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ファイル01 「再会」
――数分おきに繰り返されるアナウンス――
――止むことの無い人々の話し声――
屋上へ上がると数百もの人々を乗せ4基のエンジンがもたらす推力を得て巨鳥が飛び立って行く――――
「万有引力に反している」
そんなことを言った奴もいたがそんな姿を今日も写真に収めている若輩者がいた
その若輩者は今年高校に入学したばかりの16歳 余暇にはここ、北の空の玄関である新千歳空港にいる
学校は空港所在地の燐市にあり、自宅からは電車とバスを乗り継いで通っている
――
「久しぶり」
――
それは昼時も過ぎた頃の出来事だった
午前中に目的の機体を撮り終え、小型機が駐機するエリアと駐車場が一望できるカフェで、これから出発するターボプロップ機に乗り込む乗客達を遠くに見ながら遅い昼食をとっているときにいきなり話し掛けられれば、普通は驚くだろう。
不意を突かれつつもその声を発した人物を見て、唖然とした。
「良美…?」
それが数年振りに再会した元恋人だと理解するまでに、それほど時間は必要無かった。