10/14 Mon その1
10/14
ジリリリリリ
目覚ましの音で飛び起きる。
夢を見た。
小さい頃の夢だ。
ピアノを弾いていた。
まだ、無邪気に弾けていた頃。
俺は……誰かとピアノを弾いていた。
俺の大切な人……
俺が殺してしまった人……
あの人も、今は幽霊になっているのだろうか。
それとも……
ううん。気にすることではない。
今日も学校に行くとしよう。
「おっす、ピグラ」
「今日も元気だな」
「ピグラがぼーっとした顔をしてるからだろ」
「そんなに変な顔してたか?」
「うん。考え事か?」
「そうだな。今日見た夢が昔の夢だったんだ」
「昔って……どのくらいだ?」
「俺がまだピアノを弾いてた時だ」
「あぁ、なるほど」
ラビアは俺がピアノを弾かなくなったことを話してある。
「それで不思議な顔をしてたのか」
「昨日の幽霊騒ぎといい、みんなも引きずってないといいけどな」
「そうだな」
頬を叩く。
今更過去を悔やんだり懐かしんでも仕方ない。
俺はピアノを弾けなくなった。
それで終わりだ。
「~♪」
放課後の練習。
前よりはよくなったが、新しい問題が出始めた。
「音に迷いがある」
今までまっすぐしていたのに、急に音がぶれ始めた。
「この前のが原因か……」
幽霊。
実際、自称幽霊からも存在を肯定されてしまった。
みんな幽霊に対してなんらかの特別な感情を持っている。
ラビアですら、遠慮しているのか譜面通りの演奏をしていた。
「練習の間だけでも俺が指揮してみるか」
一度、俺が指揮をとってみる。
「……」
やはり迷いがあるな。
それに、全員違う。
ソロはどうすればいいか、アヴィは何かを探すように、ゴラは恐れている。
ラビアは何かを知っているみたいで、遠慮がちだ。
「練習の間だけだが、俺を指揮をとる」
このままじゃダメだな。




