12 ヴォルさん
獣人さんの名前はヴォルドルフさん。
オオカミの獣人だそうです。
語り口や物腰から誠実さが滲み出ているイケメンさんですね。
お耳としっぽ以外は人族と変わらない見た目ですが、
体格や身のこなし、近付くまで魔導探索されなかったほどの気配隠蔽能力など、かなりお強い人でしょう。
冒険者として各地を旅しているそうですが、オーバンの街を目指していたら道に迷っちゃったそうです。
どうかな、真面目そうな人で目的地も同じだし、もしかしたらいっしょに旅してくれないかな。
「俺で良ければ」
やった、すごく助かります。
あとは今日の依頼を達成しなきゃ、だね。
「依頼?」
このきのこなんですけど。
ガイドブックを見たヴォルドルフさんが、案内してくれましたよ。
そして『アグラタケ』ゲットです。
ここに来る途中で見かけたけど、とっても美味しそうな匂いだったので覚えていたそうです。
ありがとうございます、ヴォルドルフさん。
でも、どうしてきのこを食べなかったのですか?
「知識が無いものを食べるのは、危険だ」
なるほど、ベテラン冒険者さんの意見、参考になります。
おかげさまで採取も出来ましたし、ケルミシュに戻りましょうか。
「お供します、カミス殿」
えーと、"殿"は勘弁してください。
「よろしくお願いします、カミスさん」
「俺のことはヴォルと呼んでほしい」
これからよろしくお願いしますね、ヴォルさん。




