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08 三人


 目の前には武装したいかつい男たちが三人。


 左からそれぞれ、片手剣、短剣、短槍。


 取り囲まないで横並びでにやにや笑っているのは、僕をなめてるからだね。



 連中のにやけ顔を見ていたら、なんだかスイッチが入っちゃいました。


 魔導具に頼らない素の自分がどこまでやれるのか、試してみたいです。


 リセは『コニタン』の『収納』の中、


 杖代わりに持っていた棍を、しっかりと構えます。



 怖くは……ないです。


 シナギさんから学んだ精神鍛錬法のおかげ、かな。


 恐怖とか怒りとかを一旦脇に置いて、


 冷静に状況を観察しながら、鍛錬で染み付いた動きに身体を任せる。



 一番最初に突っ込んで来たのは右側の短槍使い。


 たぶん一番間合いが広いヤツから来るだろうという、予想通り。


 穂先を逸らした棍の先端を相手のみぞおちの方向に向けるだけ。


 短槍使いは突っ込んで来た勢いがそのままみぞおちに。


 モノカに教わったカウンターの技です。


 まずは、ひとり。



 左側の片手剣使いが、じわじわ近付いて来ました。


 短槍使いが突っ込んでカウンターを喰らったので、警戒してますね。


 一番偉そうな真ん中の短剣使いはリーダーっぽいから最後まで動かないだろうという予想も当たったようです。


 まずは片手剣使いに集中。



 間合いを測られないよう棍の先端を相手に向けます。


 片手剣使いは、それなりの使い手のようですね。


 間合いの詰め方が慎重なので、使い手。


 片手剣の手入れがぞんざいなので、それなり。



 無理にこちらから仕掛けなかったので、男は片手剣の間合いにあと一歩まで近付いて来ました。


 下段の構えってことは、跳ね上げて棍を斬り払うつもりなのかな。


 膂力に自信ありってことだよね。


 僕の棍は『ゼファー』シリーズと違って『絶金』素材じゃないから、正面から剣と打ち合うのはマズい。



 棍を揺らして誘ってみます。


 目線が棍を追うなら、このまま待ってカウンター狙い。


 誘われないなら、こちらから仕掛けます。



 えーと、めっちゃ視線が釣られてますね。


 なんだかシナギさんの釣りもどきを思い出して、口元がニヤけちゃいました。


 僕の表情を見て、男の顔が真っ赤ですね。


 そろそろ我慢の限界かな。



 下段のまま突っ込んで来た男のひざに棍を合わせて、


 バランスを崩したら、あごを下から跳ね上げます。


 これで、ふたり。



 短剣使いの男が、にやにやしながらこちらを見てます。


 余裕なのは結構ですけど、もし三人で一斉に飛び掛かってたらこんな状況にはなっていないんですよ。


 まあ、悪党集団のテンプレってやつですかね。



 他の二人よりひと回り小柄ですけど、圧を感じます。


 一番の使い手ってことでしょうか。


 懐に入られたら負け、かな。


 うん、後は自分のこれまでの鍛錬を信じて。



 ……



 よく見て、いなして、隙を見て打つ。


 それで決着。


 中々素早い短剣使いでしたが、落ち着いて対処出来ました。


 ノルシェさんと比べたら怒られちゃうんだろうけど、


 ちゃんと見えていたし、しっかり動けました。


 アリシエラさんの魔導具に頼らずに無血制圧出来たことが、少し誇らしいです。



 男たちの武器を『収納』に入れてから、


 ノルシェさんから教わった捕縛術で、ロープで首を縛って、と。


 さて、捕縛した三人、どうしようかな。


 やっぱり自分の運命は自分で決めたいよね。



 おじさんたち、このままここに放置されるのと、ケルミシュのギルドに連れていかれるの、


 どちらが良いですか。



 話し合いの結果、ケルミシュまでおじさん三人を連れて行くことになりました。


 ひとり旅に、予期せぬ旅のお供が増えちゃいましたよ。



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