ねんがんじゃない リクエストをてにいれたぞ!
今日も昼まで寝て健康だ、いやあ冒険者生活はゆとりに溢れて素敵ですね。目が覚めると横にはいつもの串刺しオレンジが……ないな。ついに撤去してくれたのかと思ったら部屋の配置が微妙に違っていて全体的に狭い、窓が1つにドアが2つでここはどこだというか鬼なるが昨日まではいつもの冒険者ギルド2階1泊銅貨10枚の部屋だったはず。拉致か神隠しにでもあったんですかねぇ、転生自体そんな物かもしれないが急に移動するとかおかしいだろ。
荷物は全部揃っているようなのでとりあえず着替えよう、装備を着込んでおけば即死はしないだろうと思った? 残念ながら死にます、肉体的には人並みな上防御スキルなんて無いので。まったく、こんなことなら真面目に魔法を訓練しておくべきだったかな。いまさらだがボディアーマーと蘇生スキル下さい。
見覚えのないベレー帽みたいなのがあるがこれをかぶっておくべきなんだろうか? 頭装備がなかったからちょうどよかったな。
着替えて窓を開けると海だった。何を言っているのか分からないと思うが俺にもなんだかわからねーよ。潮風が入り込んでさわやかですねと言えばいいのか? よく見ると少しずつ動いているようで窓枠の形といいここは船の中のようだ、ますますわけがわからないよ。
昨日までの生活を思い出してみる、引き篭もり生活で何の問題もなかった。回想しようが無いぐらい普通で何もない生活だがどこもおかしくはない。いいんだよ金はあるから引き篭もりでも。
それがなんで船中の人になっているのか……創生神じゃ、創生神の仕業じゃ。悪いことは全て創生神さんのせいで大体あってるからこのパターンでいいや、引き篭もる場所が変わっても私は一向に構わん!
ともあれ責任者でてこい、いや一応事情は聞いておかないと引き篭もれないじゃないですか、家賃とか食料的な意味で。あとトイレと風呂もな。とりあえず外に出てみよう。
ドアを開けるとトイレだった、早速問題がひとつ解決したがこっちははずれか。もうひとつのドアを開けると廊下だが兵隊さんがドアの両隣に仁王立ちでこっちを見ている、思わず閉めた。
「どう見ても兵士です。本当にありがとうございました」
間借り警備員をしていたと思ったら警備されていたでござるの巻、自宅警備とは違って監視員が追加されている辺りレベルが上がっているのかも分からんね。どうでもいいことを考えながら首をひねっているとドアがノックされた。
「ジトウさんお目覚めですか? 警備隊のトムです」
助かった、終わったかと思ったよ。これは地獄にブッダって言うんじゃないかな、まあ一般論でね。再びドアをあけるとそこにいたのはネコミミ男兵士のトム君だ。フル装備だからネコミミは見えないが面頬は開いているので間違いない、前にもこんなことあったな。
「おはようトム君、ちょっといいかな」
「ハッ、ご用命とあらば」
「まずここはどこかな?」
「旗艦ヒガシヤマダです、現在位置は王都から半日ほど北に進んだ辺りになります。メイキュウマエ到着は5日後の予定です」
そうですかありがとう、旗艦すごいですね。それほどでもってなんで船に連れ込まれてまた北に向かっているんですかねぇ、あんなサツバツ都市には10年ぐらい足を踏み入れたくないんだが。
あと東山さんは何にでも名前付けされて本人はどう思ってたんだろうな、新手の中二病かも分からんが当人にしてみれば黒歴史まったなしやでぇ……
「将軍の部屋まで案内するように申し付かっております、準備が出来ましたらご同行ください」
新キャラ:将軍が追加されている件について、展開が早すぐるでしょう。拉致ったのもその将軍かよ、あまりの理不尽さに俺の怒りが有頂天になりかねない。
正直逢いたくないが詳しい話を聞いておかないと後々面倒だし行って見るか、トム君の後について部屋を出る。警備員さんも一緒についてくるが護送されてるんじゃないんだと信じよう、長い廊下を歩いていくが実際広い、いや結構な大きさの船なんだな。木造戦艦東山ですねわかります。すれ違う兵隊さんが皆敬礼してくるのはどう返せばいいんですかねぇ、見よう見まねで返礼しておく。
しばらく進むと突き当たりに部屋がある、将軍の部屋って割には普通だな。そういや船なのに提督とか艦長じゃなくて将軍なんだよな、偉大な将軍的なあれか。トム君がノックしてドアを開けてくれた、どうやら入るのは俺1人らしい。
中に入ると雑然とした部屋だった、壁一面に本棚と紙束が並んでいて床には木箱で部屋の半分が埋まっている。窓側には机がありそこには誰かがいるようだが大きな椅子が逆向きになっていて見えない。
「楽にしたまえ」
くるりと椅子が回転して出てきたのはシェリーさんだった。新手のドッキリかよ。軍服ダークエルフ……あると思います。
「君にはある作戦に同行してもらいたい、今ならば拒否できるが?」
「えっとシェリーさんなにしてはるんですか、あとなんで俺は拉致られたんでしょうか?」
思わず似非関西弁になってしまったが事態についていけてない感、説明してくださいますか?
「……男の子はこういうの好きかと思って」
お前は何を言ってるんだ、そんな理由で拉致ったの? 馬鹿なの? 死ぬの? そもそも理由になっていないんじゃなかろうか。問題はなぜ俺はここにいるのかということなんですがねぇ。それにもういい年なのでそういうのはちょっと……映画の中だけにしてください。
「ちょっと北に行く用が出来たんだけど氷菓子が食べられなくなるじゃない、だから夜のうちに運んでおいたのよ」
うんわかった、たいした理由はなかったって事がな! 加えて鍵のかかった部屋に侵入して氷の串刺しオレンジオブジェを作れるぐらいなら拉致る事も簡単ってことがわかったよ。>>シェリーさん感謝 しねーよ、あまりにも自分勝手でしょう。
「ごめんなさいね、ちょっと急がないといけなかったの。道中は安全だしいつも通りにしてくれて構わないわ、夜にいつものをお願いするだけだから。あと依頼扱いにしたからお金も払うわよ」
ちょっと言い方がエロいよ!!シェリーさん。
そういうことならいい……か? どうせ引き篭もってるだけだったし予定もないしな。ただ金には困っていない事をドヤ顔でアピールすべきかも分からん、うわぁ……俺の日収高すぎ。
「よく分かりませんが急すぎるでしょう、起こしてくれればよかったのに」
「事は緊急を要するのよ」
目をそらしながらいわれてもなあ、そもそもシェリーさんはギルドの人だったんじゃないのか?
「ところでシェリーさんは将軍さんだったんでしょうか?」
「厄介ごとがあるとたまに駆りだされるのよ、まあ臨時将軍ね」
「はあ、それはそれは」
「ところで引き受けてもらえるのかしら? 出来ればうなずいて欲しい物だけど」
「断るとどうなるんです?」
「事が終わるまで部屋の中に篭ってもらうことになるわね」
別にいつも通りだからそれでもいいな。でもせっかくだから俺はこの金がもらえるほうを選ぶぜ!
「わかりました、シャーベットを作るだけでいいんですよね? それだけなら引き受けますけど何日ぐらいで帰れますか?」
「予定では冬の1月に入る前には帰還することになっているわ、あくまで予定だけど大体1ヶ月ぐらいと考えてちょうだい。仕事はそれだけだけど会議には出てもうことになるわね、まあいるだけでいいから。報酬は帰還後に一括で金貨5枚」
「会議といいますと?」
「ちょっとした話し合いよ、大して時間はかからないわ。生意気な奴らがいるけどね、死ななければ痛めつけても構わないわ」
「えっ」
何それ怖い。軍隊ってもっと規律正しい物だと思ってた。
「はぁ……そういうものでしょうか」
「将軍に任せなさい、今回は私が1番偉いんだからなんとでもできるわ。しばらくは自由にしてて、あと果物はたくさん用意したから色々作ってちょうだいな、楽しみだわ」
木箱を指差されたがなるほどこれ全部果物なんですね分かります。多すぎじゃなかろうか、1ヶ月分にしたって……まあシェリーさんだからな。
「用があるときは人をやるから、警備隊の子を借りてきたから知ってるでしょう?」
「トム君は会いましたけど他にもいるんですか?」
「そんな名前だったかしらね、まあ挨拶しておいて」
扱いが雑すぎて哀れにも骨になる勢い、修正してあげてください。
「わかりました、ところでわざわざ出かける用事って何なんでしょうか?」
「躾がなっていない奴等を教育するだけの作業よ、すぐに終わらせるわ」
微妙に穏やかじゃない系の雰囲気、教練とかそういうのなんだろうか。
「端的に言うと戦争ね」
えっ
えっ?




