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「「「「「勝ったぞぉおおおおおおおお!!!!」」」」
今日、何度目になるか分からない乾杯が冒険者ギルドで行われた。
かなりの数の怪我人がいたが、エステルが持って来たポーションで完治して、今では酒を飲んで唄って騒ぐほど元気だ。
「へー、エステルはSランク冒険者だったのか」
「もう随分と前の話だけどね。あんまりにも勧誘とか、縁談話がしつこいから逃げ出しちゃったわよ」
俺とエステル、それにエリーは目立たない様にギルドの隅でひっそりと飲んでいた。
「そこで俺がズバッと切ったんだよ!」
「うおおおお!!」
「すげぇええ!!」
「流石ヒュールさんだ!!」
ちなみにヒュールはみんなの中心でめっちゃ騒いでる。みんな酒の勢いとかがあって褒めまくってくれてテンション上がってるな、あれ。
「と言うか、エリー」
「はい?」
「何でコイツがAランクなのよ。ハッキリ言って私よりも強いわよ」
「あー、それはかくかくしかじかで」
「チッ。あの老害共め」
何でかくかくしかじかで伝わるんだよ。
で言うかエリーもそうだけど、君達のギルド上層部に対する恨みは何なんだよ。
エリーもエステルも苦虫を噛み潰して、しかも大嫌いな奴に休日に会ってしまった、ってぐらい最悪な顔をしている。
「まあ、今回の件でSランク昇格は間違い無いですよ。街全体で【英雄シルヴィア】の名前が宣伝されてましたから、今頃は国中に広まってしまいましたから」
「ちょっと待て初耳なんだが?」
英雄シルヴィアってなんだよ。
俺そんな大したことやってなくね?
大体、ヒュールとエステルがいたわけだし、二人の功績って事に…………は、ならないよね。
思いっきり氷で倒してたし、あの化け物も未だに氷像として街の目の前に転がってるし。
「まあ、これからは覚悟する事ね。Sランクになったら
国がコネクションを作ろうと夜会に招待状を送って来たり、王族や貴族の息子との縁談話を持って来たり、商人がここぞとばかりに商品を売り込んできたりするんだから」
「た、大変だったんだな、お前も……」
エステルが遠い目になって来た。
今話した内容も実体験が含まれているだろうな。
……逃げようかな。
無理だよね、そうだよね。はあ。
エステルは少し悩んだ仕草をしてから「……ねえ、私とパーティを組まない?」と言った。
「は? 何でだよ」
「今回の件、ちょっと臭いのよ。あの化け物の中にいた黒幕って奴も、シルヴィアの攻撃から逃げ出したんでしょ?」
「まあ……」
「どんなに少なく見積もっても、Sランク級の敵よ。しかも知性があるわ。あれ級の敵が他にもいるんなら、それは組織的なもの。それに対抗するにはSランクがパーティを組む以外に解決策は無いわね」
エステルがそこまで言うほど危険なのか、アイツ。
そういえば、ポポロン村での悪魔達に、この前のアンデットの大量発生。
確かに思い返して見れば、異常事態の連続だった。
俺が目指すスローライフの為にも、邪魔者は排除しないといけないからな。
「分かった。パーティを組もう」
「ふふっ。最強パーティの結成ね」




