表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

追放されるので、私は手紙を送った

作者: 鷹のつめ
掲載日:2025/09/20

──お前を国外追放処分とする。


 それが魔法使いリーシェに対する最後の言葉だった。


 この国唯一の魔法使い。そして王子の婚約者。

 なんていう肩書きで持てはやされても、状況が一変すれば全てを失ってしまう。

 此度の婚約は、陛下からの直々の命令——だったとしても、彼の権力はそれら全てを凌駕していた。


 それだけの力があった。

 国内最強とも称される剣術使い。

 やれ剣聖だの、剣王だの。

 無類の強さを持つが故に、様々な異名をつけられ、周囲からは持ち上げられた。


 婚約以前の殿下の姿を、リーシェは知らない。けれど想像には難くなかった。

 自信を積み重ね続けた殿下は、やがて驕りとなって周囲に対しても、その影響は顕著に現れ始めていた。


 傍若無人な振る舞いで、あっさりと切り捨てられ、リーシェはすでに用済みに。

 殿下にとって見れば、路傍の石程度にしか思われていなかったのだろう。

 けれどこうなることは薄々勘付いていた。

 代わりとなる魔法使いも殿下が直々に呼び寄せ、そしてすでに——その彼女にご執心なことも分かっている。


 力量は不確かで、周囲からは魔法使いと呼称するのも憚られた。

 今後どうなることやら、と先が思いやられる陛下の苦心は察する。


 けれども、もういいのだ。

 殿下との婚約はダメだった。それだけの話。

 これ以上想い続けていても、彼にとって迷惑に感じるだろう。


 だからリーシェは、この国を去る前に、殿下に向けてこんな手紙をしたためた。






 “あすにはすべて終わりを迎え、真実は何も分からない。


 なにも知らない貴方が、その真実に気づくことができたのなら。


 たくさんの幸せを二人が手にすること間違いないな。


 私のそんな愚痴話を聞いて、皆が笑っていた光景は今でも忘れられない。


 よろしければまた来世でも、お会いできるのを楽しみにしておりますわ。”




 そして半年後。

 内密にこの地に足を踏み入れたリーシェは、こんな話を耳にする。

 王子は今も、行方知れずのままであると——

ここまで読んでいただきありがとうございます。

最後にブクマや☆☆☆☆☆でポチッと評価していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ