそんな状況ならもう掃討戦の段階なのかも分からんね。
眺めているとローブ姿の集団がやってきた、魔法部隊だったか。先頭にいるのは高そうな衣装を身にまとったおっさんだ、サークレットにはたくさんの宝石が付いていて陽光が眩しい。あと頭髪もまぶしい感じだが目立ちすぎでしょう、いわゆるトク・トウ、英語で言うとボールドヘッド。
よく見れば昨日俺を睨んでいたおっさんだった、帽子を取ると特徴が出るんですね分かります。
「参謀殿はずいぶんと落ち着いておられますな、よろしければ一働きされてはいかがかな」
うんこいつは嫌な奴だな、いちいち気に障る言い方で嫌味か、そんなことを言うためわざわざ来るとか実質初対面なのに信じられない系。これは教育やろなぁ……シェリーさんが言ってた生意気な奴ってのはこいつのことだな、修正を奢ってやろう。9回でいい。
久々に人の悪意に触れたがこんなに嫌な物だったとは。現代人ならこれくらいのストレスは当たり前かもしれないが久々にやられると堪えるものがあるな。転生してからこっち、善人ばかりだと思ったらそんなことはなかったぜ。
しいて言うならマルタスさんの妹婿さんが該当しないでもないがあれは病気故の奇行であってセーフな。思い返しているとイヤミさんはまだ何か喋っていたようだ。
「貴様のような得体の知れない輩が参謀など片腹痛い、名誉は我がトオザン家にこそあるべきなのだ。凡俗を乗船させた上何もしていないではないか、この事は戦功議事で追求させてもらうからな。無論あの古狐にも責任は取って貰う」
と言って来るあるさま。
嫌な貴族の見本みたいな人だがほとんど逆恨みなんじゃないですかねぇ、確かに戦争の役には立ってないがそういう契約だし文句があるなら将軍に直接お願いしますよ。あと古狐がシェリーさんのことをさしているのならこいつの寿命がマッハになるんじゃなかろうか。
長々と家の自慢と自分が如何に優れた魔法使いかを語りだしたがもうゴールしてもいいよね、絶望という名のな。シェリーさん威を借る俺という名言を知らないのかよ。
許可は貰ってるんだから当方に教育の用意あり。口で説明するくらいならおれは牙をむくだろうな、俺砲兵支援で岸壁とか普通に壊すし。
マントの下でマジカル☆ハンドガンwith氷減装弾を準備してみる。これなら痛いぐらいで済むだろ、すわOSHIOKI代わりに威嚇射撃でもしようかと思ったらイヤミさんが半回転して頭から落ちた、一瞬だったが頭に何か当たっていたようにも見えたな。これは俺の魔法とは無関係、リアルでヘッドショットとかちょとsYレならんしょこれは……? ゲルゲムの仕業に違いない(確信)。気のせいか俺の肩にも何かが当たったような感触があったが……矢が落ちてますね。
沖の方から飛んできたようだが先に突っ込みをしてくれるとはずいぶんと手際の良い、貴族()笑というか鬼な……警備の人に引きずり倒されました。マントとどこからか取り出した大盾でカバーしてくれていてマジ優秀、ザ・ボディーガードの称号を与えよう。
スナイパーとか叫ぶべきかと考えながら東側を見ると蜃気楼のようにぼやけているが何かが近づいてくる、急にはっきり見えるようになったかと思ったらかなり接近している、光学迷彩の威力がよく分かったよ>>精霊感謝、出来れば味方以外は使わないで下さい。よく見ると港に泊まっていたのと同型の船だな。
つまり……敵じゃないですかやだー。
なるほど、船は二隻あったッ! という形になるな。覚悟は良いか? 俺は出来てない。




