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01


 気が付くと森の中に立っていた。

 見た事もない種類の木々や草花。

 何故か直立不動でギョロッと目玉を動かす蜥蜴。

 

 華奢な手で胸を触ると柔らかい感触がする。

 「あいうえお」と発声するとか細い声がした。

 服装もひらひらしたスカートが目に入る。


 ここまで来ると実感する。


 俺は女として異世界に転生したんだ、とーーーー。





 遡る事、一時間前。

 それまでは俺も男だった。

 だが、寸前で車に轢かれて死んだはずだった。


 それなのにふわふわと光の粒が浮かぶ世界で俺もまた漂っていた。


 地面は無くて、本当に俺は浮いている。道路が凸凹している所を走っていると車ごと浮く感覚がずっと続いているのだ。


 どこを見ても光り輝く世界。色で例えるなら黄色の世界だった。


 ふよふよと浮いたまま何とか移動してみたが、どこに行っても光ばかりだった。


『目覚めたのですね』


 すると誰もが聞き惚れる様な美声が聞こえた。透き通る様な白い髪とほとんど透けてるドレスを見に纏った、天女と見間違えるほどの美女がそこにいた。


(誰だ? っ、声が出ない……?)

『ええ。今の貴方は魂だけの存在よ。ほら、手足も無いでしょう?』


 言われて自分に手足が無いことに気付く。手足どころか、身体すら無かった。自分も周りに漂う光の粒の一つなのだと知る。


『困惑してるみたいね』

(そりゃそうだろ)

 

 まあ、正直困惑してるし、動揺もしてるんだが、驚きは少ない。前世で嫌というほど漫画を読んでいた。


(異世界転生、ってやつかーーーー)


 異世界転生。

 それは何ならの要因で死亡した場合、前世の記憶を持ちながら異世界で生まれ変わるというものだ。


『正解よ。貴方は私、女神によって転生されます。貴方がよく知る剣と魔法の世界にね』

(って事はスキルだとか魔法だとかも?)

『当然、使えるわよ』


 ほほう。楽しみになって来た。

 

『ただし身体だけは新しく創り直すのだけど』

(前と同じ身体じゃダメなのか?)

『ええ。だって、前の身体は粉々にして土の肥料にしちゃったから』


 衝撃の事実。

 いや、確かに人間の身体は野菜が良く育つ要素ばかりで構成されてるけど……。流石に自分の身体が肥料にされたと聞くと悲しい気持ちもある。

 まあ、仕方が無いか。


『それで、新しい身体に何か要望ある? 可能な限りなら叶えるけど』

(そうだな……。性別は変えられるか?)

『出来るけど本当に良いの?』

(ああ。せっかくの新しい人生なんだ。別の性別で楽しんでみたいんだ)

『ふふ。それじゃあ、とびっきりの美少女にしてあげるわね』


 美少女か。それは楽しみだ。

 俺はそれほど優れた容姿では無かった。いや、強がりはやめよう。俺はブサイクだった。

 普通に容姿が整っている男を見ると嫉妬したり、それは美しい女性に対しても同じだった。

 だから自分の容姿が整い、しかも女神が言うほどの美少女にしてもらえるのなら万々歳だ。


『新たなる名前として、《シルヴィア》を名乗りなさい』


 女神の声と同時に手足が生成されていく。か細い手だ。それに前世よりも体格は小さい。


 ペタペタと身体を触って確認している俺を微笑ましそうに見る女神が、名残惜しそうに口を開いた。


『頑張ってね』

「ああ。ありがとう」


 身体の全てが生成されて、声に出して感謝の言葉を告げる事が出来た。


 そのまま俺の意識は一度途絶えて、次の瞬間には森の中に立っていた。





 そして、現在に戻る。

 夢でも無くて転生した事を実感しながら、予め女神に教えて貰った言葉を呟く。


「ステータス」


 目の前にゲームのステータス画面の様なものが浮かんだ。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


シルヴィア 人間 二十歳 女


称号・・・転生者


ユニークスキル

【絶対零度】・・・氷を支配する。

【鑑定眼】・・・万物を鑑定し、その価値等々を見極める事ができる。


エクストラスキル

【言語翻訳】・・・あらゆる言語を自動的に翻訳し、言語が異なっていても会話を可能とする。

【万能感知】・・・魔力や自分に及ぶ危険な事柄を感知する。

【超直感】・・・予知に近いレベルで危険を察知する。


スキル

【魔力操作】・・・魔力を操る。


技能アーツ

【闘気法レベル1】

 ・・・縮地

【生活魔法レベル1】

 ・・・洗浄クリーン光源ライト


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 この内容についても女神に説明を受けていたが、本当に機能するのか確かめておく事は大切だ。

 ただスキルの使い方は分かっても、実際


 …………俺の全力、見てみたい。


 素直にそう思った。

 だから簡単に実行してしまったのだ。


「“氷山脈アイシクル・レインジ”」


 自然と口から出た言葉を言い放つ。


 瞬間、大地が、大気が振動する。


 一瞬にして巨大な氷山が現れたのだ。いや、これは氷山どころでは無い。まさしく山脈を思わせるほどの巨大な氷塊だ。


 これが俺の今の最大出力ってワケか。だが、それを知れてよかった。街中でいきなり全力で使っていたらどうなっていたか……。考えただけでもゾッとした。


 まあ、何となく自分の実力も分かったし、街に向かうとしよう。


ブックマークや高評価、感想など是非よろしくお願いします。

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