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10/13 Sun その後

俺は夜に森を訪れていた。

みんな幽霊の話を聞いた途端、様子がおかしくなった。

この村には何かあるのかもしれない。

だからこうして、幽霊を探していた少女がいた場所に訪れている。

「ピグラさん。ここは立ち入り禁止だよ」

後ろから声をかけられる。

「ああ、わかっているさ。ただ君を探しに来ててな」

「私を?」

俺は相手の姿を認める。

この間で会ったのと同じ人だ。

「幽霊が出るっていうのは本当なのか?」

「本当だよ」

「よくある迷信だな」

「信じてないの?」

「実際に見たもの以外は信じないんだ」

「そっか……でも、あなたは幽霊を見ているよ」

「俺が幽霊と出会っているっていうのか?」

「はい、だって……私が幽霊だから」

「……は?」

「私はこの村で死んでるんだよ」

「君は……何を言っているんだ?」

確かに幽霊かもしれないとは思った。

ただ、冷静になった今だと、幽霊なんて存在するはずがないと知っている。

「でも、成仏できずに、この村に縛られているんだ。だから、幽霊を探しているの」

幽霊を探す幽霊。

「これでも信じてもらえない?」

「正直信じられないさ。でも……」

俺は知っている。

この少女が本当に死んでいるのだと。

理由はわからないけど、なぜか確証がある。

「君が死んでいるのってのは……わかる」

「……そうだね」

幽霊の少女は少し笑顔で、そして悲しそうな顔をする。

「幽霊っていうのはこの村じゃ特殊なものなのか?」

昼間に幽霊の話を聴いて様子がおかしくなった三人を思い出す。

「どうだろう。お年寄りの方は妄信してたり、無垢な子供は信じてたりするけど」

「俺ぐらいの年の人は?」

「信じていない人がほとんどかな」

「やっぱりそうだよな」

三人が特別なだけで普通は、誰も気にしていないのだろう。

「そういえば、倒れた時は大丈夫だったの?」

「ああ、多分軽い貧血だろう」

この少女の前で倒れたんだったか。

「君が助けてくれたのか?」

「森の外まで運ぶことしかできなかったけどね」

幽霊なので、と後付けする。

「いや、ひょっとしたら死んでたかもしれない。助けてくれたことは感謝している」

俺は姿勢を改めて頭を下げる。

「そこまでしなくても!それに無理もないさ……ねえ、ピグラさん。あなたはどこまで覚えているの?」

「覚えている?」

「この村のこと、覚えているの?」

「どうだろう、特に接点もなかったんだよな」

「隣町に遊びに行く感覚程度なら子供の頃何度かあったかもしれない……あれ……?」

俺はこの場所を知っている。

変な感覚だ。

あの倒れた日に近い。

「大丈夫だ……俺は落ち着いている……」

一度、深呼吸をして心を落ち着ける。

「まだ、焦らなくていいさ。ゆっくり、調律を合わせていけばいい……今は家に帰った方がいい」

不思議と俺もそんな気がしている。

「ああ、今日と、この前はありがとな」

「私に出来ることは、それぐらいだから」

少女は笑顔で手を振ってくる。

俺もなんとか手を振りかえす。だが、笑えてはいなかった。


ーーー

「ねえ、ピアノ弾いてみて」

「いいけど」

ポロン ポロン

「おぉー」

「やっぱり上手だね」

「練習してるからな。ーーは弾かないのか?」

「そうだね、私も弾いてみる」

ボンボンバーン

「どこを叩いたらそんな音が出るんだよ」

「えー楽譜通りに弾いてるのに」

「楽譜読めるのか?」

「読めないけど」

「それは楽譜通りに弾いてるとは言わない」

「俺が教えてやるから、俺の後に続けて演奏してみな」

「ふふっ、ありがとう」

ポロロン バーン ポロン ポロン

「ちょっとずつ弾けてきた」

「ピグラくんのおかげかな」

「ーーの腕がいいからだろ」

「二人とも、席を空けててすみません。授業を再開しましょう」

「はーい」

ーーー

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