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氷菓子とダークパワー

 全盛期のシェリーさん伝説で検索してみたい、時空がねじれていれば検索結果が出るかも分からんね。

 もしかして: 絶対強者 かもしれないが。

 俺が知っているのは東山さんの世代の人でダークエルフのギルド支部長、商船丸ごと氷結事件の容疑者って事ぐらいだ。何度か話した程度だが恨みを買った覚えもないしどうしてこうなったのか俺には分かりません。最後にあったときは問題なかったはずなのに。

 あまり接点がなかったがシェリーさんの凄みが言葉でなく心で理解できた、あれは逆らってはいけない。言葉が通じる間は大丈夫、と思えなくもない所にまだ救いがあるが戦車1号もドラゴンに挑む時はこういう気持ちだったのかなあ……すまぬ……すまぬ。とにかくオレンジシャーベットを作らない俺に未来はにぃ。 下手をすると凍らされたあとバラバラに引き裂かれる系の仕事が待っている。

 立ち飲みラリーにのりこめー^^ じゃねーよ馬鹿。店に飛び込む。


「すいませんオレンジとオレンジの酒をください大急ぎで」

「ほらよ」


 既に準備が出来ている件、これは新手の陰謀かもしれない。


「ラリーさんもグルなんですね、これはひどい」

「ご挨拶だな、商売してるだけだぜ」


 言ってることはもっともだが例のペナントを回しながら言われるとイラッとするな、次にお前は昼の段階で予想済みだったと言う!


「ギルドの嬢ちゃんが来る時間だからな。今日は少し早いが、ここの所毎晩だ」


 ……少しは当たったかな、まあ大体あってる。ミーコさんの顔色の悪さとトイレに駆け込んでた理由もなんとなく分かってきた。


「そうですかありがとう、商売繁盛すごいですね」

「うん? まあそうだな、それより急げよ。待たせない方がいい」


 もっともだ、会計しようとしからもう支払済みだそうな。あいさつもそこそこに急いで戻る。またペナントを棚の瓶に引っ掛けていたがひょっとして毎晩の行事になってしまったんだろうか。ギルドに到着する。

 まだ笑いながら待っていたらしいシェリーさん、手招きしているから近くに寄らざるをえない。笑みとは本来攻撃的なものというのが体感できました。


「そうね、こうやって帰ってきて隣の席で作ってたわ。今日はここで作って見せてちょうだいな」

「ただいまお作りしますので今しばらくお待ちください」


 魔法で横に真っ二つにして中身を取り出し、中の白い部分をあらかた取り払って果肉だけにする。今回はアイスの魔法で作ってみたパフェグラスに移し変えて酒を少々、大きさをあわせたアイスドリルを作って攪拌する事一分弱。なんとなくシャーベットの出来上がり。現実で同じ作り方が出来るかどうかはわからないがアイス魔法マジ便利。


「どうぞお召し上がりください」


 袋に入っていた木の匙を添えて出してみる、じっと見られていて緊張したが何とかできたな。既にシャーベットを食べているダークエルフさん、あると思います。というか動作の節々がエロいんじゃなかろうか、匙の持ち方から唇の動きまで全部エロく見える。いかんいかん、さあ俺を部屋に帰らせてください。立ち去りたかったが後で何かいわれても困るので食べ終わるまで待っている。手持ち無沙汰だったのでもうひとつオレンジを取り出し自分用にと作ってみたらグラスが消えた……何を言ってるか分からないと思うが超スピードのようなもので持っていかれたらしくそこには2杯目を優雅に食べ始めるシェリーさんの姿が。幸いなことに凍るような雰囲気はなくなっているので一安心だが行儀が悪すぎませんかねぇ。仕方が無いのでもう一つ作ってみた、今度は大丈夫だ。

 匙がもうひとつあったのでそれを使って食べていると酒が多すぎたらしい、ちょっと熱くなってきたな。半分くらい食べたらもう入らなくなった、どうした物かと顔を扇いでいるとこっちを見ているシェリーさん。物欲しそうにこちらを見ている、公園でパンを食べていると寄ってくる猫のようだ。


「顔が赤いわね、片付けは私がやっておくからもう眠りなさい」


 うん、字面だけなら気遣いに溢れた台詞なんだが視線はグラスから離れないな。そもそもここに呼んだのはあなたですよね。ともあれお開きになったのならありがたい、部屋に戻ろうそうしよう。


「とても美味しかったわ、ありがとう」

「いえいえ素人料理ですのでたいした物ではありません、お気に召して何よりです」

「ところで作り方なんだけど、凍らせながらかき混ぜればできるのかしら?」

「直接凍らせると固まってしまうので氷でかき混ぜるとちょうどよくなりますよ。器の方を凍らせながらやった方が楽かもしれません」

「そう、試してみるわ。おやすみなさい」

「おやすみなさい」


 死亡フラグなんてなかったんや、美人ダークエルフ最高や。よく見ると洋ゲーの美人のように見えてきた、むしろリアルとは思えない造形美だ。なのでこれはギリギリ守備範囲内です、いやあなんだかんだあったけどこんな美人とお近づきになれて得したな。これは全力でオレンジ! を買い込もう、他の果物でもいいな。

 部屋に戻って寝ようとしたが風呂に入るのを忘れていた。酔っているからやめておくか、明日の朝入ろう。そうして眠りについたのだった。





 翌朝目が覚めると氷で串刺しのオレンジがが部屋のテーブルに突き刺さっていた、これには思わず苦笑いじゃなくてドン引きだ。プライベートとはいったいなんだったのか。やはり3次元の女はコワイということがよくわかったよ。 >>シェリーさん感謝

 ひょっとしたらダークエルフには感謝の表現にこういったことをする習慣があるのかもしれない、闇属性的に考えて。























 ……ねーな。

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