初戦闘
セイこと広瀬芽生は今日はログインできないから先にやっててねー、と言っていたので私は街を歩いて外に出ようと思った――が。
「…あれ…?どこから出るの…?」
あまりにも広大な街で迷ってしまった。
道行くプレイヤー達に何度も聞きつつなんとか街を抜け出した。
草原が広がり、ちらほらとプレイヤーが見える。
きっと私と同じ新規登録者に違いない、と思いつつ私もフィールドを駆け回った。
「おっ…アレは…」
そこには小さな兎がいた。
愛らしい赤い瞳でこちらをとらえつつ跳ねてくる。
「へぇ…意外と可愛い要素もあるんだな…」
などとのんきなことを呟いていると、兎が腹部に突進してきた。
「ぐふっ!?」
思わず腹部を抑えるが、現実ではないので痛みはない。だが、視界に表示されている緑色のHPバーが少し減った。
「なるほどなるほど…つまりこの子はモンスターってワケね。なら、この剣で…!」
鞘から剣を抜き取り、同時に盾を左手に持つ。
構え方はよくわからないので適当にゲームの主人公のような構えを取る。
同時に突進してきた兎を盾で弾き、剣で斬った。
「キイィーッ!」
と兎が鳴き、消滅した。初めての戦闘は意外とあっさり終わったが、
これもLvが高くなるにつれ長期戦などもやる時がくるのではないかと思うとすこしドキッとした。
だが、なかなか爽快感があり、このゲームを買って正解だったかも、と思い始めた。
その後、私は草原で狩りを続けてLv5に達した所で夕飯の時間になりログアウトした。