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絶対零度のシルヴィア〜TS転生したら美少女だった件〜  作者: 近藤ハジメ
三章 ボルテジール火山
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 火山地帯というのは確かで、ボルテジール火山に近付くほど温度が上がっている気がする。麓まで来ると凄まじい熱気が全身に伝わり、汗が滝の様に流れ出る程だ。


 ヒュールはこの熱気にも涼しい顔で対応しているから憎らしい。


 俺にはヒュール程の耐久は無いから、俺にしか出来ない方法で暑さの対策をする。


氷衣ウール


 身体を冷気の薄い膜が包む。

 スキルで全身に冷気を纏わせることで熱気を中和した。これでか弱い俺でも火山の頂上で活動出来るだろう。


「なあ。折角だしパーティっぽく戦ってみないか?」

「はあ?」

「俺が前衛、シルヴィアが後衛って風にさ。な、いいだろ?」

「二人しかいないのにパーティ……?」

「まあ細かいことは気にするなって!」


 ガハハ!と豪快に笑う。

 どうせやる事になるし、本音を言うと俺もパーティプレイには憧れていた。


 仕方なく二つ返事で了承するとヒュールはまたガッツポーズをして喜んだ。





 ボルテジール火山の頂点はまさしく地獄絵図だった。

 幾つもの火山口があり、そこから噴煙と熱気が溢れ出ている。中を覗くとグツグツと煮え沸る溶岩が躍動し、


 しかしそんな場所にも足場はあり、中央には不思議な穴ぼこがあった。

 そして、そこに奴はいた。


「あれが……」

「ああ。レッドドラゴンだ」


 レッドドラゴン。

 間違い無く、世界最強の種族。

 

 まあ見た目が赤いのが特徴だ。そして暑い場所を好み、南の方に生息しているがこうして火山がある場所にはよく住み着いている。


 レッドドラゴンの真紅の鱗が太陽光を反射してギラギラと輝いている。あの鱗一枚で金貨一枚の価値があると言うのだから驚きだ。

 あれ一枚一枚は強い魔法耐性を持ち、魔法の威力が半減するらしい。が、魔法を使わない俺たちにとっては関係のない話だ。


「作戦は?」

「俺が引きつけるから、攻撃頼む」

「了解」


 臨時のパーティでは細かい作戦行動は出来ない。

 それなら簡単に役割分担した方が力を発揮できる、と言うのがヒュールの考えであり、シルヴィアの考えでもあった。


 ヒュールが護り、シルヴィアが攻める。


 至極簡単でお互いの力を完全フルに発揮できる役割だった。


『GYAOOOOOOO!!!』


 レッドドラゴンが咆哮した。

 火山が爆発し、溶岩が飛び散る。


 すでに敵と認定されたのか、レッドドラゴンが飛翔して襲い掛かってきた。

 女で小柄な俺が弱く見えたのか、狙いは俺だ。


「《挑発》」


 しかし、それを壁役であるヒュールが許すはずがない。


 盾術の能力である《挑発》は敵のヘイトを自分に集中させる事ができる。


 盾使いは壁役になる事が多く、その多くの役割が「敵の攻撃を引きつける事」だ。


 そしてヒュールはそれに成功した。


 レッドドラゴンはやけに腹が立つ重装備の男に対して、鋭い爪を振るった。


 かなり重たい攻撃でヒュールの身体は少しずつ押されているが、それでもまだ余裕の表情で受け止めている。


大氷剣ソード・一輪」


 そして俺の技も完成した。


 それは巨大な氷剣だ。

 刃の長さは三十メートルを超える。

 

 そしてその大剣をレッドドラゴンの腹目掛けて投げた。大氷剣は真紅の鱗を突き破り、深々と突き刺さった。


 まるで一輪挿しの様にレッドドラゴンから氷の剣が生えた。

 

 故に、一輪。


 レッドドラゴンは絶叫する。

 これまで感じたことのない痛み、そして常に熱を溜めている身体の内にある異常な冷たさが


 自分の生命は脅かされているとレッドドラゴンは恐怖した。


 最後の抵抗として、いや、取って置いたとっておきの奥の手、息吹ブレスを口から放った。

 

 灼熱の炎熱が息吹ブレスに乗ってヒュールを襲う。

 未だにレッドドラゴンは《挑発》の効果は継続し、ヘイトは完全にヒュールに向いていた。


「《シールドオーラ》! 《フレイムシールド》!」


 ヒュールが構える大盾の周りを青色のオーラが覆った。さらに続いて炎が盾の周りを覆う。

 これら二つは盾を強化し、盾に炎熱耐性を与える【盾術】の能力だ。


 これだけの準備をしたんだ。

 ヒュールが敗れることは、あり得ない。


「んんん…………っ!!」


 ヒュールは全力で息吹ブレスを上向きに逸らした。息吹が飛んで行った上空で閃光が弾け、眩い光が満ちた。


「GYA、RUUUU!」


 レッドドラゴンは翼を大きく広げて、空高く飛翔した。


 あれだけ上空に行かれると遠距離から攻撃する手段を持たないヒュールは手出しできない。

 後は逃げるなり、息吹ブレスを撃ちまくっていれば良い。


 流石だ。賢い。まあ、俺がいなければだが。


氷鎚ハンマー


 レッドドラゴンの頭上に現れるのは全長20メートルを超える巨大な戦鎚だ。


『GYA……!』

「落ちろ」


 俺が手を振り下ろすと連動する様に、ハンマーはレッドドラゴンを叩き落とした。強い衝撃を与えられた山々に亀裂が入り、溶岩が溢れる。

 

 これで終わりだ。


 ヒュールが片手剣を抜き、レッドドラゴンの首に銀色の刃を突き立てた。


「GYAOOOOOOOO、OOOO……O…………」


 レッドドラゴンの断末魔が鳴り響き、少しして静かになった。


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