24 交流
オーバンでは、孤児院に住まわせてもらっております。
リルさんの美味しいお料理を毎日いただくことが出来て、嬉しい限りなのです。
『ゲートルーム』は、孤児院の敷地に設置されました。
エルシニア王都に設置されたのと同型の小型無人タイプです。
それからは、みんながひんぱんに交流に訪れてくれるようになりました。
「いいよね、ケモミミ」
アランさん、獣人さんたちへのスキンシップは節度を守って、ですよ。
「可愛いよね、リルさん」
それは同意しますけど、リルさんとのアレコレに関してはヴォルさんの同意が必須ですからね。
「先にヴォルさんをモフった方が良いってことかな」
えーと、頑張ってください。
もちろん、ゼシカさんが止めてくれましたよ。
すみませんヴォルさんたち、あっちの世界から来た人は、ケモミミの魔力には抗えないのです。
ちっちゃな四人娘や『ヴェルクリの家』の子たちと、オーバン孤児院のみんなとの交流も進んでおります。
お勉強会も開かれるようになり、講師の先生たちも張り切っていますね。
「俺の釣り教室なんて、大丈夫なのですか」
シナギさんの『優しい釣り人講座』は、釣り方の勉強じゃなくて精神修行に近いかもしれませんね。
「まあ、俺なりに頑張ってみますけど」
ヒルデュ河の精霊さんを呼びだしたりしないでくださいね。
「怖いこと言わないでくださいよ、師匠」
だってシナギさんですもん。
「そういう伝説でもあるのですか」
河の見回りをしているかっぱのお姉さんたちに聞いてみてくださいね。
「あの人たちはどうして上半身ハダカなのでしょう」
昔から、着衣で泳ぐことの危険性を身をもって示しているのだとか。
「せめて水着を着てほしいのです」
伝統を大切にする方々なのだそうですよ。
「河での釣り教室、本当にやっても良いのでしょうか」
ウキ以外に目を奪われなければ大丈夫かと。
「善処します……」
精神修行、頑張ってください。




