16 決闘
そして迎えた『決闘』当日。
場所は、ふたつの街を結ぶヒルデュ大橋。
石造りの頑丈な橋の中央は円形の大きな広場となっております。
橋が出来てから『決闘』の闘技場として使われてきた広場だそうです。
今回の『決闘』はヴォルさんとゲラルディエが、リルルリエルさんを賭けたもの。
もちろん、リルルリエルさん本人の了承を得られていることが『決闘』成立の大前提です。
正式な『決闘』ということで、広場の使用許可が下りました。
街の統治責任者やギルドマスターも立会人として立席しております。
あちらのリーダーのゲラルディエはトラの獣人。
めっちゃマッチョですけど、お耳としっぽは可愛らしいですね。
「アイツは強いぞ」
でもヴォルさんほどの闘気は感じないんだけどな。
「カミスの読みは正しいと思うよ」
ありがとう、モノカ。
来てくれてうれしい。
「こんな乙女の大ピンチに私たちを呼ばなかったら、みんなでカミスさんをお仕置きしてたところですよっ」
ありがとう、ノルシェさん。
あの連中へのお仕置きはほどほどに、ですよ。
「これが終わったら手合わせ願いますっ、ヴォルドルフさんっ」
えーと、クリス。
まずは『決闘』に集中してね。
「武者修行の成果、見せてもらいますよ、カミス」
任せて、シェルカ。
みんなに来てもらうほどの一大事、僕だって全力を出さなきゃね。
先鋒は、ノルシェさん。
次鋒は、クリス。
中堅は、シェルカ。
副将は、僕。
大将は、ヴォルさん。
特使のモノカは、ギルドから『決闘』への参加を禁じられちゃいました。
でもこのメンバーなら絶対大丈夫。
一番アレなのは僕なんだけど、
とにかく今は、僕が出来る全力で、ぶつかってみたいです。
それでは『決闘』開幕。




