25 ファミリー
"ファミリー"に関しては、いまだキルヴァニア側から正式な声明は無いそうです。
エルサニア王都から派遣されて来た騎士団の方々も、オーバンの街に馴染んでくれております。
エヴェルシュの街とは、あれから特に揉めごとも無し。
オーバンの街も落ち着いてきましたので、僕とヴォルさんはキルヴァニアに行く準備を始めました。
「私も行きます」
駄目ですよ、リルさん。
ゲラルディエはあれから行方知れずですし、危ないことはさせられませんよ。
ヴォルさんからも、ひと言お願いします。
「カミスさんが一緒なら大丈夫だろう」
ちょっとヴォルさん、どうしちゃったんですかっ。
「昔から、リルの頑固には勝てん」
あきらめちゃ駄目ですよぅ。
『リルなら許しちゃおっかな』
なにを許すんですかっ、リセ。
こうなったら、ヴォルさんとふたりで全力で守るしかないですよね。
……
そしていよいよ出発の日。
僕とヴォルさんとリルさん、
三人でキルヴァニア王国内を視察して来ます。
『私もいるんだけど』
ごめんね、リセ。
四人旅だよね。
ツァイシャ女王様からの書面もお預かりしております。
トラブルに巻き込まれたときは、躊躇せずエルサニア特使として振る舞うようにとおっしゃっていただけました。
ありがとうございます、女王様。
しっかりと視察してきますね。
「準備は良いかな、カミスさん」
準備万端ですよ、ヴォルさん。
『トラペゾ』の大容量『収納』のおかげで、身軽に旅が出来ますね。
「長旅は久しぶりだから、楽しみです」
おてんばさんは控えめでお願いしますね、リルさん。
「まあ、カミスさんがひどいのよ、兄さん」
「無理やり旅に同行するのは、おてんば以外の何者でもなかろう」
「ふたりともひどいんだから。 分かってくれるのはリセだけね」
『大丈夫よ、リル。 乙女をいじめる不届き者は後でバッチリお仕置きするから』
ふたりはもう息ぴったりの仲良しさんですね。
それでは、キルヴァニア王国視察旅行へ出発です。
"キルヴァニアファミリー"はちょっと怖いけど、
ケモミミ王国、楽しみです。
えーと、デッセルカさんの件ですが、今はシナギさんに夢中みたいです。
惚れっぽい方なのですね。
あとがき
リヴァイスという世界は、ひとりの少年がプレイしている仮想現実ゲームです。
彼は長い時間この世界を旅するうちに『鏡の賢者』と呼ばれる存在になりました。
お供のメイドさんは『伝説のメイド』と呼ばれております。
ここで暮らしている人々はいわゆるAIですが、それなりに大変なこの世界を楽しく生きているみたいです。
リヴァイスの物語は、そういう人々のあれやこれやを短編として紹介するものとなりそうです。
iPadのメモ帳につらつら溜め込んでいたショートストーリーや小ネタをひとつの世界にまとめようとしたら、こういう設定になりました。
整合性や何やらいろいろアレですが、お話しがまとまり次第投稿したいと思っております。
楽しんでいただけたら幸いです。